買取り成果は
「では、買取りの目録が出来ましたので報告させて頂きます」
目録は、こうだった。
ミカン。1個、金貨2枚。
50個売ったので金貨100枚。
じゃがいも。キーウイ。ラプリカ。1箱、大銀貨1枚。
2箱ずつ売ったので、金貨3枚になる。
トマト。1箱、金貨1枚。
これも2箱売ったので、金貨2枚。
ナギサ麦。1箱だけなので、金貨2枚。
サツマイモ。これも1箱だけなので、金貨3枚。
パイナップル。1個、金貨1枚。
10個売ったので、金貨10枚。
イチゴ。1籠のみ、金貨3枚。
計、金貨123枚。
大金貨1枚と金貨23枚にして貰った。
殆ど、金貨での買取りだ。
高級品扱いだな。
「予想以上の高値で驚きました」
「これ程の糖度の物は、砂糖以外では珍しいですからね。甘味に高値が付くのはいつもの事です」
甘味に飢えているのね。
これ、ケーキやプリンの店出したらどうするんだろう?
ちょっと気になる。
「俺としては、家の余剰分が処分出来て良かったです」
「また、余ったらお願いします」
「こちらこそ、喜んで」
良い取引きだった。
「そういえば、家はどちらなのでしょうか?」
カリーナの森って言っても信じないだろうな。
あそこ危険地帯らしいし。
「ちょっと訳ありでして……転移で良ければ、この後、連れて行ってもいいですよ」
「さすがに竜種の姫が住む場所ですからね。警戒は当然です。転移とおっしゃいましたが、ユーリさんの魔法で?」
「はい、俺は空間魔法が得意なので」
「では、すぐに準備致します」
10分後、2人で商業ギルドを後にした。
「ロゼットさんって、目利きに自信有りますか?」
「そうですね。大抵の物なら大丈夫です」
「海鮮とかも?」
「ここでの取引は少ないですが、当然知識は有りますよ」
「良かった。帰りに買い物して行こうと考えたのですが、良ければ選んで頂けませんか?その代わり、夕食はご馳走します」
「おお、喜んでお受けします。しかし、この街では新鮮な物なんてーー」
「じゃあ、行きますよ」
「はい?」
転移で港町ベレチアのゲート前に到着。
「俺は、貴族ゲート使いますけどロゼットさんは?」
「わっ、私もそちらを。商会のプレミアム会員証があるので」
「では、行きま……どうしました?」
いきなり服を掴まれた。
「あっ、あの、あの門構えからして、ベレチアでしょうか?」
「そうですよ。買い物って言ったじゃないですか」
「それが転移による買い出しなんて聞いてないですよ!」
「別に変わらないでしょ?ささっ、行きますよ」
「……分かりました」
「あっ、来たらトカレフさんが顔を出せって言ってた。冒険者ギルド寄りますね」
「私、その方には会った事ないですね。なので、私は終わるまで待ってます」
「いやいや、行き違いになったらどうするんですか?1人で竜王国まで帰りますか?」
「確かに、それはそうですが……」
「だから、行きましょう」
冒険者ギルドに到着。
「おう、来たな。ちょうどいい。狩って来て欲しい奴が……ソイツは誰だ?」
「あっ、自分はロゼット・トリーアスと申します。竜王国商会ギルドの副会長をやらせて貰ってます。よろしくお願いします」
トカレフさんの前に立ち、直角に身体を曲げる。
「俺は、ベレチアのギルドマスター、トカレフだ。よろしく頼む」
「彼は、ちょっとした付き添いで連れてきたんですよ」
「まぁ、身元が分かってるならいいさ。それより、竜王国とベレチアの中間に湖があるのは知ってるか?」
「はい、以前に上から見た事が有ります」
「それは、クラーケン討伐の時だな。で、そこにキングビーバーが巣を作ったらしいから狩って来てくれないか?」
「直ぐに行ってきますよ。彼は、置いていきますのでよろしくです」
「ちょっ!?ユーリさん!!」
「分かった。預かっておく」
「では、行ってきます。転移」
記憶を元に湖に来た。
「さてと、巣はどこ……あれだな」
どう見ても巣ってやつがある。
獣骨が積み上がって出来た骨のドーム。
魔力感知。
内部に2匹、巨大なビーバーがいる。
一応の鑑定結果は、クソ不味いだった。
……ただ、殺そう。回収の為とか考えずに。
「せい!」
フラガラッハで横薙ぎ。ドームごとキングビーバーを切断した。
それから死体をアイテムボックスへ収納。
ドームは、魔法で燃やす。
こういうのは、残して置くと他の魔物の巣になったりして被害が出るから壊す事になっている。
狩ったし戻ろう、転移。
「ただいま」
「!?」
ロゼットさんがソファーで跳ね上がった。
「相変わらず早いな。キングビーバーは?」
「2匹狩ってきた」
「やはりか。巣があると聞いたからな。解体所に置いといてくれ。代金は、また後日か?」
「それで頼みます。ロゼットさん、買い物行きますよ」
「あっ、はい!」
ロゼットさんを連れ回し色々買った。
鑑定だと状態は見れるが、その中で1番良い物とかは分からないのだ。
おかげで、見分け方を覚えた。
「ここが家になります」
「ひぃ!?」
転移で帰った我が家の周辺を見て、なにやら引き攣った顔をしているが気のせいだろう。
「おっ、ユーリよ。邪魔しとるぞ」
「なんだ。来てたのか」
声がしたので振り返ったら、ガイアス爺さんが社の階段でお茶を飲んでいた。
そこ、意外に落ち着くんだよな。
俺もたまに同じ事をしているし。
「商会に行ったと聞いたが、どうじゃった?」
「良い値で売れたよ。詳しくは、彼に聞くといい」
「はじめまして、ロゼット・トリーアスと申します」
相変わらず見事な立礼をする。
「おお、これは丁寧に。儂は、ガイアス・ヴァーミリオンじゃ」
「竜王様!?」
そんなに驚く事かな?
「あっ、そうだ。今晩、魚のフライだよ。期待して」
「ほう、それは楽しみじゃ」
「ロゼットさんも楽しみに……ロゼットさん?」
「竜王に会った。竜王に会った。竜王に会った」
ブツブツ、同じ事を言っている。
「コヤツ、大丈夫か?」
「ロゼットさん!」
「ハッ!」
正気に戻った様だ。
「畑を案内しますよ」
「あっ、お願いします」
畑を見せたら安心したようだ。
その後、農業試験場を見せたら、ドン引きされた。
「属性剣による農業って何考えてるんですか!?」
「う〜ん、遊び?」
「………」
そんな感じで案内は終わった。
晩飯は、予定通り魚のフライ。
タルタルソースも用意したので美味かった。
ロゼットさんは、何かに取り憑かれた様に食っていた。
食事後、温泉に案内。
満喫してくれたらしく、表情が緩やかになっていた。
帰りは、ちゃんと転移により送り届けた。
今日は、良き知り合いが出来た素晴らしい日だった。