直ぐに終わった以下略
「何でも有りの一本勝負。降参もしくは、気絶したら負け。ケガに関しては、自己責任。互いに問題はないか?」
「問題無しです」
「こちらも同じだ」
互いに武器を出す。
相手は、レイピア。
魔力を纏っているのが確認出来る。
俺は、炎魔剣イフリート。
初の対人戦使用。
「試合開始!」
開始と同時に俺へと迫るガロア。
そのレイピアの狙いは、俺の腕。
グサッ。
鮮血が舞う。
ガロアの放った高速の刺突が、腕に突き刺さった。
「獲った!」
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「試合開始!」
思考加速。
ガロアの突進の速いこと速いこと。
もう、俺の目前まで来ている。
空間転移。
ガロアの背後に移動。
普通に殴ろうとして手を止めた。
格の違いを見せ付けるのがメインだった。
俺もイラってきたしな。
後ろに下げた左腕を掴んで斬り落とす。
切り口は、焼けて血が出ない。
シフト。
元々の位置に戻って、レイピアにガロアの左腕を合わせる。
思考加速解除。
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「獲った!」
「何を?」
「お前の腕だ!降参するーーぐっ!?何だ、この痛みは!?左腕から!?」
どうやら状況に気付いた様だ。
無い筈の左腕に視線が向いている。
「おい、よく見ろよ。お前が刺したモノは、何だ?」
「ひっ、左腕だと!?」
「じゃあ、再開するぞ」
思考加速。
シフト。
膝から下の両足切断。
シフト。
元の位置に戻る。
傍から見たら動いて無いように見える筈だ。
思考加速解除。
「ぐふっ!?」
足が無くなり、剣を地面に刺しバランスを取る。
「次は、レイピア」
思考加速。
シフト。
炎魔剣イフリートを一振りする折れる。
2回振って刀身を細かくした。
シフト。
思考加速解除。
「なぁ!?」
支えの剣は折れて倒れかける。
「ほらよ」
「がっ!?」
頭を掴み仰向けに倒した。
「で、そろそろ降参する気ある?」
「こっ、断る!!」
さすが、Sランク。弱くても心は強い様だ。
「そうかよ」
ガロアの目を睨む。
英雄覇気。
最近練習して範囲を絞れる様になった。
「ひいぃ!?」
小さな悲鳴を上げた後、泡を吹いて気を失った。
「マスター。気絶させたよ。確認して下さい」
「分かった」
マスターは、ガロアの近くによって色々確認しだした。
「気絶確認。決闘終了。勝者ユリシーズ!」
歓声は、上がらない。やり過ぎたか?
「どうも。これ、エリクサーの劣化版です。寿命は伸びないですがどうぞ」
通常のエリクサーを薄めたモノだ。
寿命が伸びるの知らずにリリスたちに使ったから土下座した。
許してくれたから良いけど。
その後、劣化版を作った。
精製水の量を増やすだけだったけど。
これで、フォローしておく。
「すまぬ。そこまでして貰って」
「いえいえ、会議室に戻っていますね」
アイリスたちの所に戻って、部屋へと向かった。
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観客は、ドン引きしていた。
「おい、なんだよ、アレ?化け物か?」
「知らねぇよ。ユリシーズって、アレだろ?竜王祭優勝の」
「そんな奴に喧嘩売ったのか」
「でも、いいザマだろ。アイツ、他人を馬鹿にしてたしな」
「ランクは低いからって、格をとか言ってたら逆にのされちまったな」
「しかも、相手に手加減されてやんの」
「なぁ、聞いてくれよ。さっきマスターに渡したのエリクサーだってよ」
「おいおい、どんだけなんだよ。あのユリシーズ」
「あれって素材が入手困難で希少だろ?」
「それを気軽に入手出来る実力なんだろう。怒らせない方がいいな」
「確かに」
ユリシーズに対して妙な団結が生まれた。
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「圧倒的だったな」
マッドの呟きで話が広がる。
「当然だよ。アタシが手も足も出ないんだからね。というか、転移使ったのかい?たまに、ブレた様に見えたよ」
頷くカトレアたちとアイリス。
見える人には見えるんだな。
「使ったよ。動いていないように見せる為に、転移斬る転移斬るってね」
「なるほど。そういう訳か。奴の腕が現れたのは」
「腕を刺しに来たからアイツの腕を置いてみた」
「だから、ーー」
バン!
激しく扉が開き、トカレフさんとビリーさんが駆け込んできた。
「緊急事態だ。クラーケンに船が襲われてる」
『はぁ!?』
あれ、現在封鎖中じゃなかったっけ?
「貿易船だ。既に海上の為、通達が行かなかったみたいだ。至急、船を出す!港まで来てくれ!」
急いでギルドを出てついていく。
港には、帆にギルドマークが入った巨船が置かれていた。
「準備するまで待っていてくれ」
早急に出港の準備が始まった。
「ねぇ、ユーリ」
「どうした、アイリス?」
「クラーケン。見える距離に居るよ」
『何!?』
アイリスの指差す方へと視線を向けて集中する。
「見えるか?」
「「「見えた」」」
マッドは、見えない様だが、ビリーさんとシオン、ベルは見えるようだ。当然、俺も視力強化だけで見える。
「船がヤバいな。おっ、上体を起こしてる!これならイケるかも!アハトアハト」
「それが例の……」
「何だ!?その武器は!?」
反応が真逆な2人を、無視して構える。
バチバチッ!
「フラガラッハ装填。放電開始」
上体に向かって照準を合わせる。
「くたばれ!」
飛翔するフラガラッハは、無事クラーケンの上体に命中。
「クラーケンに命中したがやれたか?」
俺の目には、沈黙して見える。
「上体の半分が吹き飛んだみたいですね」
「手足は、動いていない」
「船も一応無事みたいです」
「速さと貫通力重視のレールガンで正解だったな」
「お前、今何をしたんだ?」
いつの間にか、側にトカレフさんが来ていた。
「おっ、マスター。クラーケン仕留めたよ。確認したから船大丈夫?」
「準備が出来たから呼びに来たのだが……仕留めた?クラーケンを?」
「うん。見る感じ沈黙してるから大丈夫じゃない?」
再度、見たけど沈黙していた。
「「………」」
2人共、絶句している。
「おっ、懐かしい。アタイのときもそんなだったな!」
船の上からカトレアの笑いが聞こえてきた。
「じゃあ、船に乗って見に行こうか。船の救助もあるし」
「おっ、そうだった。乗り込んでくれ」
「うん?ねぇ、ユーリ」
「なに?」
「普通に目視出来てたなら転移でクラーケンの上に行って撃てば良かったんじゃない?」
アイリスの言葉に思考が停止する。
「………」
「………」
その方が確実だよな。照準合わせなくて良いし。
「忘れてたぁーー!」
「だよね」
船に乗りクラーケンのいる場所まで移動した。
襲われた貿易船は、傷んでいるものの乗組員への被害はゼロだった。
クラーケンが巻き付いているので、そのまま引っ張っていくそうだ。
「アイテムボックスに入れようか?」
「いや、この巨体は入らんだろ」
「アイテムボックス」
スルスルスルッ。
見事に全部吸い込まれた。
だって、アイテムボックスの中、無限らしいし。
『…………』
見ていた全員が絶句してた。
「ユーリ、アイリス。クラーケンって美味いんだぜ」
「「本当!?」」
カトレアの話に反応する俺とアイリス。
鑑定してないから分からなかったけど食える様だ。
「これは、揚げイカに、いや、醤油を付けて焼きイカもいいな」
「大っきいから全部作ろう!」
「それもそうか!」
「なら、また、宴会だな!」
それ目当てで言ったな。
「「「ゴチになりま〜す!」」」
もう参加させる流れになってるよ!
「分かったよ!だけど、代わりに酒用意してくれよ!」
「よっしゃあーー!」
「「「ヤッター!」」」
「宴会、宴会〜♪」
アイリスもノリノリだから宴会が決まった。
最近、宴会し過ぎじゃねぇ?