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襲来

 ハプニングは、連続して起こるという。


 イナホの件でビックリしたものの、問題なく朝食は行われた。


 ドゴォオーーーン!!


 家が少し揺れた。


 何やら地下で爆発が起こったようだ。


 生憎、地下で爆発しそうな実験はしていない。


 魔力感知で下を確認。


「さて、これはどういう事だと思う?」


「すみません。お父様が迷惑をかけて」


「爆発したのは、転移門かな? そこら辺で魔力の拡散が見えたし」


「多分な。転移門が壊れてたら代金請求してやる」


「どうぞどうぞ」


「その場合は、高額をふっかけよう」


 この爆発の原因は、おそらくガイアス爺さんだろう。


 竜種は、体内魔力が豊富な為、魔力感知で姿形がよく見える。


 だから、急いで転移門を閉める動作までしっかり見えた。


 ドタドタドタッ。バン!


「儂を匿ってくれ!!」


 廊下を全力で走り、食堂へ駆け込んできた。


「爺さん。いったい何をやらかしたんだ?」


「やらかすも何もあるかい!いきなり襲われたんじゃ!!」


「誰に?」


 竜種を襲うなんて化け物ですか? もしくは、阿呆か?


「この魔力滓は……お母様ですか?」


 よく観察するとガイアス爺さんからとは別の魔力を感じる。


「何をやって奥さん怒らせたよ? というか、いたのね。会った事無いけど」


「お母様は原則、カリーナの森から南にある魔王国。それの、さらに南にある浮遊大陸の竜神殿に住んでますから」


「えっ、何? 別居? 仲悪いの?」


「いえ、悪い訳では有りません。ただ、あの場所はお母様の一族が管理する場所ですので、現長のお母様が管理してるだけです。それに竜種には、距離関係ないですし」


 来たいと思えば、直ぐに来れると。


「で、結局何が原因?」


「儂から伝えるのを忘れてた」


「何を?」


「マリーが妊娠した件」


「「………」」


 自業自得では?


「マリーのお母さんと仲悪くなりたくないから放り出していい?」


「やめてくれ!アヤツの方が儂より強いんじゃぞ!!」


 そんな、またまた〜、竜王でしょ。


 ただ、奥さんに頭上がらないだけだろ?


 俺もそんなに変わらないし。


「お父様。そもそも、誰から伝わったのですか?」


「ユフィの奴が伝えたらしい」


「ユフィって?」


「長女に当たります。名前は、ユーフェミア。しかし、お姉様はお母様と一緒に住んでるのに、どうして知ってるのでしょうか?」


「魔王国の学園にいる娘の様子を見に行った帰りに王宮へ寄ったんじゃ。そのついでにギルの所へ会いに行って、そこで聞いたようなのじゃ」


 竜神殿と竜王国は、魔王国から正反対だが来たのか。


 ホントに気軽に移動するのな。


 しかし、今回の話で経路が分かった。


 ギルさん → ユーフェミアさん → マリーのお母さん


 妊娠発覚は、3ヶ月ほど前。


「そりゃあ、怒るよな。孫の件だし」


「そうですね。さすがに、お母様が攻撃しても仕方有りませんね」


「じゃが、だからといって聖光滅却(ホーリープリズン)は無くないか!?」


「聖光滅却?」


火竜爆炎波(ドラグニルフレア)と同じ、特級魔法ですね」


「特級魔法を放たれたと……」


「そうじゃよ」


 同情してくれと言わんばかりに詰め寄ってくる。


「俺もアンタにやられたわ!分かってたけど、アンタもなんつうもん放ってんだよ!」


「娘が出来たら気持ちが分かるわい!儂は、お主と違い完全防御しきれずに少しくらったんじゃからな!!多重障壁全部を力ずくで破るし……」


 ガイアス爺さんは、さっきの事を思い出したのか、哀愁を漂わせる。


「まったく儂より強過ぎるんじゃ。しかも、若づーー」


 ガシッ。


「若?何です?」


 ガイアス爺さんの頭部を後ろから片手で掴む美女が立っていた。


 スラッとしたプロポーションに、出る所はしっかり出ている。


 一目見たら忘れないだろう美女がそこにいた。


「あっ、はじめまして。ユーフェミアさんですかね?俺は、ユーリ・シズとーー」


「ユーリさん。ユーリさん」


 横からマリーに小突かれた。


「なに?」


「お母様です」


「えっ?……はぁあ!?」


 一瞬、理解が追いつかず思考が停止した。


 マリーの顔と美女を二度見してしまう。


「えっ、だって、ガイアス爺さんと違い過ぎだろ!?てっきりお婆さんを想像してたんたが!?」


「そうじゃろ!もっと歳相応の格好をすべーー」


「黙りなさい」


 ドカン!


 片手で放り投げられたガイアス爺さんは、食堂の扉から出て行き、激しい音を立てた。


 壁……壊れてないと良いな。


「ユーリ、ユーリ。生態変換(クリエイト)は見た目イジれるから」


 アイリスが補足してくれた。


 なるほど……で、それはどっちが?


「何かしら?」


「いえ、落ち着いて欲しいなぁと。うちの娘たちも怯えているので」


 さっきからこっちを見て、ビクビクしている。


 朝食は……食い終わってるようだ。良かった。


 この状況で食事は辛そうだしな。


「あら、ごめんなさいね」


 マリーのお母さんは、皆に向かって素直に頭を下げてくれた。


 危険人物には変わりないが、良い人そうだ。


 これで皆も少しは落ち着くだろう。


「お母様。お久しぶりです」


 マリーが一歩前に出る。


「マリー!久しぶり。元気してた?」


 そう言って抱きしめる、お義母さん。


「あら?妊娠も順調そうね。良かったわ」


「ええ、ありがとうございます」


「ルイ姉さん、お久しぶりです!」


 アイリスが姉さん呼びか……。


 今後、歳の話には気を付けよう。


「あらあら、スライムちゃんも居るのね。聞いてるわよ。貴方も妊娠したって、おめでとう」


「ありがとうございます。今は、アイリスって名前があるので、そう呼んで下さい」


「分かったわ。アイリスちゃん」


「では、ユーリさん。改めて紹介します。母のルイーズ・ヴァーミリオンです」


「ルイーズよ。気軽にルイで構わないわ」


「分かりました。ルイさん。ユーリ・シズと言います。改めてよろしくお願いします」


 とりあえず、席に案内しよう。


「立ち話もなんですからこちらにどうぞ」


「まぁ、ありがとう」


「朝食はお済みですか?なんでしたら用意しますが?」


「大丈夫よ。済ませて来たから」


「でしたら、これをどうぞ。皆のデザートに出そうと考えてた物です」


「あら、美味しそうね。頂くわ」


 皆のおやつに用意したプリンを出してあげた。


 彼女だけなのも変なので、朝食のデザートにしよう。


「皆のもあるよ。回して」


 アイテムボックスから出して回していく。


 全員に行き渡った様だ。


 1人忘れてる気がするが気のせいだろう。


 朝から食べるプリンは、やっぱり美味い。

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