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純白と死闘

「!?」


 視界に白華の姿は無い。各種センサー、検知器にも何一つ反応が無い状態で、突如攻撃を食らった。

 いる。全く観測出来ていないが、確かにそこに白華はいる。

 だが、それが分かった所でどうなる?

 攻撃の用意を整えようにも、ここまで接近されてしまったら何かをする前に削り取られる。現に、武装は展開する前に輪切りにされた。

 ならば、位置を確かめる。

 

「お、らぁ!」


 切り刻まれながらも全身を前に叩きつけ、無理やりに相手へしがみつく。見えずとも、位置がわかるならば……!


「ようやったぞ!」


 金棒一閃。途轍もない衝撃と共に、アダムは自分諸共しがみついた相手が吹き飛ぶのを感じた。

 まだ、離れてはいない。位置は判別出来ている。追撃には十分な環境だ。


『放すなよ』

「分かってらぁ!」


 全てを凍結させる冷気と共に、氷の槍が繰り出される。まるで見えないが、何かに当たった感触はあった。だが、まだだ。この程度で動きを止められる相手ではない。

 それが分かっているため、三人は最大限全力を尽くす。

 一切アームを相手から剥がさず、同時に()()を続けるアダム。兎に角アームの先に攻撃を繰り出し続ける天道。アダムが引きはがされないよう凍結させ固める極。

 それでも。そこまでしても不利は変わらない。

 自力で劣る以上、数と策を頼るしか無い状況で、不可視の相手と戦い続けるのはまず不可能だ。直に限界が来る。

 アダムが引きはがされるか、天道が限界を迎えるか、極が仕留められるか。

 どれが来ても勝利は不可能になってしまう。今()()()()()()()()()()()無駄と終わるだろう。

 策はある。だが、それを可能にする余裕は無い。

 何か、一要素。ほんの少しでもこちらに有利な要素が有れば……

 アダムの回路に、願いにも似たそんな考えが去来した頃、一つの通信が入った。



「……何が起きてるんだ」


 全く見えない、全く分からない。次元が違う。アダム達からすると普通に戦っているだけなのかもしれないが、俺達にはもうその戦いを認識することさえ難しい。

 ……何となくだが、アダム達が押されているような気がするのは、気のせいではないだろう。


「兄貴、なんか出来ねえかな」

「……出来るならしたいんだがな」


 直接関わったら何もわからず死ぬだろうし、それ以外だと天道さんを呼ぶくらいしか俺達にはできなかった。

 例え何か天文学的な偶然で俺の最高の一撃が相手に当たったとしても、向こうからすればハエが当たったみたいなものだ。これ程実力に差があるのなら、出来る事自体が……

 そう考えていたところで、窓から見える全てが白に染まった。いや、窓の向こうだけじゃない。俺たちの体まで真っ白になっている!?


「ZZ、動くな!」

「わかった!」


 視界の全て、自分の体まで真っ白になったせいで何も見えない。直ぐ隣にいるはずのZZまで、全く見えていないのだ。

 逆に、視界の中に一瞬、白で無い物が映る。もしかして、アレがアダム達なのだろうか。


「……これ、敵がやったんだよな」


 それ以外考えられないが、そうだとするとかなり状況が悪い。この風景だと、敵が自分を白くした場合完全に判別不能になるからだ。

 おまけに……


「うわ。センサーにも引っかからねえ」


 簡単な赤外線センサーでZZを見つけてみようとしてみたが、駄目だ。これは……アダム達は完全に敵を見失っているんじゃないか?


「……いや、待てよ」


 アダム達は真っ白になっていない。これはアダム達が何かをやったのか、それとも敵がそうしなかったのか。もし、敵がそうしなかったのなら……


「敵も、真っ白になったものは判別出来ていない?」


 もし、そうだとすれば一つの作戦が思いつく。俺たちにも出来る作戦だ。……これをアダムが思いついていないとは考えにくいが、やってみる価値はあるだろう。


「ZZ、右に一歩進んでくれ」

「わかった!」


 こいつはこういう時聞き分けが良いな。普段からこうだったら……いや、都合の悪い時以外は大体聞き分けが良いな、こいつ。


 まあ、兎に角この作戦はアダムとの連絡が必要不可欠だ。通信、出てくれよ。


「……アダム、今話せるか!?」

『その前にこっちから言わせろ』

「『煙幕を貼れ』」


 声が重なり、一瞬、本当に一瞬アダムの驚愕した様子があった。


『気づいたのか?』

「戦いながらのお前でも気づいてたんだろ。こっちは割とゆっくり見れてるからな」

『なら無駄話はいいな。十秒後だ。こっちにも用意がある。正確に十秒後、煙幕弾をぶっ放せ』


 それだけ言って通信が切られる。カウント開始だ。


 十秒。

 シェルターの扉を開け、外へ飛び出る。ZZをひっつかんで。

 九秒。

 アダム達の居る場所を照準に捉え、全身にエネルギーを回す。

 八秒。

 砲身構築、同時に煙幕弾の生成を開始する。

 七秒。

「ZZ、この辺の物全部砕いて粉にしろ!」

「分かった!」

 六秒。

 ZZが体を粒子状に分解し、辺りの物質をミリ単位で分解し始める。

 五秒。

 砲身構築完了、アンカー設置、エネルギー充填完了、煙幕弾構築中。

 四秒。

 煙幕弾構築終了、後は粉だけだ。

 三秒。

 二秒。

「出来た!」

「上に流し込め!!」

 一秒。

 発射用意完了、点検問題なし、距離二百二十五、セット!

 零!

「発射!!」

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