新婚旅行3日目 マリーとデート
デートといえば、待ち合わせ。俺は、先に宿を出て、街中にある噴水で待っている。
「おっ、お待たせしました」
「おお、良いじゃないか!」
やはり、マリーには白が似合う。昨日、観光した時、マリーに似合う服があるなと思い購入した。
白いワンピースに白の帽子、緑髪が際立って可愛いな。
「ありがとうございます。よくサイズが合いましたね」
「一般向けだからフリーサイズだったんだよ」
「なるほど。それで私でも着れたのですね」
フリーサイズだけど幼女専用なのだとは、言えないな。
「それじゃあ、行こう」
マリーに手を差し伸べる。
「はい」
俺たちは、手を繋いで街へ出た。
異世界でもロリコンに優しくない世界だった。
露店や土産物屋に入るとマリーの可愛らしさから注目を集める。ただな……。ある土産物屋での事を例にあげよう。
「あら、可愛い。手なんて繋いで仲の良い兄妹ね」
「いえ、俺の妻です」
俺とマリーを二度見する店員。
「………」
「………」
俺と店員さんとの間に妙な沈黙が流れた後、ふむ、なるほどという顔をして。
「ちょっと、待ってくれないかしら?え〜っと、騎士団へは……」
「止めい!」
俺はすかさず店員の腕を掴んだ。
店員は、マジックアイテムで騎士団へ通報しようとした。
それは、一種の電話の様なもので、騎士団への直通電話が可能になっている。
「こっ、コイツ!?手慣れてやがる!?」
「貴方は、誤解していますよ」
「は、はぁ……失礼。その……なんといいますか……」
「言いたい事があるなら、ハッキリどうぞ」
「ロリコンですか?」
「グフッ!?」
真正面からロリコン呼ばわりされると意外に傷付くんだな……。
「否定は、……しません」
マリーやイナホが好きな時点でロリコンだし。
「やはり、通報を……」
「止めろって言ってるだろ!彼女、成人してるからな!だから、何も問題ない!」
「ロリコンは、皆、そう言いますよ!!」
「言わねぇよ!? マリー、カード!カードを見せて!」
「ユーリさんが言う通り、私は、成人しています」
「ああ、ホント……ひぃ!?」
店員さんは、ギルドカードの種族欄を見て青褪めた様だ。
「おっ、奥さん、竜で有りますか?」
店員は、言い方が変になるくらい怯えている。
「そうそう、見た目は凄く可愛いけど、竜体はカッコいいよ」
「もう、ユーリさんったら!」
俺とマリーのイチャ付きを店員に見せ付ける。
「……これ、うちの人気商品です。あげるので帰って下さい」
「「えっ?」」
「お願いですから帰って下さい。私たちの精神衛生上の為にも……」
商品を押し付けると背中を押しながら外に出された。
……これが、三件続いた時点で俺たちは、諦めた。
「……喫茶店にでも行こうか? いい匂いのする店見つけたから行きたかったんだ」
「……そうですね。残念ですが、そうしましょう」
喫茶店『ムーンドロップ』
甘い匂いに誘われて、俺たちは店内に入った。
初めての店なので店員に人気メニューを教えて貰い注文する事にした。
「家以外でこれ食べるの初めてだな」
「美味しそうです」
出されたメニューは、『ハニーセット』。
3段重ねのパンケーキに蜂蜜がかけられただけのシンプルなデザートと蜂蜜たっぷりのミルク。
それ、ホットケーキじゃないのか?と疑問を抱く人もいるだろう。
まぁ、一言でいうと、ホットケーキはパンケーキの一種になる。
パンケーキは、そもそも底の平らな鍋で焼いたケーキの総称なので、大きな意味でいえば、クレープ生地などもパンケーキの1つにカウントされるらしいぞ。
余談だが、ホットケーキという呼び方は、東京・日本橋のデパートの食堂で出されたハットケーキが転じたものらしいね。
正直、男の俺からしたら、甘くてふわふわしていて美味しければ、どっちでも良いと思うよ。
「マリー、はい、あ〜ん」
デートだから当然するでしょ。というか、俺はしたい。
「ゆっ、ユーリさん!?人前ですよ!?」
「だ・か・ら?」
「だからって!?」
「家でもしてるでしょ?それとも、見られるのが好きなマリーちゃんは、恥ずかしいのかな?」
「うう〜……」
マリーの反応が可愛いのでニヤニヤしながら、からかってみた。
「仕方ない。なら、引っ込めるとしよう」
「……食べます」
「ん? なんて?」
小声ではあったけど、聞こえていながら聞き返した。
「食べまーーむぐっ!?」
「ちゃんと聞こえていたよ。味は、どう?」
喋る時、口が大きく開いていたからパンケーキを一切れ、タイミング良く入れた。
「もぐもぐ……美味しいです。でも、喋ってる途中に入れられるとは、思わなかったです」
「そうか。なら、もう一度、あ〜ん」
今度は、ちゃんとしてあげる。抵抗がないだろうし。
「あ、あ〜ん……ぱく。うん、これが良いです」
マリーの小さな口が、パンケーキの欠片を食べる姿を見ていたら、雛鳥に餌をあげる親鳥の気持ちになった気がした。
喫茶店を出た俺たちは、また、露店巡りを開始した。
喫茶店の近くでは、アクセサリーやお菓子やらの店が建ち並ぶ。
「おっ、これ、土産にも良いな」
露店の1つで、瓶に詰められて売られていたのは、ビー玉に見える飴玉であった。
「これを2瓶下さい」
「銀貨3枚になります」
店員に代金を渡し、購入。さっそく1個食べてみることにした。
「久しぶりに飴玉を舐めたよ」
「ユーリさん、私にも頂けますか?」
「良い……そうだ。いい事思い付いた」
「ユーリさんのいい事は、大抵いい事でない気がするのですが?」
「まぁまぁ、ちょっとこっちにおいで」
マリーの手を引き、人混みから壁際に移動した。
……からの壁ドン。身長差があるからやりやすい。
今からやるのは、ギンカとか喜びそうだなと思ったが、今はマリーの事だけ考えよう。
その前に、ルーンを使おう。領域と秘密。
オセルは、認識阻害エリアを、パースは、無音空間を発生させる。
さすがに、恥ずかしいしね。
「ユーリさん?」
「マリー、飲み込まない様に注意してね……んっ」
「えっ?……んっ……んんっ!?」
自分の口の中にあった飴玉の表面が、唾液で溶け始めた状態で、ゆっくりとキス。マリーの口へ向かい舌を使って飴玉を押し出してあげた。
これ、キャンディーキスっていうんだっけ?
「にひ、まだ、誰ともしてないとっておき。一通り舐めたら、今度はマリーがして」
「……はい」
お互いに舌を絡ませて、飴玉が落ちない様にゆっくりと行き来させる。最初の飴玉は、溶け切ったの気付かず、舌を絡ませ続けた。
「もう少し欲しいよね?」
「………(コクッ)」
マリーは、無言で頷いた。もう一度、飴玉を咥えてやり始める。
「「んっ…んっ〜〜〜………チュッ」」
飴玉が溶け切って、唇を離す頃には、涎が混ざりあい一筋の糸が出来ていた。
また、俺の胸には、うっとりと目を細め、蕩けた表情でしなだれかかるマリーの姿がそこにあった。
「うう……」
「マリー、面白い表情をしているな!」
嬉しいやら恥ずかしいやらでなんとも言えず、表情がころころ変わっていく。
「誰のせいだと思ってるんですか!?」
「気持ち良かったでしょ?恥ずかしさで興奮してたし」
「〜〜〜〜っ!?」
顔を真っ赤に染める、マリーは可愛いね。
「……夜は」
「うん?」
「夜は、覚悟して下さい」
「………」
目を逸しながら言うマリーに心を撃ち抜かれた。エロースがいたら確実に鼻血案件だな。
俺たちは、来た時とは違い、手を繋いで宿に帰るのだった。