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二十二章 黄金の英雄

十八歳になったクラウスは黄金騎士になった。

無法地帯を拝領すること、領内の政治に極力干渉しないことを条件に黄金騎士になったようだった。

黄金騎士になったクラウスは侵略戦争を仕掛けてきた国を一人で殲滅し続けた。

戦場に片方の刃が酷く欠けた金色の騎士剣を握る騎士が現れたらその国は終わりだと言われ、どれだけ優勢でも同盟国から見捨てられるという異常な現象も起きた。

半年の間に無法地帯の半分を復興させ、八ヶ国を殲滅したクラウスはその名声を使って奴隷制度を廃止させ、抗議の自由を、表現の自由を王政に認めさせた。

数々の偉業を成し遂げたクラウスは王政と民衆から畏怖と敬愛を込めて黄金の英雄と呼ばれるようになった。


二十歳になった黄金の英雄クラウスはついにテルメスと婚約した。

婚約が報じられたのは、私が外国の議会に参加している時だった。

「テルメス大貴婦人の誕生とエルドリア城の急速復興に王政が危機感・・・この報じられ方だとミケル領と王政の衝突も近そうだ」

「これからはミケル領と交渉するべきかもしれないな。あそこが激突すれば王政の敗北は必至だ」

クラウスとテルメスが巨大な地位を持った時、身を焼き焦がすような嫉妬心が私を三度(みたび)襲った。

クラウスと結ばれたテルメスは毎日が楽しそうだった。

名一杯愛情を注がれて羨ましいとも思った。

「すっごく綺麗!」

キラキラと輝く瞳で蒼色の宝石がはめられた純銀のペンダントトップがついたネックレスを見つめるテルメスは嬉しそうに言った。

「ありがとう!」

テルメスはクラウスを見て微笑みながらそう言った。

「どういたしまして。とても似合っているよ」

クラウスはテルメスを見て笑みながらそう言った。


二十一歳になった黄金の英雄クラウスは孤児院から迎え入れた養子を連れて無法地帯の保育園へ行くようになった。

もう私など眼中にない。愛してくれたクラウスはもういないのだと思った。

「ララ、まだ傷つけなくても良かったはずだ」

クラウスはララを見てそう言った。

「・・・」

ララはクラウスを見る。

「そんな簡単に人を傷つけてしまっては通る意見も通らなくなってしまう。そうなったら、損をしてしまうのはララの方だろう?」

「・・・うん」

ララはクラウスを見てそう言った。

「自分の意見を通したいなら話し合いをしなきゃダメだ。ほら、叩いたことを謝って」

クラウスはそう言うとララの背中を押した。

「ごめんね」

「・・・いいよ」

羨ましかった。

「人間に生まれて良かった。この美しい一瞬の輝きを神様にも見せてあげたいよ」

ララを肩車したクラウスは楽しそうに笑みを浮かべた。

全てが羨ましかった・・・

黄金の英雄は真の神にすら好かれたというのに・・・

愚者が消え、静けさを取り戻す戦場に現れるその存在は・・・

次回

二十三章 愚者の最期

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