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着飾るのはわりと苦手です。

しばらく間が空いてしまってすみません……(汗)

ちょっとリアルで色々ごたごたしてまして……あと単に筆が進まなかった……(滝汗)


お気に入りとか評価とかありがとうございます。非常に嬉しかったです♪


 寝ぼけ眼で見る天井は、やはり知らないものだった。正確には、見慣れないもの。

 飴色の天井に、やけにふかふかする背中。体を包む柔らかく暖かな毛布。……当たり前だけど、まだ慣れない。慣れたくないけどさっさと慣れたい……起き抜けに安心できないのは辛いなあ……

 しばらくもぞもぞやって、結局起きる。うー、眠い。何時だろう。腕時計は持ってこなかったからなあ……多分朝の七時くらいだと思うんだけど、何せ時計がないから分からない。時計そのものがないのか、この部屋に置いてないだけなのか分からないけど、ちょっと不便。時計を見て生活することに慣れきった現代人ですのよこちとら。


 しばらくして頭がだんだん覚醒してくる。

 名残惜しいベットから何とか降りて、大きく伸びをする。背中が鳴った気がする。ちょっとストレッチでもしようかなー。ということでカーペットに寝そべる。足を開いて体を倒す。うあ、痛い。筋が無理やり伸ばされてるのが超痛い。でもこれが気持ちいいんだよ……決してMではない。断じて違う。ちがうったらちがう!……誰に言い訳してるんだろうね?


「どうしようかなー……」


 どうしたらいいのか分からないことが多すぎて、どうしようもない。問題が山積みすぎる。問題じゃない状況と言ったら、意外と自分が落ち着いてることと、周りの人がまだ友好的なこと。後は尊厳的な生活をできてることだろうか……ううん。最悪じゃないけどよくない状況ってところかあ。

 ヨガで言うところのハトのポーズを取る。全身が伸びて気持ちいい。でもこんなとこ見られたら変人扱いだろうなあ……


 カチャリ。


「ユーザキ様、おはようございます……?」


 小さな声が、戸惑いで止まった。

 状況を整理しよう。

 私→ハトのポーズ(知らない人から見ると単なる変なポーズ)。

 それを見てしまったラジーさん(私を起こしに来ただけの何も知らないメイドさん)。ノックしなかったのは、寝てると思ったから、だろうなあ……と現実逃避をしてみる。


「……し、失礼しました」


 そう言ってドアを閉めようとするラジーさん。


「ちょっと待ってください!!!」


 このままじゃ変人扱いだ!と理解した私は必死にラジーさんを引き止めた。普通じゃないと思われるのは心外だ。私は普通なんだから。

 体をほぐすための運動だと必死で説明して、どうにか納得してもらえたらしい。ラジーさんは不審な顔を引っ込めて朝ごはんについて聞いてきた。もう食べますか?とのことなので用意していただくことにした。

 今日のご飯は昨日と大体一緒で、スープがミネストローネ(ただし色は黄緑。食べるのをためらったのは言うまでもない)で、果物はバナナ味の柿だった。ここの基準では豪華なのか、普通なのか。質素、ということはなさそうだけど、分からない。相変わらずの薄味だし。


「今日は、昼食を陛下と取っていただきます。それまで部屋でお待ち下さい。昨日仰られていた召喚についてとこの国についての詳細な本については、一先ず司書が選んだものをお持ちいたしますのでそちらをお読み下さい。図書室への入室許可は、陛下に許可を頂くのがよろしいかと……」


「陛下って、どんな方?」


 気難しい人とかプライド高い人とか権力に慢心してる人とか、お近づきになりたくないんですけど。相手にされないか絶対面倒なことになるから。

 そう思っていると、ラジーさんは綺麗な笑顔でこう言った。


「とても素晴らしい方ですわ。あの方がこの国を支えてくださっているのです。この国が戦争もなく、平和に豊かな生活が出来ているのも、陛下が素晴らしい政策をして下さっているからですのよ」


 一片の曇りもない笑顔が、やけに眩しくて。

 でも私は、それをすんなりと信じた。この人にこれだけ信用されている人なら、きっと凄い人なんだろうな、と。

 そうじゃない可能性を考えることをやめてしまった。





 

◆◆◆






 お昼は、結構早くきた。本を読んでいたからかもしれない。二冊目に入ってしばらくして、ラジーさんに「そろそろ準備を始めましょう」と声を掛けられた。

 準備って……と戸惑う私の前に、侍女さんがずらり。うん?

 戸惑う私を尻目に、侍女さんたちはテキパキと仕事を進めていく。気づいたら服を剥かれてお風呂でピカピカに体中を磨かれていた。恥ずかしがる暇も抵抗する暇もなかったよ……

 五人くらいによってたかって磨かれたせいか、あっという間に全身綺麗になった。羞恥やら何やらでぐったりする私を尻目に、風呂から連れ出されて全身を拭かれると、すぐに浴衣のようなものを着せられてから爪を磨かれ肌にクリームを塗られ髪にオイルを塗りこめられ……母に連れて行かれたエステでもここまでじゃなかったってくらい至れり尽くせりな状況が続けられていく。それなのに疲れがたまっていくのはなんでだろう。肉体的には癒されてるはずなのに、精神的にグッタリだよ。着替えくらいはしなきゃなあ、くらいの気持ちだったもんで。

 そんなに時間ないならもっと早くから始めてくれれば……ああ、皆忙しいのか。というかここまでやる必要あるの?相手が王様って言っても、昼食だけでしょ?

 そんな文句を口からだす勇気も元気もなく、もうなるようになれと流れに身を任せた。


 私が着せられたのは、リアさんやラジーさんが着ている服とマツバ君が着ていた服を足して二で割ったような、ドレスと狩衣(かりぎぬ)を組み合わせたような不思議な形の衣装だった。淡い水色のシャツの上に白のレース付き狩衣(?)を羽織り、下は緩いマーメイドラインの、パニエもバッスルもないシンプルな白のロングスカート。スカートを膨らませた人を今の所見てないから、そういう文化がないのかもしれない。

 狩衣の裾にもスカートの裾にも茶色のぺたんこな革靴にも、金糸で細かく刺繍が施されている。その刺繍は、リアさんやラジーさんが着ているドレスにもある、文字のようなよく分からない形だ。この国の文字に似ている気がするけど、読めない。

 あちらこちらに金と水色の飾り紐やらレースやらがさりげなく飾り付けられていて、シンプルだけど味気ないことのない、非常に品がいい感じの物となっている。

 残念なことに私だと服に着られてしまってるんだろうなあ……近くに鏡がないから自分の姿を見れず、慣れない化粧を施された我が身がどうなってるのか全然分からない。人並みでしかない自分の顔を考えれば、まあまし程度にはなってると思いた……いいや。もうどうなってても知らん。私にはどうしようもないし。鏡も見ないでおこう。下手に落ち込みたくない。


 髪の結い上げまで終わると、リアさんから軽い注意事項を告げられた。


「陛下は優しいお方ですので、そう畏まったりされずとも大丈夫です。ゆっくり御昼食をお楽しみ下さい。陛下にお願いをされるなら、御食事が一息ついたころがよろしいでしょう。陛下から何事かお尋ねになられるかもしれませんが、どうぞ思う所をそのまま御話し下さい。ユーザキ様の本当のお考えをこそ私たちは教えて頂きたく思っているのですから」


 ようするに、適度に敬意を払いつつ、嘘を吐くなと。

 身も蓋もない要約を忘れないようにしながら、どういうことを聞かれるんだろうと意味のない推測を始めた私を、リアさんが先頭に立って昼食会の会場へと案内してくれた。

 そしてとうとう、油断の出来ない昼食会が始まる。

6話目でやっとここまで進んだ……陛下と会わせるの、3、4話目くらいで済んでるはずだったんだけどな……(汗)


とにかく、お城から出るまでがプロローグ的なものになる予定なのでそこまでさっさか進めます……キングクリムゾンやるべきかしら。あれもこれもとか考えてたら全然お城からでれません(泣)

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