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救助イベント発生!

 アイリスたちに会わせてからギンカの様子が変わった。


「ご主人様が望むならただの牝犬に成り下がる所存です!」


 何があった?普通に顔合わせさせただけだろ?


「今の所、別にいいから」


 十分に間に合ってます。


 その後の話をしよう。


 ……ギルさんにバレました。






 ******************





 屋敷前の転移門(ゲート)


 穏やかな表情になったカリスさんと執事服になったギンカがいる。


 カリスさんは、屋敷に連れて来てから表情が引き攣っていたが、温泉に入ったら柔らかくなった。


 やはり、温泉は偉大だな。


 ギンカが執事服なのは、アイリスに遊ばれたからだ。


 最初は、全裸だったから魔法で作ったメイド服を着せていた。


 それを聞いたアイリスの着せ替えショーが始まった。


 だからって、夜の服を着せるのは止めて!!


 何、アイリス?


 競泳水着姿を、どう思うか?


 めっちゃ似合ってる。


 じゃなくて、まともなのにして下さい!


 色々やった結果、執事服がしっくり来るのでそうなった。


「めっちゃ似合ってるな!」


 語彙が少なくて済まない。似合ってると理解してくれ。


「ありがとうございます」


 本人も気に入っている様だ。


 ……長居し過ぎた。


 そろそろ、他の馬車にバレるだろう。戻らねば。


「さて、俺たちは戻るよ」


 カリスさんとギンカを連れて帰ろうとしたら皆が見送りに来てくれた。


 別に集まらなくても良いのだけど、嬉しいな。


 バタン。


 屋敷の扉が開き、誰か出て来た。


「お母様。頼まれていたものを買ってまいりーー」


「………」


「………」


 出会っちゃいけない人に出会っちゃった……。


 なんで、ここにいるのかな?


「じゃあ、俺はそういう事で!」


 回れ右!


「おや?あの方は確かギルマスのーーきゃ!?」


「おっ?」


 全力で振り返り2人を脇に抱えた。


 脚力強化!


「おい!何故、お前がここにいるんだ!」


 後ろで叫んでるけど知らない。


 俺たちは、転移門をくぐり馬車に戻った。


解除(レイズ)


 転移門は、解除の言葉で霧散して消えていった。


「せっ、セーフ……。これで何とか流せそう」


「アウトでは?」


 まぁ、アウトだろうな。でも、捕まってないからセーフ!


 何か言ってきたら、ルイさん参加させて黙らせよう。


 うちで暮らして、アイスクリームが気にいった様だ。


 提供すれば、協力してくれるだろう……多分。


「あっ、あの!降ろして頂けませんか!」


 あっ、カリスも抱えていたの忘れてた。


「すみません。直ぐに降ろします」


 ギンカも一緒に降ろした。


「リリア!イナホ!ただいま、変わった事あった?」


 救援要請は無かったが、長期間空けたから少し心配だ。


「いえ、特には何も有りませんでした」


「メガロサイが襲って来たので撃退しただけです」


「そうかーーって、襲われとるやん!?」


「大丈夫です。一撃で仕留めました」


「硬質なので、リリアさんが火の竜撃弾(ドラグニルバレット)使いました」


「あ〜、それなら問題無しか」


 アレの威力は、特級クラス。


 効かない奴は、そうそういないだろうし。


「あの〜、メガロサイって危険度Sなんですけど……」


「硬質なので表皮と突進力は危険ですが、それだけですよ」


 ギンカも戦った事有りそうだ。


「俺は、見たこと無いがそうなのか?」


「ええ、ギンカの言うとおりです」


「死体ならまだ見えますよ」


 そうなのか?


 馬車から顔を出して後ろを見る。


「………」


 うん、気のせいだろう。


 何やら巨体が見えたのだが……。


 もう一度見よう。


「デカ過ぎだろ!?」


 そこには、巨大なサイ型の魔物が倒れていた。


 その大きさは、砂クジラが解体時に全長250m程と言われたから50mくらいか?


 正面から撃ったのだろう?


 後方に巨大な貫通した跡がある。


「救援呼べよ!!」


「撃ってダメなら呼ぼうとしたのですが、その前に死にました」


 本当に一撃だったのね……。


「次から襲われたら連絡するように」


「「は〜い」」


 俺は、素材が売れるかもだから回収してくるか。


「回収してくるよ」


「「了解しました」」


 転移。そして、鑑定。


 名称:メガロサイ


 危険度:S


 説明:砂クジラを避けて来たと思われる。肉質は、脂肪が多い。食用可能。ただし、好みが分かれる為あまりオススメしない。油脂の塊を持つため、料理の材料にするのをオススメします。


 アイテムボックスへ収納決定。


 油脂の塊。牛脂みたいなものか?


 でも、あれって調理用に加工されたものじゃ?


 ……解体職人に聞けば速いな。


 料理にするなら炒飯にしよう。


 牛脂を使った炒飯とか好きなんだよね。


 牛脂じゃなくてサイ脂なんだろうけど、変わらないだろ。


 俺は、収納して馬車に戻った。


 その後、一度休憩を挟み走る事、約2時間。砂漠を抜けて森へと突入した。


 地図によるとここから商業都市ウェンまで、森になっている。


 砂漠と違い、移動速度が出るので1日半で着く。


 この森には、危険な魔物は殆ど確認されていないらしいからのんびりした旅になりそうだ。


 と、思うと何かしら発生するものだ。


「『オラクル』から各リーダーへ。右に並走する集団有り」


 魔力感知で確認した。


 馬車の数は、2台。


 内訳は、逃げる馬車と追っている馬車だな。


「リリア!右に並走する馬車があるから確認してくれ。特に後方の馬車を見てくれないか?」


 何やら弓を射ってる様に見える。


「了解しました」


 ロングバレルを装備して、付属のスコープで覗いてもらった。


「不味いですね。後ろの馬車から襲われていますよ」


「カリス!どうしますか?」


 俺は、みすみす放って置けないのだが、こればかりは雇い主に聞くべきだろう。


「ユーリさんならどうします?」


「助ける余裕があるので助けますね」


「では、助けてあげて下さい。恩を売るのは良いことですし」


「商人らしい性格ですね」


「商人ですから」


「では、行ってきます。2人共、任せた」


「「はい」」


 とりあえず、前方の馬車に転移。






 *******************






 グレイ・フォーマスたちは、襲われていた。


「マズいな。このままなら追いつかれる」


「彼と私を置いて逃げて下さい」


 俺にそう告げるティア。怪我を負い寝かされている。


「置いて行けるか、アホ!仲間って言っただろうが!」


 そもそも彼女が倒れているのは、俺が護れなかったからだ。


「ですがーー」


「黙ってこの状況を打破する術を考えろ。そっちの方が有効的だ」


 とはいえ、この状況は不味い。


 せっかく逃げたのに、また捕まってしまう。


「今、戦えるのは俺とライドだけか……」


 メンバーは、女性3人に男性3人。


 女性陣は、戦闘に縁がないので無理。戦えるのは、男性陣のみ。


 ただし、男性1名は、俺の代わりにティアを庇い毒矢に倒れた。


 ティアも意識はあるが、毒矢に掠ったので毒の進行を抑える為に動けない。


 そして、俺たちに解毒剤の持ち合わせがない。絶望的だ。


「どうする?」


 ドサッ。


 馬車の上部に何か落ちたのか?


 衝撃が来た。そして、後方からの矢の音がしなくなった。


「矢が尽きたのか?」


「よう!大丈夫か?」


『!?』


 外を盗み見ようとしたら馬車の上から顔を出して覗き込む者がいた。


「アイツらの仲間か!?」


「あ〜、違う違う。助けに来てやった方だ。よっと!」


 ソイツは、のほほんとした口調で喋りながら降りて来た。


 警戒してライドと一緒に前に出る。


「何処に証拠があるんだ?」


「そんな、警戒すんなって。証拠なら矢が来ない様にしてるだろ、ほら」


「「なっ!?」」


 彼が指差す先では、矢が見えない壁か何かに弾かれて落ちて行くのが見えた。


「ついでにこれをやるよ」


 ポイっと液体の入った瓶を2つ渡された。


「その2人に飲ませるか、かけると良い。そうすれば傷が癒える」


 これは、ポーションか?


「だが、そんな代金払えないぞ!」


「タダでやっても良いが……納得しなさそうだな。だったら、働け。家の掃除が大変でな。うちの娘たちを楽させたい。心配なら契約書あるぞ」


 彼は、虚空に手を入れ紙と羽ペンを取り出すと書き出した。


「ほらよ。雇用条件書いた」


 渡された紙に書かれた条件を読んで思考が停止した。


「ティア。これを頼む」


 ティアに見せる。彼女が一番博識だからだ。


「こっ、これは!?」


「それをどう思う?」


「ありえません!こんな破格の条件なんて!?」


「えっ、安すぎた?」


 彼が困った表情をしている。


「違います!むしろ高過ぎます!しかも、私達に権利の主張を認めるのですか!?」


『!?』


 皆も衝撃を受けた様だ。本来、そんな事を契約書に記載しない。


 コイツは、バカなのだろうか?それとも寛容なのだろうか?


「別に良くない?はっきり言える事は良い事さ。俺にしてもアンタたちにしてもな。で、どうする?」


「私は良いと思います」


「わかった」


 ティアの言葉を信じよう。


 気を失っている者を除いて、皆で契約書に名前を書いた。


「契約成立。直ぐに行うんだぞ。そこの奴は、いつ死んでもおかしくないからな」


 彼は、耳に付けている物に触れて喋り出した。


「俺が今から後ろの連中を拘束するので休憩地点で合流しましょう」


 その後、こっちを向いて頼み事された。


「俺は、後ろの馬車を運転するから、左の馬車たちに合わせて並走してくれ。頼んだぞ」


 彼は、そう言って消えた。


「これは、転移!?」


 転移。高位の魔法か。


「……言われた事をしよう」


 意識は、まだないが仲間の傷が癒えていくのが分かる。


 それを見て、俺たちは信用する事にした。


 左の馬車たちに並走する事、30分。


 停止したので俺たちも止まった。

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