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ロボット少女がいる非日常(3)

 放課後。ネネは周りの友達に挨拶をしながら一足先に一年生の教室を出た。

 ネネの担任は淡白な人間であった。必要なことを言ったらそれでおしまい、という。それ故、他のクラスよりもホームルームが短い。

 以前はネネが外で飛鳥が出てくるのを待っていたが、一か月もたてば飛鳥の教室の場所が分かるというもの。今ではネネが飛鳥を迎えに行くことが常であった。

 ネネがいる一年生の教室と特別が入っている校舎から、渡り廊下を使って二年生と三年生の校舎へ。

 渡って少ししたところに、飛鳥の教室があった。

 ネネが教室に来た時、丁度ホームルームが終わったらしい。教室から生徒が出てきていた。その中に飛鳥の姿はない。

 後ろのドアから中を覗き込むと、席の所に飛鳥の姿があった。

 だがしかし、ネネは反射的にドアの陰に体を隠した。隙間から、中を覗き込む。教室から出てくる生徒が怪訝そうな目で見てくるが、知ったことではない。

 飛鳥と一人の女子生徒が、何やら話をしていたのだ。

 飛鳥に一冊の文庫本を手渡している女子生徒に対し、飛鳥は何やらネネに対してもあまり見せない笑顔で本を受け取りながら会話しているのが見えた。女子生徒の方が、しきりにペコペコお辞儀しているのが見える。

 邪魔してはいけないのかも、とネネは推測する。これがいわゆるいい空気というやつなのかもしれない。

「ネネちゃんなにやってんの?」

 ネネの存在に気付いたのは、月代であった。丁度前の扉から出てきて、明らかに不審者なネネを見つけたらしい。

「あっ。月代さん。こんにちわ」

「おう、こんにちわ。飛鳥ならちょっと待ってろよ。今瑠璃が飛鳥にアタックかましてるところだからさ」

 キシシ、と悪戯っぽい笑い声を上げながら、月代は言う。

「それ、当事者の妹に言っていいことなんですか?」

 ネネはちょっと呆れた風にため息をつきながら言った。なるほど、月代はちょっと口が軽いらしい。もしくはネネが口が堅いと信頼してくれているのか。

「応援してやってくれよ。将来お義姉さんになるかもしれないんだぞー。私先に帰ってるわ。ていうか、今日スーパーでタイムサービスやる日だから一緒にどう?」

 ポンポン、とネネの頭を撫でるように叩いて、月代はネネに提案した。貧乏子だくさんな月代の家では、月代も家事を担う一員なのであった。時々飛鳥のほかに月代とも学校帰りにスーパーに行ったりしている。

「あ、えーっと、はい、ご一緒します」

 教室の中を一瞥して。まだ話をしている飛鳥と瑠璃の姿を確認した後、月代について歩いて行った。後で飛鳥にメールをしておこう。

 先に帰ってるね、と。

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