表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「魔力でもないとやってられない!」  作者: さやそばらすか(第25章より『ことそばらすか』)
22/32

第21章 『謎の男女と紀子の敗北 ~戻ってきた主任 引杉範人~』編

取り急ぎ、第21章を投稿します。

次の日、紀子と紋子が出社しようとアパートから出ると、入り口に黒い服に身を包んだ男がいた。


よく見ると、後ろには女性もいる。



紀子たちが構わず会社の方に向かうと、男が声をかけてきた。



男「よう、お姉さん。」



紀子「私?」



男「そう、ずいぶんな『力』持ってるそうじゃない。」



紀子「は?」



すると、男の後ろに隠れるようにしている女が言った。



女「『歪み』が生じた。私達も『手伝う』ことになりました。」



紋子「…なんか…。」



紀子「…湧いてきたね。」



男は女の方を見て、何やら話をし始めた。



紀子たちは気を取り直して、会社の方に向かいだした。



紀子「何あれ?」



紋子「…さぁ…。」



紋子が後ろを振り返ると、その男女も後をつけてきている。




「南無妙法蓮華経。南無妙法蓮華経。」



歩いている方向からそんな声がして、紋子も前を見ると、年老いた男女がこっちを見ていた。



紋子「今度は何よ…。」



紀子「…さぁ…。」



老人「ひょっひょっひょっひょっひょ…。」



そう言って老人は、手に持っている杖で地面を思いっきり突いた。



すると、その地面から、黒い霧のようなものが紀子に向かって襲い掛かった。


紀子「きゃぁぁぁっ!」



紋子「紀子!」



紀子の周りに黒い霧がまとう。



老人「ひょっひょっひょっひょっひょ…。」



老人が再び杖で地面を突くと、黒い霧が再び紀子を襲う。



紋子「紀子!『コート』『コート』!」



紀子は両腕を顔の前にやるだけで手いっぱいだった。



すると、いつの間にか、紋子の左側に、後ろにいた男がいた。



男「…ですよねぇ…。」



紋子が男の方を振り向くと、男の左斜め後ろには女の人もこびりつくようにしている。



男は、両手を前にして、『呪文』を唱えた。



男「『萬國仰天掌』!(ばんこくびっくりしょう)」



すると、男の手のひらの前から、白い火の玉状の『波動』が飛び出し、二人の老人の周りを通り過ぎていった。



二人の老人は、何事もなかったかのように、紋子と紀子を通り過ぎていった。



紀子と紋子はビビりながら老人が通り過ぎていくのを待った。



老人は、まるで何かに乗り移られでもしていたかのように、



紀子の右横を、意を介することもなく通り過ぎていった。



二人の老人が通り過ぎていってしばらくすると、紀子が尋ねた。



紀子「なんだったんですか?あれ。」



すると、男の後ろにこびりついている女が答えた。



女「あなた達では『処理しきれない』事態が発生しつつある。」



紋子「そんなこと言われましても、何のことやら…。」



男「『神出鬼没』あんたたちがどういう生活をしているのかは、大体調べてある。つまり、そういうことだ。」



紋子「意味が分かりません。」



男「能天気な生活の中に、『神出鬼没』の事態が発生する。」



女「『カラス』。」



男「そう、つまりそういうことだ。」



紋子「何か知りませんけど、凄い人そうですね。」



男「そんなこともない。俺にはその、『コート』の技は使えないし。」



女「『相性』。」



男「俺は……おおっと、自己紹介をしようと思ったら、もうこんな時間だ。」



女「遅刻する。」



紋子「…。」



男「いや、あんた達が、だぜ?」



紀子は時計を見た。



紀子「紋子!」



紋子もハッとなって時計を見ると、



紋子「きゃー!」



紀子と紋子は男と女に何も言わず駆けて会社の方に向かった。



電車に乗ると、果たして会社が大事か、あの男と女のなぞ解明が大事か、少し分からなくなった紋子と紀子であった。


紋子「紀子、あんた、あれ、大丈夫だった?」



紀子「…大丈夫みたいだけど…何か疲れた…。」



紋子「あんなのこれから何回もあるわけ?」



紀子「勘弁してよー…。」



重い足を引きながら、紀子と紋子は会社にたどり着いた。



事務室に入ると、なおの事足が重い。



紀子「課長の野郎…。」



課長の席が空席なだけでも足が重かった。八十子と花依子はすでに出勤していた。



紀子と紋子が席に座って少しすると、課長がだれか引き連れて、紀子と紋子の席の後ろを通った。


紀子「あ…。」


課長が紀子と紋子の方を振り返ると、声をかけてきた。


課長「今日から、『引杉』君が戻ることになった。」



課長が引き連れてきたのは、『引杉ひきすぎ 範人のりひと』、紀子と紋子の課の唯一の主任だった。


範人が会釈をしながら右手を軽く上げる。


紀子「あ、お帰りなさい。」


紋子「お帰りなさーい。」


八十子は同じ課で会うのが初めてだった。



課長「あそこにいるのは、『受付』からもらった祭田八十子君。」



範人「初めまして。引杉範人と言います。」



八十子「初めまして。」



課長「それから、派遣できている『平』君。『平 花依子』って名前だそうだ。」



範人「初めまして。」



花依子「初めまして。」



課長席に二人で行くのを八十子が見ていると、左手薬指に指輪を見つけた。



紀子がガッツポーズしている。



挙句、その両腕を高々と上げた。



紋子も安堵のため息を漏らしている。



紀子は、「ちょっと総務に郵便物がないか確認しに行ってきます。」といい、席を立った。



紋子も続いた。



廊下に出ると、紀子は安堵から声を漏らした。



紀子「『育休取得以外完璧』なのが来たー…。」



紋子「ふふふ…。」



紀子「これで仕事楽になるわ…。」



紋子「そうだね。」



紀子と紋子が席に戻ると、範人の復帰に気づいた他の部署が不満そうにしている。



紀子「ですよねー…。」



紋子「うん…分かる…。」



八十子が何事なのかとおろおろしている。



その日は他の部署の圧力により、テレビがつけられた。



安倍晋三内閣総理大臣(執筆当時)はその日出席しておらず、副総理が代理出席していた。



それを見てお茶を吹き出してしまう紀子であった。



テレビのリモコンでテレビをつけた女性も、その日は腹痛だったようで、お腹をおさえながら自分の席に戻っていった。


引き続き、ご愛読の程、よろしくお願い申し上げます。


さやそばらすか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ