1話 転生、します
疲れたなぁ。残業ってのはなんでこんなに辛いんだか。
あたし、柊紫音は夜道をフラフラと歩いていた。連日の残業でめっちゃ疲れてるからか、足元がおぼつかない。
はぁ、残業なんてない、やりたいことができる世界があればいいのに·····。
そんな事を考えていたからかな。信号が赤の交差点に歩き出していた。気づいたら強い光があたしを照らしていた。あ、やっばいこれ死
救急車の音が聞こえる。でも聞こえるだけ。意識が朦朧とする。これダメなやつだ。あたしの人生、あっさりしてたな。
そうしてあたしの人生は終わりを告げ、二十七年を生き終わった。
って思ったんだけど、なにここ?あたし死んだんじゃないの?なんでこんな教会みたいなとこにいるの?
「あ、目が覚めたみたいね。ようこそ、転生の間に」
声がした。どこにいるねん。ってええ!?なんか浮いてるんだけど!輪っかあるよ天使みたいな!
「ふふ、私のこと、天使だと思ってる?」
あれ、なんか気さくだなこの天使(仮)。
「えっと、ここってなんなんです?あたし、多分交通事故にあって·····」
「そう、死んじゃったの。柊紫音さん」
だよね、あたし死んだんだよね?じゃあ
「なんであたし、意識あるんでしょうか?死んだんですよね?」
「あら、あんまり自分の死を気にしてないみたいね。珍しいわ。普通もう少し取り乱すのだけど」
そうなの?あたし死ぬ直前まで意識あったからなぁ。多分それで死を自覚してたのかな。
「とりあえず、ここはなんなのか聞いていいです?」
さっきも聞いた気がするけど、もう一度。
「じゃあ説明するわね。ここは転生の間。死者を転生させるための儀式を行う場所よ」
ん?待って転生?あたしそんなマンガみたいなことに巻き込まれてんの?
「冗談よして下さいよー、えっと·····」
「ああ、名前、教えてなかったわね。私はエリシア。まぁ天使だと思ってくれればいいわ」
やっぱ天使か。いやそれもそうなんだけど。
「なんであたし転生なんかできるんですか?そんな特別凄い特技とかないですよ?」
そう、あたしにとりわけ凄い力がある訳ではない。だってただの社畜だもの。転生なんかさせても意味なんか無いはずなんだけどな。
「転生させるにはある条件があるの。ひとつは不慮の事故で亡くなったこと。もうひとつは1度も悪さをしていないこと。犯罪を犯していないということね」
なるほど、確かに自慢じゃないがあれは事故だ。あと犯罪もやっていない。子供の頃から正義感の強い方だと思う。どちらかといえば悪さをしてるやつらを叱っていた。
「まぁほかにも条件はあるにはあるんだけどね。要は天国に行ける人は転生の条件を満たしているの」
「なるほど·····」
「でも、転生しなくてもいいのよ?天国にそのまま行ってもよしなの」
あ、選べるのか。なら、
「あたし、転生したいです。戦うのはごめんですけど」
天国に行くよりは転生して人生をやり直したい。仕事なんてない世界に行きたい。自由にやりたいことをやりたい。
「戦いなんてないわよ。ただ、かなりファンタジーな世界よ」
「え、じゃあ魔法とかある感じですか?」
「そうそう。ちなみに転生特典も付くわ」
「転生特典?特殊能力的な?」
「そう。あなたは特に善な行いをしていたから特別に好きなだけ特典を選んでいいわ」
なるほど、ならあたしは、
「じゃあ、美少女にしてください。十七歳ぐらいの」
「ふむふむ。他には?」
えーなんだろ。じゃあ死にたくないし、歳もとりたくないから·····
「不老不死、とかいけます?」
「もちろんよ。任せてちょうだい」
おお凄い!これで異世界ライフを満喫しよう!
「じゃあ、それでお願いします。エリシア·····様?」
「様は要らないわ。あと敬語もなし。エリシアでいいよ。あ、あと転生後も私とは話せるわ」
「あ、そうなの?」
「ええ、ここにいても暇なだけだしねー」
天使って意外と自由みたい。
「じゃあ転生を始めるわ。住む場所とかは問題ないはずよ。あと私からのサービスで色々能力を付与するわね」
「えっいいの?ありがとう!」
「いえいえ全然」
おっ足元に魔法陣が!体浮いた!
「では、あなたに祝福を。行ってらっしゃい、紫音」
なんかお母さんを思い出すな。優しい感じ。とりあえず、
「行ってきます!」
口にした瞬間、あたしは光に包まれた。
高評価等、よろしくお願いします。




