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ラッキーガールなんだから

 ラッキーは、これからずーっとずーっと永遠に続くのっ!んもぉ超ハッピーなんですけどっ。


 フリオス様自ら私に会いに来てくれた上に、明日の夜会まで招待してくれて。しかも! レベンディス様に会える夜会だなんてテンション上がるに決まってんじゃん。

 レベンディス様に会えると思ってちょっとはしゃいだだけでフリオス様ったら不機嫌になっちゃうんだもん、気をつけなくっちゃ。


 それにしても、やっぱアイテムってすごいわ……! フリオス様が来る前に手に入ってて良かったー。なんせゲーム内で好感度を上げる秘密のアイテムが屋敷のお庭に咲いてる、この可愛いハートマークの葉っぱなんだからっ。本当ヒロインに力入れてくれた運営に感謝だわ。

 乾燥させて、ザラザラのボウルと木の棒で細かくすれば良いだけだし。

 試しにフリオス様の紅茶に入れてみたけど、結構効果あったと思うんだよね! だって、守りたいって言ってくれたり、大好きって言ったら顔真っ赤だったし。

 この調子で好感度上げておきたいなー。でも、本当の狙いはレベンディス様だから……別にフリオス様と婚約したい訳じゃないんだよねぇ。加減がよくわかんないけど〜……とりあえず夜会夜会っ。

 気合い入れておめかしして、絶対レベンディス様に会っちゃうんだから。



「アヤネ、ちょっと来なさい」

「はぁーい……なにこの箱」

「開けてみなさい」

 叔父様に呼ばれてみれば、目の前に置かれた大きめの箱。リボンを解いて中を見ると、初めて見る光沢のある生地に可愛らしい蝶があしらわれた煌びやかなピンクのドレスが出てきた。

 

「叔父様いつの間に買ってくれたの?」

「これはフリオス殿下からだ、今日の夜会に着て行ける様に手配してくださったらしいぞ。アヤネ! いいか? 絶対こないだのようなトラブルは起こすなよ!? それと殿下を絶対離すなよ、良いな!?」

「ねぇーこのドレスめっちゃ可愛いんだけど!」

「おい、聞いてるのか?」

「あぁはいはい。大丈夫だって、大人しくしてるし殿下と仲良くしとくからさっ」

「本当……お前の言葉遣いはどうやって直したら良いんだ……」

「わぁすごっ、ヒールと髪飾りまであるんですけどっ」

 今はお昼過ぎだから、もう少ししたら準備しようーっと。そういえば……


「ねぇ前から聞きたかったんだけど、叔父様の家族は?」

「えっ、あ、あぁ……領地で暮らしてるから、いつか紹介しよう」

「ふ〜ん、このお家にいないのは知ってるけどさっ、どこにいるのかなって思っただけ。準備楽しみだな〜」




 やっとのことで着いたお城には結構長い列が出来ていて、名前を確認しながら入場を待っているみたい。

 こんなの待ってたらレベンディス様に会えるのいつになるか分からないじゃん! どっかから入って行けないかな〜……。


 あれ? あの馬車だけ違う道から行ってる。違う入り口があるのかも……?

「待て! そこからの入場は許可ある者だけだぞ」

 

(えっ……マジか〜…)


「この招待状フリオス様から貰ったんだけど、ダメ?」

「これはフリオス殿下の直筆サイン! 失礼致しました、どうぞお入りください」

 ……フリオス様も結構やるじゃん。


 最も簡単に、しかも並ばず入れた王城の中はこないだ叔父様と来た時とは少し雰囲気の違う廊下。夜会の場所もよく分かってないし、誰もいないんですけど……。


『フリオス!お前が早く手を打たないから、ダンデリオンの王子に先を越されたじゃないか! いいか!? あれ程の身分と能力を持った令嬢は他にいないと何度も言っただろ』

 

 突然、なんかすごい声量でフリオス様の名前が呼ばれたから、そっと覗きに行ってみれば……豪奢な服に冠を被ったおじさんとフリオス様が言い合いしてる。あれって国王陛下かな。

 でもさ〜……ねぇ、ちょっと待って……。

 はっ? レベンディス様と悪役が一緒にいるって事? あり得ないんですけど! 私より先に出会うなんて絶対有り得ない! 急いで会場へ行かなくちゃ。


 迷子になりながら漸く着いた広間では、とっくにダンスが始まっていて女性陣の羨望の眼差しを浴びる人物に驚かされた。

 

「なにあれ……なんでダンス踊ってんの?」

 

 よく見ればレベンディス様と、悪役令嬢ヴィオレティが優雅に踊り身体を密着って! 周りから羨ましいとか言われちゃって。

 良いもん、こうなったらヴィオレティにレベンディス様を紹介してもらお! そんで私とレベンディス様が仲良くなれば問題ないし。


 隙を見てヴィオレティが一人になったところで声を掛けた。

「こんばんは、私アヤネ・シエラです。よろしく」

 でも、こっちが折角名乗ったのに向こうは全然名乗らないし、紹介もしてくれないって言うから……頭に来てジュース投げちゃった。

 

 私のお願いを聞いてくれないなんて、存在意義なし。


 だから、レベンディス様を紹介してくれない悪役のドレスなんか汚れて退場してくれれば良い。……のに、投げたはずのジュースが見えない壁に流れ、その向こう側で悪役の肩を抱く鋭い目つきのレベンディス様と初対面になるなんて思いもよらなかったの。


 しかも面倒くさいラディ王女やら、叔父様まで現れちゃってさ……結局つまみ出されちゃったから、レベンディス様と一言も話せなかったんですけど!!

 帰りの馬車からお家に着いても、ずーっと説教されるし。なんかよく聞き取れなかったけど、何とかっていう場所で修行させるとか言い出すし。

 

 あ〜あ、お城に着くまでは完璧だったのにな〜……全部あの悪役のせいよ! むかつく。

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