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ゲームの世界で(4)

「おいZZ、壊したのは俺だ、俺に寄こせ!」

「見つけたのはおれだろ! おれが全部だ!」


 ……現在、瓦礫の上で俺とZZはアイテムの取り合いをしていた。

 最初こそ先にたどり着いた俺がアイテムをかき集めていたのだが、ZZの方は何かのスキルでアイテムの場所を把握しているらしく、的確に探し当てていく。


「取った!」

「こっちも!」


 見つけているアイテムの数は、俺が七でZZが八。ここから逆転するのは少々厳しい。

 ただし、それは何もしなければの話だ。


「おらぁ!」

「あ!」


 ZZが取ろうとしていたアイテムを、寸前でかっさらう。


「こっの、あ!」

「よっしゃ!」


 速度では俺が圧倒的に勝っている。そして、ZZの動きは割と読みやすい。大体こいつはアイテムに向かってまっすぐ走るのだ。なら、その動きからアイテムの場所が予測できる!


「よし、三連続!」

「こんのぉ!」


 ふはは、これで俺の勝ちだ!


「あれ!?」

「引っかかったな兄貴! レアアイテムはこっちだぜ!」

「この野郎!」


 あいつ、この短時間に変な知恵を付けやがって! ぜってぇ負けねえからな!




 凡そ十分の死闘の末、俺とZZは手に入れたアイテムの合計数を比較した。


「えっと、アイテムのクラスが……おし、俺はDランク十一Cランク八Bランク三だ」

「おれがー、D九C七B二、そんでA一!」

「A!?」


 嘘だろ、こいつ!? 

 かなり珍しい、と言うか説明で割と熟練のプレイヤーでなければ入手不可とか書いてあったはずなんだけど。始めたばっかでこんなん手に入れて良いのか?


「よし、珍しいのゲットしたからおれの勝ちだな!」

「はあ? 多く手に入れたの俺の方なんだけど?」

「あんまり差ねーじゃん!」

「それを言うならAもBも似たようなもんだろ!」


 ……言っててなんだが割と苦しいと思う。それでもZZに負けるのだけは許せん!


「そこまで言うなら兄貴! このアイテムの性能で決めようぜ!」

「ああ良いよ! どうせ俺の勝ちだからな!」


 ZZがアイテムを乗せた手を突き出してくる。


「ほら、見てみろよ」


 ……滅茶苦茶腹立つ顔だな。心の底から自分の勝ちを信じ切ってやがる。

 で、どんな効果だ?


『胎動する歯車』ランクA 心臓の鼓動の様に回り続ける歯車。装備者の種族がサイボーグの場合、全ステータスを20%高める。強化上限数値500」


「……え、これ俺用じゃね?」

「へっ、誰が兄貴にやるか。おれが使うんだ」

「いやお前使えねーだろ。サイボーグ用だぞこれ」


 全ステータス20%アップはかなり強力だと思う。一応、強化される数値に制限は有るが……


「今の俺なら純粋にステータス1.2倍だな、これ」


 どう考えてもZZでは役に立てる事ができないアイテムだ。俺が持っていないと意味が無い。


「役に立たなくてもおれの見つけたやつだ、ほら、負けたんだしさっさと返せよ」


 腹立つなこいつ。まあ、俺の見つけたアイテムにこれと張り合えるようなやつは無い。これは完全にZZの勝ちだろう。かなりムカつくが。相当悔しいが。

 ……これ、今俺が持ってるのか。

 …………

 …………………………


「あーー!?」


 アイテムを持ったままZZから逃げ出す。これでこのアイテムは俺の物だ。


「おい兄貴ー! いくらなんでもそれは卑怯だろ!」

「うっせぇ勝った方の勝ちだ! これは貰ってくぜぇ!」

「あーーーーーーー!!!」


 ZZの絶叫を置き去りにし、全速力でその場から走り去る。

 ちょっとかわいそうな気もしてくるが、日ごろの迷惑料だと思ってごまかしておこう。……ごまかす必要ねえな、思い返してたら普通にムカついてきた。




「ああああああにいいいいいいきいいいいいいいいいい!!!!」


 あほ兄貴ー! 持ち逃げしやがったー! 割と苦労したのにー!

 ちくしょー足が速すぎる、もう見えねー。

 ……? ここどこ?


「兄貴ー! どこ行ったー!」


 周り見ても木ばっかでよくわかんない。どこだここ?


「兄貴ー、どこー?」


 走っても走っても景色が変わんない。あれ、これって……


「え? 迷子じゃね、これ」


 ……兄貴ー!


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