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勝利のための第一条件

――トーワへと続く旧街道



 事後承諾でマッキンドーの森を通り抜け旧街道へ。

 旧街道からトーワへ向かう途中でグーフィスとカインと合流する。

 

 まずはアグリスを立ってから三日後、カインと合流。

 彼にはトロッカー鉱山のマスティフに手紙を届けてもらい、そこで食料品や水などを追加調達。

 それをカリスのために運んできてもらった。

 マスティフに送った手紙の内容には、難民の支援を願うとだけ記す。

 

 まさか、カリスを強奪したとは手紙には書けない。

 書いてしまえば、ワントワーフはトーワに協力したことになる。

 だから、難民の支援という話をでっち上げた。

 文の端々に事情が見えるように記しているが、全体の流れとしてワントワーフはトーワに騙されたことになる。

 これが今後の鍵の一つとなるが、ネタ晴らしは後だ。



 さらに、今後行われるであろうアグリスからの上奏についても記した。

 アグリスはヴァンナスへ、『自国の(たみ)であるカリス奪還のために、トーワ征伐の上奏』を行う。

 もちろん、マスティフにはこれらのことを詳しく伝えていない。

 上記にあるように内容を(ほの)めかしてはいるが、表面上はトーワとアグリスの些末な行き違いによるトラブルとだけ伝えてある。



 そのトラブルを解決するための会議の席となるのは、アグリスともトーワとも関係の深いアルリナになるだろう。

 そこで、当事者と半島内の有力勢力たちを交え、話し合いが行われることになる。


 メンバーはトーワとアグリス。そして、アルリナ・ワントワーフ・キャビット。

 そこでの立ち回りを手紙に記しておいた。

 これに関しては、何が起きようとワントワーフの立場を守るよう記してある。


 

 カインと合流して二日後、グーフィスが合流してきた。

 急ぎのために物資は少なめだが、それよりも大切な状況報告を聞く。


 彼にはキャビットへの手紙と、アルリナへの手紙を持たせておいた。

 マフィンには事後承諾という形なるが難民の通行願い。

 もちろん、実際はカリスの強奪なので、嘘を記したことになる。

 トーワはワントワーフと同様に、キャビットを騙したことになる。

 同じくこれもまた、今回の鍵の一つ。


 そして、ワントワーフと同じく、話し合いの場での立ち回りをしっかりと。


 

 最後はアルリナになるが、グーフィスは到着後、まずゴリンに手紙を出した。

 ゴリンは手紙を受けて、すぐにトーワの全財産と人手を連れてアルリナへ向かう。

 その資金で、カリスたちがトーワで長期滞在ができる量の物資を購入した。

 購入した物資の中の簡易テントを使い、それをカリスたちの仮の家とする。

 

 それらが無事終えてから、ノイファンに手紙を渡す。

 彼はアグリスを恐れているため、私がアグリスと(こと)を構えようと知れば黙認はできまい。

 だからこそ物資を購入し終えた後に手紙を届けた。


 手紙には僅かに残った借りを強調して、早々と中立を宣言してもらうように記した。

 これは双方を刺激しない無難な立ち位置だ。

 彼としても積極的にアグリスとトーワの問題に関わりたくないため、喜んでこの申し出を受けるだろう。



 さて、ここまでのトーワと各勢力の流れを披露しよう。



――トーワとワントワーフ(マスティフ)


・トーワは難民の保護と偽り、物資を購入。これはトーワに騙されたため、トロッカーのワントワーフはアグリスに対して敵対的行動を示したわけではない。

・私はマスティフへ、アルリナで行われる話し合いの場での立ち回りを記す。



――トーワとキャビット(マフィン)


・トーワは事後承諾でカリスたちを難民と偽り、マッキンドーの森を通過させた。トーワに騙されたうえに事後承諾を押しつけ勝手に領地を横切り、さらには騒動に巻き込もうとした。

・私はマフィンへ、アルリナで行われる話し合いの場での立ち回りを記す。



――トーワとアルリナ(ノイファン)


・アルリナと敵対したことを語らず、カリスたちのために物資を購入。これではアルリナの立場がない。

・だが、ノイファンはトーワとアグリスの騒動に関与しようとしない。それを見越して、中立を宣言するように勧める。

 


――トーワとアグリス(二十二議会)


・アグリスは自国民奪還のためにヴァンナスへ上奏。その後の話し合いで解決できなければ、武力解決となる。

・アグリスの戦力は最大で五千。率いるはアグリス最強・謹厳実直にして常勝不敗の獅子将軍エムト=リシタ。



 と、ここまでが第一条件……ん、何の条件かって?

 それはトーワが圧倒的な勝利を迎えるための条件だ。

 ワントワーフを騙し、キャビットを騙し、アルリナは中立。

 訪れるのは無敗の将軍が率いる精鋭五千。

 対するトーワには、兵も守りも兵器もない。


 これでどのようにして圧倒的な勝利を得ようとしているのか?

 実はまだ、勝利への条件が全て開示されたわけではない。

 その条件がどのようなものかは、これから先の物語を楽しんでくれ。

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現在連載中の作品。 コミカルでありながらダークさを交える物語

牛と旅する魔王と少女~魔王は少女を王にするために楽しく旅をします~

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