第7章 『八十子の呪い?スキー場での災難』編
取り急ぎ、第7章を投稿します。
翌日になると、先日の騒ぎなどなかったかのように、落ち着いたOL生活を再開することができた。
年末も近いというのに、休日が暇な紋子は、八十子にからん(でしまっ)た。
紋子「ねえ八十子、休みの日さぁ、何か楽しいこととかないのー?」
八十子「えーっ、分かりませんけど…旅行とか、どうですか?」
紀子「旅行?」
八十子は「はい。」と頷く。
紀子「どこか、いいところあるの?」
八十子「私、時々、ローカル線とか乗って、旅行するの大好きなんです。今度、私、浜松行きます。」
紋子「『浜松』って静岡の?」
八十子「そうです。私、帰省しないんで。」
紀子「そうなの?」
八十子は頷く。
紋子「浜松かぁ、今度案内してよ。」
八十子「良いですよ?よかったら、先輩たちも、一緒に行きますか?」
紀子と紋子は『ハッ!』と気付いた。
紀子(八十子と旅行…。)
紋子(考えてみれば…何か、不安が半端ない…。)
紀子「考えておくね?」
紋子も同調する。
八十子は「はい!」といいながらも幾分、
『やっぱりかぁ』という表情をしていた。
紋子はそれを見逃さなかった。
その週末、紀子と紋子は、スキーに行くことになっていた。
『腐れ縁極まって』とは言え、程よい距離感を保てている二人。
いつもの旅行のように、安めのホテルに泊まって、バスでスキー場に行った。
その日は、修学旅行生が同じスキー場に来ているらしく、バスが何台か止まっていた。
紀子「小学生…みたいだねー。」
上級者コースに行こうと思ったが、あまりの急斜面で断念せざるを得なかった二人は、初心者コースをのんびりと滑っていた。
すると、次第に客が減り、修学旅行で来たらしい小学生たちと、紀子、そして紋子とあと数人のスキー客くらいになってしまった。
まったく滑り足りない紋子は、フラストレーションを解消するかのように滑りまくる。
すると、同じく小学生たちも飽きてきたようで、雪で遊び始めた。
売店のあるロッジでは、担任の教師らしき大人たちがくつろいでいる。
紀子「…。」
紀子のひそかな不安が的中したかのようにスキーの斜面の頂上から、小学生たちが雪玉を投げ始めた。
紀子「ちょ、ちょっとー!!!」
紋子「キャー!」
フラストレーションを解消するために滑りまくっていた紋子は思いっきりこけて急でもない斜面を滑り落ちてしまった。
小学生はテンションが高くなり、小学生の雪で作られたボール球の飛んでくる数は次々に増えていく。
これでもかと言わんばかりに、雪玉が次々に下の方へと投げられてくる。紋子はロッジのそばに避難した泣きそうな顔をした紀子の所に行き、雪玉を避けた。
紋子「分かった!分かった!八十子と浜松行く。ね?紀子?」
紀子は何泣きになりながらうなずいている。
紋子「おい、安倍―!」
しかし、そこにテレビは無かった。
紀子と紋子は、しぶしぶ、スキー場を後にして帰っていった。
今後とも、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。