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出産から変わった事

「ふっかーつ!!」


 出産から三日三晩食っちゃ寝をした結果、アイリスは完璧に調子を取り戻した。普通なら1ヶ月以上かかるものだが。


「調子が戻ったな」


「うん、夜も大丈夫!」


「それは、もう少しの間止めた方が良いのでは?」


「大丈夫、大丈夫。傷もスライムに戻れば消えーーあれ?」


「おっ、スライム状態で人型に成るなんて珍しいな」


 今のアイリスは、蒼く透き通ったスライム状態のまま人型を形成している。いつもの様な蒼い塊ではない。


「ええっ!?生態変換(クリエイト)無しで人化出来てる!?」


「えっ、自分でその形を選んだんじゃないのか?」


 妊娠に出産と色々あったからかもしれないな。鑑定で確認しよう。


 名称:アイリス


 種類:粘性魔族(ヒューマンスライム)


 説明:スライムの性質を持った魔族で、任意に粘液体へと変化が可能。


「まてまて待て!種族変わってるぞ!?」


「えっ、ウソ!?」


 アイリスは魔人であって、魔族じゃなかったよな?


 カグヤは、魔族だったけど。


「鑑定出来る奴らを集めて確認しよう!」


 急ぎ、鑑定魔法を使える者を招集。各自に、確認して貰ったが、皆も俺と同じ結果だった。


「アイリス。何か変な物食べた?」


「う〜ん、出産後だからマリーと同じ物しか食べてないはずだけど?」


「そうよね。特別なメニューではあるけど、変な物は入っていなかったし」


「でも、食っただけで種族が変わるのか? 特性で、食った物の性質を受け継ぎはするけど」


「そもそも、出産が原因とか?」


 確かにエロースの意見には一理ある。出産による肉体の変化かもしれない。子供は、魔族な訳だし。


「あっ……」


 リリィが何かに気付いた様だ。皆の視線が彼女に集まる。


「リリィ。何か思い当たる事でもあったのか?」


「いや、食べるというか、飲んでいたよなと……」


『はい?』


「アイリスちゃんの魔力が減った時、ユーリ、何をしたっけ?」


「うん?そんなの血を……血?」


「かな〜と」


「確かにかなり飲ませたけど……俺どれだけ飲ませたんだ?途中から気絶して記憶がないぞ」


「大体、6リット程」


「おい、待て。普通、そんなに流したら死ぬからな」


 成人男性の血液が約6リット程で半分以上無くなったら死ぬと言われている。ただし、肝心なのは成分で、血液の量に関しては、水分をとればすぐに戻るそうだ。


 活性化した肉体の回復能力のおかげだろうか?


 普通なら死ぬレベルの出血でも気絶だけで済んだと言う事なのだろう。


「という事は、成人男性一人分程の血液を飲んだと言う事か?」


「そうなるわね。たぶん、それで規定値以上吸収して、人の性質を手に入れたとか?」


「なるほど。それなら話が通りますね。魔物と人が交わると産まれた子は、2つの性質を取得して魔族になるようですから、アイリスちゃんがスライムの特性で人の性質を取得し、魔族になったのではないでしょうか?」


 ルイさんの仮説は、あり得るかもしれない。


「よく分かんないけど、エンペラースライムから進化したと思っとこう。気にしてもしょうがないしね」


「まぁ、そうだよな。俺たちもよく分かってないし」


「とりあえず、この身体に慣れる事から始めようかな?」


「それが良いと思うよ」


 アイリスは、その日から生態変換(クリエイト)を使わず、身体の一部をスライム化させて操れる様になった。


 感覚としては、今までと全く変わらないらしい。


 異常も無いので久しぶりに2人で寝た。アイリスは、溜まりに溜まっていた様でスライム化までして色々してきた。


「ナニコレ!面白い!」


 スライム化した腕は、触手となり絡み付く。ヌルヌルしていてかなりヤバい。


「そういうのは、女の子にしなさい!」


 後日、エロースが参戦。


 アイリスのスライム化した触手がエロースに絡み付いてエロかった。


「ムリムリ無理!ヤメて、お願いだから!!」


「「ふっふっふ」」


 スライム化したアイリスは、普通じゃ出来ないプレイも出来るので2人してエロースをめちゃくちゃにした。絶頂し過ぎて気絶したけど、死にはしなかったから大丈夫!





 夜といえば、マリーにも変化が起きた。


 俺の子を産んだ事で安心したのか、凄く甘える様になった。


 なんだかんだで俺が離れていくと思って怖かった様だ。心配し過ぎだよ。


 そして、一番の変化は……露出かもしれない。


 元々、下着を付けていない事が多かった気がしたら、マリーの性癖だった。


 ホントの意味で気を許したのか、マリーの枷が弾け飛んだ。


 皆に見えない様に、廊下でスカートをたくし上げて見せて来たり、俗に言うおっぱいチャレンジをされたりと誘惑された。


 その場で襲ったらどうするんだよ。


 ……ごめん。保たなくて、襲っちゃった。


 部屋以外でするのは、かなりヤバかった。癖になりそうだから極力しない様にしよう。


 余談だが、偶然通りかかったエロースは、それを目撃し血溜まりをつくった。


 今回は、俺が原因だ。すまぬ。





 べディとフィロは、屋敷に住むことになった。ユリウスの子育てを手伝ってもらっている。それを見ていてふと思った。


 ママが複数人いたら子育てが楽になるのでは?


 うちでは、アイリスとマリーが一緒に育児を行うので、交代で休めたり、やりたい事が出来ている。


 2人以外にも乳母としてのフィーネや他のサポート要員がいるので分業も行えていた。


 所謂、女子社会ってやつがしっかり構築されている。一夫多妻のメリットだろう。まぁ、その分、男は稼がねばならんがな。


 恩恵は、他にもある。組手の相手が出来た。女性陣ばかりで、俺だけまともに訓練を出来ていなかったのだ。


「行くぞ、べディ!!」


「ハッ!…セイッ!!」


「っ!? ていっ!」


 べディは、俺の拳を受け流し、反撃してくる。俺もそれを受け流し反撃する。まともに受けるとそのパワーでやられてしまうからだ。


「時間だよ〜」


 アイリスの声で俺たちは手を止めた。


「う〜ん、いい練習になった」


「普通、人型とはいえ竜種と殴り合える人なんてそうそういませんからね」


「まともに受ければ、俺だってキツいよ。そもそも、魔法が無いと相手なんて無理だし」


「それでも十分凄い事です」


「そんなに褒めたって、食後のデザートが良くなるだけだぞ」


「おっ、ヤッター!では、葛餅を所望します」


「葛餅ね」


 こんな風に組手をするのが日課になった事も有り、べディはあまり遠慮しなくなった。


 そして、空間制御(エリアコントロール)の技術も上がった。


 今までと同様の自己運動性能の加速強化補助だけでなく、他者の運動妨害も同時に行う。


 具体的にいうと相手に重力の枷を加えたり、軌道をズラしたりだ。


 おかげで、人型竜種までなら素手で相手に出来る程になった。


 ってな感じで、色々変わったのだった。

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