十三章 絶望の血戦、開幕
同年、十月二十七日。
飛行船が大陸南東部の界創空間に近づいてきた。
これから界創空間内部に突入する。
「突入します!!」
船長はグリードリヒたちを見て大声でそう言った。
「揺れに備えろ!!」
カスミは手すりに掴まってそう言った。
私たちは手すりに強く掴む。
界創空間に接触すると共に大きな揺れが飛行船を襲う。
飛行船の船底から展開された-域の神気壁が表層のガラスのような膜を砕く。
分厚い気化神気の層に入ると激しく細かい揺れが飛行船を襲い始めた。
激しく光る稲妻を不安気に見つめながら揺れが収まるのをただ待つ。
激しい揺れが収まると同時に帰化神気の層を抜けて界創空間の内部に到達した。
それと共にガリガリと船体を切りつけるような音が鳴り響き始め、荒めのスポンジでつけたような細かな傷が窓につき始めた。
「剣神モニークの界創術はこれだ・・・界創空間内をガラスのような刃で満たす・・・」
ヒルデガルトはそう言うと黒鞘に納まった刀を握って立ち上がった。
「船から出た瞬間ズタズタに切り裂かれないか?」
キャリッシュはそう言うと黒鞘に納まった刀を担いだ。
「私たちには梨々香陛下の加護がある。どうということはないよ」
カスミは黒鞘に納まった刀を握ってそう言った。
「旭日、美日の盾」
ヒルデガルトは美日の盾を全員に展開した。
「ご武運を・・・またお会いしましょう」
船長はグリードリヒたちを見てそう言った。
「・・・」
グリードリヒたちは船長を見て笑むと降下用ハッチから外に出た。
界創空間ではあるが体が動く。モニークの界創術には拘束能力がないのか?
「・・・来たか・・・」
モニークは黄金騎士剣を構えてそう言った。
「七陽の勇者ッ!!」
モニークがそう言いながら黄金の剣技を放った。
「天道!六輪一閃!!」
六つの輪と共に発生した激しい炎の渦が透明な刃を燃やしながらモニークの剣技を打ち砕いて穴をあけた。
「烏輪、陽療の華翼!」
最上大業物天現烏輪を握ったソラが背から橙色の光を放つ翼を生やすと剣技でアイリアの陽力が回復する。
「落陽、刹那一光!!」「朝陽、霧花の刃!!」
空気を切り裂くような赤く鋭い斬撃と朝霧のような輝きを放つ花形の斬撃波がモニークの剣技を相殺した。
「少しは腕を上げたようだな」
黄金騎士剣を握ったモニークはそう言うと上空に現れた旭日の勇印に注目した。
「旭日、烈光!!」
旭日型の盾を握ったヒルデガルトは大声でそう言いながらモニークに向かって降下する。
「しかし、まだ弱い!!」
旭日型の盾を避けたモニークは衝撃波を平然と受けながらヒルデガルトに向かって黄金騎士剣を構えた。
モニークの剣がヒルデガルトに当たる。
アイリアも間に合わない。
「・・・」
ヒルデガルトは最上大業物旭日烈光を空中に生成した。
旭日烈光とモニークの剣が空中で勢いよくぶつかってモニークの剣の勢いが落ちる。
ヒルデガルトはモニークの剣とぶつかった旭日烈光を掴んで押し返した。
「反撃・一閃剣舞」
ヒルデガルトがそう言って最上大業物旭日烈光を一振りすると凄まじい数の斬撃がモニークを襲った。
モニークは乱れ飛ぶ斬撃を冷静に避けながら的確に向かってくる斬撃を剣で防ぐ。
「小賢しい真似をッ・・・!!」
モニークはそう呟きながら黄金騎士剣を握り込んで構えた。
「来るぞ・・・」
ヒルデガルトはそう言いながら美日の盾を七陽の勇者に展開した。
「少々本気を出すしかないようだ・・・」
モニークが剣神眼を開眼させてそう言うと黄金騎士剣の欠けた刃が鏡面の物質で修復された。
「ッ!?」
七陽の勇者は片刃が鏡面になった黄金騎士剣を驚きながら見た。
次回
十四章 真逆




