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終章:夜が来る時まで

夜を歩き思い出ある場所を歩いていたが、日が昇り始めた。


まだ暗いがもう直ぐ朝になる。


・・・・名残惜しいが、そろそろ帰るか。


俺は太陽に背を向けて帰ろうとした。


しかし、後ろから殺気を感じて振り返った。


「伯爵だな?」


チンピラ風情の男が出てきた。


そして前からも出てきた。


何だこいつらは?


俺の街に汚らしい格好で来やがって。


「誰だ?」


俺はチンピラ共・・・煩い蚊に訊ねた。


「あんたを殺せば暗黒街でも名が上がる」


名を名乗る代わりに奴はそう言った。


・・・なるほどね。


要は俺を殺しに来た奴らか。


面倒な奴らだ。


俺は溜め息を吐いた。


「毎度毎度の事だが、懲りない奴らだ」


「何だと?」


チンピラは俺が小さく吐息と共に漏らした言葉が聞き取れなかった為に訊き返してきた。


「耳が悪いのか?なら、もう一度いってやる。お前らみたいなチンピラは懲りずに何度も俺を殺そうとしている」


何度も何度も・・・・・・・・


その度に返り討ちにされているというのに。


「テメェラには“学習能力”が欠けているのか?」


「はっ・・・この状況で俺らを馬鹿に出来るのか?」


チンピラが俺に状況を有り難く説明してくれた。


前に7人。


後ろに10人。


計17人が俺を狙っている。


「簡潔にご説明してくれてありがとう。実に分かり易い」


チンピラなど止めて教師になった方が幸せだな。


このチンピラは。


「あんたの銃は10発しか撃てないモーゼルだ。どうやっても残り7人があんたを殺せるんだぜ?」


10発しか撃てないとは・・・銃の勉強も碌にしていないとは。


こいつは20発のマガジンもあるというのに。


それを知らないとは勉強不足も甚だしい。


そんな事を思いながら俺はこう言った。


「やれるものなら引き金を引け。ただし、1発で仕留めろよ。出来ないと死ぬぞ」


俺の言葉にチンピラ達は銃を引き抜いた。


しかし、直ぐに10人が死んだ。


俺が撃ったんじゃない。


前のチンピラ達の後ろから銃を向けている女が3人。


ネメシスで飲んでいた女達だった。


「何で居るんだ?」


俺はモーゼルを掴んでいた右手を元に戻しながら訊ねた。


『迎えに来た(のよ、ました。んです)』


3人は口を揃えて答えた。


「誰も頼んだ覚えは無いぞ?」


「私が行きたいと思ったのよ」


ガブリエルが言い返し、俺がくれてやったコルト・パイソンを片手に悠々と歩いて来た。


「貴方達に飛天を渡さないわ。この人は私の男だからね」


「飛天様は私の夫です」


「・・・我が主は、私の主です」


3人はそれぞれの言葉を口にして残りのチンピラ共を叩き潰した。


本当に“飛び回る蚊を手で叩き潰す”如く簡単に、しかし、苛烈にな。


チンピラは無惨に息絶えたが俺には縁も所縁もない奴らだから微塵も心は動かない。


奴等を朝日が照らし始めた。


「さぁ、帰りましょう」


貴方の家へ・・・・・


ガブリエルは俺に手を差し出してきた。


俺はその手を掴んだ。


手を繋ぎ合うなんて久し振りだ。


だが、悪い気はしない。


寧ろ・・・・温もりを感じる。


それが俺にとっては、懐かしくて、嬉しい。


嗚呼、もう夜が明けてしまった。


もう少し所縁のある地を歩きたかったが仕方が無い。


俺は夜を歩く者。


昼間は似合わない。


『申し訳ないが、また夜に来るよ』


俺はまだ足を運んでいない地に住む者達に心の中で詫びを入れた。


そして3人の女と共に我が家へと足を運んだ。


再び夜が来る時まで・・・・・・・・・

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