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「魔力でもないとやってられない!」  作者: さやそばらすか(第25章より『ことそばらすか』)
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第25章 『謎の再会』編

取り急ぎ、第25章を投稿いたします。

ある日、『北条 紀子』、『国富 紋子』、『祭田 八十子』、『平 花依子』、『引杉 範人』そして課長がいつも通りそれぞれのパソコンに向かって仕事をしていると、半透明な衣のようなものに、課のエリアが包まれた。


紀子「何よ、これ…。」


紋子「…。」


八十子「…。」


花依子と範人は、課長や、紀子、紋子、八十子の三人の方を不思議そうな表情で見ている。どうやら、半透明な衣が見えないらしい。


半透明な衣は、何度か上下に振れた後、


課の下座にあたる方から、上部がつかまれでもして運ばれたかのように去って行って、課のエリアを出ると、目には見えなくなってしまった。


紋子は立ち上がって周りを見回した。


他の課には何も起こっていないようだった。


課長「何だったんだろうねー。」


紋子は肩を落として席に再びついた。


定時になると、紋子は紀子と花依子にこう言った。


紋子「紀子、帰ろう?花依子さんも帰る?」


花依子「はい。」


八十子は幾分硬直している。


紋子「じゃあ課長、三人、お先に失礼します。」


課長「うん。お疲れ様。」


引杉主任が紋子に右手を挙げてあいさつを交わした。


三人の帰り道は暗く、そこまで都の中心部でもない三人の帰り道には星空が少しだけ見えていた。


紋子と紀子が空を見上げて見えたのは『オリオン座』と『月』だった。


花依子が空を見て、何を見つけたかは分からなかった。


『月』は見つけたであろう。


三人はいつの間にか立ち止まり、紋子がつぶやいた。


紋子「…『星座』か…。」


紀子が紋子の方を見て頷く。


道の向こう側から、二人の男女が歩いてきた。


以前見た、謎の男と謎の女だった。


謎の男は、何も言わず、紀子と紋子の方をにらみつけ、三人の右側を通り過ぎていった。


謎の女も、謎の男に隠れるように、謎の男とくっついて通り過ぎた。


三人の後ろで、二人は立ち止まった。


謎の男「あんた達、まったく使えないねー。」


紋子が振り返って睨み返す。謎の男、謎の女は振り返らず、謎の男がこういった。


謎の男「これは『貸し』だ。」


紀子「…。」


紀子と花依子も振り返った。


紋子「…。」


花依子「…。」


すると、いつだか見たような、老人二人、老いた男性と、老いた女性が、謎の男と謎の女の前に現れた。


老いた男性「ひょっひょっひょっひょ…。」


謎の男「おやおや…『情報化社会』を手中にでも収めた気分になっている人たちのお出ましかね…。」


謎の男は、謎の女に、道の左端を指した。


謎の男が道の右端に背中をつけて立つと、謎の女は道の左端に背中をつけて立った。


老いた男性と老いた女性は、謎の男、謎の女の前を何も言わず通り過ぎ、紀子たち三人の左側も何も言わずに通り過ぎ、去って行った。


老いた男性と老いた女性の姿が見えなくなるまで、5人はそれぞれ、老いた男性と老いた女性の後姿を見て、紀子は、謎の男と謎の女の方を振り返った。


謎の男は再び紀子と紋子の方を見てにらみつけた。そしてこういった。


謎の男「おい、帰るぞ。」


謎の女「うん。」


二人はそう言って、紀子たち三人の前を歩いて去って行った。


花依子「…なんだったんでしょう。」


紀子と紋子は花依子に何も返すことはできなかった。


紋子は花依子を先に帰るよう促して帰らせた。


紀子「…。」


紋子「…。」


紀子と紋子はそのまましばらく、謎の男と謎の女が去って行った方を見ていた。

引き続き、ご愛読の程、よろしくお願い申し上げます。

なお、この章から『ことそばらすか』として投稿いたします。

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