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ギンカの登録と買い物

 次は、同じ区画内にある冒険者ギルドへと向かった。ギンカの登録を行う為だ。


「………」


 初めて、絡まれなかった。事前連絡でも入ったのだろうか?


 受付で従魔登録書類を書いていたら理由が分かった。


「おい、なんなんだ?あの魔物は?」


「さっき声が聞こえたけど、フェンリスヴォルフだそうだ」


『!?』


「危険度Sじゃないか!それがあの兄さんの従魔だって?」


「魔物は、自分より弱い者には従わない。という事は、強いのか?」


「Sランク冒険者だな。ミスリルのカードが見えた」


「マジか。あんなに平凡そうに見えるのに」


 どうやら、今日はギンカが従魔だと分かるように魔物体で連れて来たから絡まれなかったらしい。そして、普段絡まれる原因は、やはり俺が弱そうに見えるからだった。泣けてくる。


「書類完成しました」


「記入漏れは……無いようですね。カードへの記入の為、一時お預かり致します。少々お時間かかりますが構いませんか?」


「はい。あっ、それと魔物の買取りお願いします」


「分かりました。それではここにどうぞ」


「カウンターじゃ、置けないのですが……」


 手ぶらだったから小さな魔物と思われたらしい。受付嬢は、カウンターを指している。


「アイテムボックス持ちですか?」


「そうです。魔物の全長は、推定50mほど有ります」


『!?』


 流石にそれ程の巨体だとは思わなかったのだろう。受付のお姉さんも動揺した。


「そっ、その魔物の名をお伺いしても?」


「メガロサイです。一撃で仕留めてあるので、状態はいい方ですよ」


「……貴方から見て右手の通路を進んだ先に解体所があるので、そこで係に言って下さい」


「分かりました。ギンカ、君の登録は終わったけどどうする?そのまま魔物体でいる?」


「いえ、街中ですし、人型に戻ります」


 正直、どっちも変わらない気がする。魔物体の方が騒ぎは大きくなるけど、人型は人型で騒ぎの中心になる。


 ギンカの人型は、美人だからな。


『!?』


 ギンカが生態変換(クリエイト)で人型になると周囲にざわめきが広がった。君たちさっきから驚き過ぎでは?


 アイリスの時みたいに羨ましいと思われた様だ。


 それでは、メガロサイを売りに行こう。


 右手の通路は石の回廊になっており、進むと中庭に出た。大きな建物が1つだけあり解体所だと直ぐに分かった。


 中にいた解体師さんたちにお願いする。メガロサイを見せると皆が口を開けて唖然としていた。


「どれくらい時間がかかりそうですか?」


「メンツがいるので、今日中には終わらせておきます」


 夜にもう一度取りに来よう。ギルドは、冒険者の都合上24時間営業している。


「では、夜にまた来ます」


 そう言って、ギルドを後にした。






 場所を移して、西区画の商業エリア。


 まずは、本屋に行こう。これだけの規模の商業エリアだ。珍しい本などが多く集まっていそうだ。


「いらっしゃい、何をお求めで?」


 本屋特有の紙の匂いが立ち込めていた。


 奥にいる眼鏡をかけたお婆さんに欲しい本の内容を告げる。


「昔から伝わる様な物語や絵本を数冊選んで下さい。イナホも選んで良いよ」


 リリアとギンカは、興味が無いので外で待っている。


「そうですね。勉強の為にも簡単な絵本を探します」


 イナホたちとリリスたちは家で文字の勉強をしている。獣人組は、文字を習う機会がなかった様だ。ハイエルフ組は、読めなくはないが書くのが苦手で勉強中。


 余談だが、エルフだけが使うエルフ文字なるものがあるそうだ。俺は、興味が湧いたので現在習い中。


 イナホは、絵本を探して本棚の間を縫っていった。それを追っているとフッと一冊の本が目に入る。


「……この魔導書を下さい」


 本棚の中に一際、魔力を放つ本があった。


「それは、魔法学校で使われる教本だよ。手書きによる写本だから高いが良いのかね?」


「大丈夫です」


 白金貨を見せて、金があるのをアピールする。魔導書は高額な為、金が有る事を示さないと売ってくれない。


「ふむ。魔力のコントロール出来てる様だし、問題なさそうだね。それはね、アタシが魔王国の魔法学校に通ってた時に使った物なのさ」


「話に聞いた事がある。『アルスマグナ魔法学校』だっけ?」


 確か、ユーフェミアさんの娘エミリアが通っているとルイさんから聞いた。


「そうだよ。昔は、私も本屋じゃなくて魔女だったのさ」


「今の方が絵本に出てくる魔女っぽいけどな」


「あはは、言うじゃないか。そうそう、絵本はこっちで選んで良いのかい?」


「お任せするよ。手持ちとカブってたら変更するけどね」


「任せな」


 選んでくれた5冊と魔導書。それからイナホの本を一冊。絵本は、どれも読んだ事がないものばかりなので全て購入する事にした。


 イナホは、それを大事そうに抱き締めている。


「まいど有り。魔導書で気になる事があったらおいで。サービスするよ」


「そうさせて貰うよ」


 俺たちは、店を後にした。





 商業都市ウェンは、食品も豊富らしい。


 竜王国で取り扱っていない食材なんかもある。


 店の商品には、特に胡麻製品が多い。この国の名産品でもあるからだ。


 黒胡麻と胡麻油を見つけたので購入する事にした。


 胡麻は、使い勝手がいい。


 胡麻特有の風味や香りは、調味料として料理やお菓子に使える。


 そういえば、胡麻を使うと一段と味が良くなる事から『胡麻化す』という言葉が生まれたって説を聞いた事があったな。


 今使う『誤魔化す』は、当て字らしいという話。


 オススメ:胡麻団子が良いと思います。通常の胡麻を使った物とこの国の胡麻を使った物を食べ比べては?


 スキルは、胡麻団子をススメる。茶菓子にもあって良いかもな。


 基本、緑茶か烏龍茶の時に食べてたけど紅茶に合うのだろうか?


 試して見るのも有りだな!


 ユーリは、胡麻団子を作る事にした。





 夜、冒険者ギルドに買取り結果を見に行った。


「メガロサイの解体が終了しました。合計で金貨1600枚となりました。素材明細は、こちらになります」


 解体師の男性から各素材毎の値段が書かれたリストを渡されてた。合計金額が歴代最高だった。


「皮って高いんだな」


 皮だけで金貨600枚と書かれていた。皮のサイズが大きいからだろうか?


「コートや鎧として使われます。ただ、狩れる人がなく、出回ってませんからね。あれから造れる防具は、伝説(レジェンド)に匹敵する物が出来るそうです」


「なるほど。それなら高いわ。サイ脂は、どうなりました?」


「引取りたいとの事なので、加工して置きましたよ。バケツ5杯分有りますが全部にしますか?」


 それは、多過ぎだな。そうそう使う物でもないし。


「2つだけ貰います。残りは、売却で」


「分かりました。バケツ1杯で、金貨1枚となりますがよろしいですか?」


「それで、お願いします」


 メガロサイを売って、金貨1603枚手に入れた。普通の金貨が減っていたから助かる。

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