拠点の改築
本日、異世界に来て2日目の朝。
ロックバードの羽根付き皮のおかげで、良い目覚めだ。寒くも痛くも無かった。コートのおかげでもあるだろうが、服にも効果があった。
名称:天の羽衣
レア度:A
性能:耐熱。耐寒。疲労軽減・回復。
説明:着たものの疲労を治癒する。
分かった所で行動を開始しよう。まずは、鍋で水を沸かして、白湯を飲む。
火は、教えて貰った簡単な魔法で起こした。ルーン文字だってさ。
火加減をイメージしつつ、文字を宙に書くと発火する。燃やすのは、寝床の木の一部。
寝床を造った時に、創る人の効果で一部だけでなく、木全体が乾燥していた。その枝や葉を切り落とし、七輪で引火させている。
朝食は、ロックバードの焼き鳥。木の串に刺したモノを焼いて食う。石の串で試したが熱くて辛かった。
串を用意するのは、面倒だろと思いそうだが、空間魔法でぽんぽん出来たよ。また、食べ終えた串は、火種にすればいいのでエコだ。
水と胡椒は、昨日の内に確保済み。
スキルのススメに従い、砕いた岩塩と胡椒を振りかけて食った時には旨さのあまり感動した。点滴ではなく、久しぶりの食事だったのもあるかもしれない。
内臓もあるので数日なら飽きないだろう。植えた野菜の種も数日で育ち食べられる筈だ。
昨日、小さくはあるが簡単に耕した畑では、既に芽が出ていた。農家のスキル影響だろうか、成長が早い。
食事を終えて満足した所で、この後、何をしよう?
寝床の周りを見渡す。切株が軽く10本程度。昨日、木材にしようと伐採して解体した結果だ。
アイテムボックスの木材アイコンでは、999とカンストして2つ目に移っている。
あはは、切り過ぎちまったぜ!
1本の木からおよそ100本程の木材を回収出来た。
よく考えるとこの森、モンスターが居るんだよな?
柵を用意するべきだろう。
でも、普通の柵って超えるよな?
何かしらの対策……あった。考えた結果、知識の中にあった。そうと決まれば、組み立てを開始する。
木材を加工して、格子状の柵を造る。釘も木材で用意して、空間魔法で取付ける。
これ、家も木材だけで作れるのでは?
そうこうする内に柵が複数完成。後は、魔法を刻むだけだ。
刻むといえば、彫刻刀。図工でお馴染みの彫刻刀が現れた。
柵の裏に古代文字を刻んで行く。ルーン文字は、単体でも効果を発揮するが、組み合わせにより別の効果を得られる。今回の効果は、組み合わせによる害獣避けだ。
ルーンを刻んだモノは、大気中の魔力を吸収して発動する。
詳細は、障壁を展開して害意ある者の進行を阻止。また、柵を乗り越えた場合、警報を行う。何を持って害意なのか、警報ってどんな感じなのか、よく分からないが無いよりマシだろう。
寝床を中心に円……は難しいので、四角に設置していった。糸と棒があれば、引けなくはないがな。そこまで拘る必要はない。
面倒くさそうな柵の設置。
「なんという事でしょう〜」
あっという間に、空間魔法で設置されていくではありませんか。1分もかからず終了したよ。
ただ、問題は、杭の部分の土だな。入れ替わりの為、土が集まった。……そうだ、トイレで使おう。
昨日から造らないといけないと感じていた。昨日、どうしたかは秘密。寝床から少し離れた場所に小屋を建てる事にした。
扉は無いが、木で2m四方に囲んだ屋根付きの小屋を組み立てた。端に箱を用意して土を入れる。
便器とタンクは石を加工して造った。構造としては、単純だ。タンクの栓を外すと水が流れ、戻すと止まる。流れた水は、便器に貯まり、ある程度の重さになったら下に落ちる。
ツアーバスのトイレを連想して欲しい。アレと同じ様なモノだ。
肥溜めは、深く空間魔法で10mくらいを掘った。深さのおかげで臭いは、そうそう上がって来ないだろうが、土の層を加える事で更に抑制出来ると思う。
ウォシュレットは……出来なくはないが材料が無い。鉄とかが手に入ったら作ろう。そんなこんなで、トイレも完成したので外に出た。
寝床の木の上部が気になった。所々、木材に使ってくり抜いたのでボロボロの状態になっていた。
「アレ、いつ倒れてもおかしくないよな」
そうと決めたので直ぐに行動。
屋根をV字の形に残して、ごっそり撤去。撤去したモノは、ブロック状に解体。
木材の長い形よりブロック状の方が空間魔法と相性がいい事がこれまでの経験で分かった。解体した後は、いつものアイテムボックス行き。
ここまでして一旦手を止めた。先程から陽射しが強く感じる。
上を見上げると太陽が頂点に来ていた。どうやら昼の様だ。
昼食にゴールドアッポを採りに行こう。流石に3食連続でトリ肉はちょっと嫌だな。まぁ、美味いけどね。
木までの距離は、300mとあまり離れてないから歩いて行く。短い距離を転移するのもな。
空間魔法頼りにむちゃくちゃ使っておいて、どの口がって感じだけど、それはご愛嬌って事で。
昼は、焼きリンゴも良いなと考えながら歩を進めた。