第2章 『魔法戦士 北条紀子』編
取り急ぎ第2章を投稿いたします。
その次の日は、雪が降っていた。紀子がコートを着て出ると、紋子も厚着を着て出てきた。
紀子「おっ、紋子。おはよー。」
紋子「おはよー。寒いねー。」
紀子「雪積もってるー。」
紋子「だねー。」
通勤途中、小学生の男の子が、何やら木の方を眺めていた。
男の子「あ、ねえ、おばさん!」
紀子「おばさんじゃねえよ。」
紋子「何かなー?」
紋子も、聞いていながら聞く気がなさそうだ。
男の子「あのボール取ってー。」
木の上には、野球ボールが引っ掛かっていた。
男の子「投げたら引っ掛かっちゃったの。」
紋子「やだよー。」
紀子「行こう?紋子」
すると、紀子と紋子は一斉に雪の上を滑ってしりもちをついた。
紋子「いったたたた!」
紀子「いったーい!」
上空には、先日見た、『聖徳太子』のような形〔なり〕をした男性に加えて、『卑弥呼』のような形〔なり〕をした女性が浮かんでいるように見えた。
紋子「ああ、私達、今日死ぬのかなあ…。」
紀子「…うん。かもしれないねー…。」
紀子「ボール、取ってあげようか?」
紋子「そうだね。」
紀子と紋子は起き上がると、小学生の方に戻った。
とはいえ、かなりの高さでジャンプしても届きそうにない。
紀子「うーん。どうしたもんかなぁ。」
紋子「うーん…。」
男の子「取れる?」
紀子「難し…そうだね…。」
紋子が少し視線をずらすと、『聖徳太子』のような形をした男性と、『卑弥呼』のような形をした女性がこっちを見ていた。
紋子「ねえ、紀子、あれ…。」
紀子が紋子の指さす方を見ると、二人の姿。
紀子「まだいらっしゃったかー…。」
紋子「どうせ、私達は今日死ぬんだし、『コート』、破れても良いんじゃない?」
紀子「…そう…みたいだねー…。」
男の子は聞こえていないようだ。
紀子はコートを脱ぐと、
紀子「はっ!」
と言い、木の上のボールに向かって、鞭をしならせるように、斜め上にしならせた。
すると、その『半楕円』の形を描いたコートから、『波動』のようなものが飛び出し、木の上部の幹ごと切り裂いた。
木の幹と共に、野球のボールが落ちてきた。
紀子「…なにこれ…。」
紋子「…さぁ…。」
男の子「すっげー!おばさんたち、すごいねー!」
紀子「いやぁ…。」
『聖徳太子』のようななりをした男性と、『卑弥呼』のような形をした女性がいた方を向くと、ふたりの姿はすでになかった。
男の子「すっげー!ありがとう!」
と、男の子はボールを拾うとそうお礼を言ってきた。
紀子「そういう、問題?」
紋子「なんじゃないかな?」
紀子と紋子はそそくさと、かがむようにしてその場を後にした。
今後とも、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。