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えっ、俺の意思は?

 なんやかんやで港町ベレチアに到着。


 やはり、竜による輸送は速かった。


 あれ、竜って異性乗せるの拒否るんじゃなかったっけ?


 マリーが乗せるのは番か自分の子のみって言ってたぞ。


「それは、竜種の中でも神竜系統だけですよ。私、ただの色竜(カラードラゴン)ですから」


 そう言ったのは、ここまで運んでくれたビリーさん。


 竜王国の冒険者ギルド副マスターだ。


 今回は、緊急案件の為乗せてくれた。


「いや〜、障壁張ってくれて助かったよ」


「カトレアに障壁要らなかったんじゃない?」


「張る前からものともしてなかった」


「師匠から習った魔法の良い練習になりました」


「また、何か教えたの?」


結界(ソーン)のルーンを教えた」


「良いの?気軽に教えて」


「一応、弟子だし。良くない?まぁ、教えなくても見て覚えそうだったけど」


 ベルは、魔導師として一流だ。


 実戦経験も豊富な為、ただの剣士相手にも勝てるだろう。


「この街のギルドに向かいます。付いてきて下さい」


 ビリーさんの指示のもと、ギルドカードを見せて貴族ゲートから入る。


「ちょっと君。カードは?」


 アイリスが、入国管理官の男性に呼び止められた。


 スライム状態になってもらうの忘れてた。


「彼女は、俺の従魔です。アイリス、ごめん。一回変身解いて」


「そうだった。忘れてたよ」


『なぁ!?』


 入国管理官の男性とカトレアたちが驚いた。


「もういい?」


「あっ、はい」


 許可が出たので人型に戻る。


「アイリス。アンタ、スライムだったのかい?」


「そうだよ」


「知らなかったのか?有名だぞ」


 バルトたちに情報流して貰ったしな。


「ユーリの嫁で、べっぴんだが手を出したらアンタに殺されるってくらいしか知らないねぇ」


 スライム情報、何処いった。


「アイリスは、魔人だよ。スライム風に呼ぶならエンペラースライム」


「……アンタ、ほんと何でも有りだな」


「エンペラースライムって一応伝説の存在じゃなかったかしら?」


「初めてみた」


「その上、竜種を嫁って、師匠」


「なんだよ。嫁にした事に後悔はないぞ。むしろ、幸せだ」


「ユーリのそういう所、好きだよ」


「ありがと」


「あ〜、やだやだ。惚気は止めてくれ。虚しくなる」


「……私たち、お一人様ですものね」


「………」


「あはは……」


「皆さ〜ん、急いで下さ〜い」


 ビリーさんは、結構先まで行っていた。


「おっと、追いかけるよ」


「皆いくよ」


 俺たちは、急いでビリーさんに追いついた。






 港町ベレチアの冒険者ギルドは、倉庫って感じだった。


 港に並ぶ倉庫街の一つ。


 その中にある会議室に通された。


 部屋には、2人。入口と奥に座っていた。


「おっ、カトレアじゃねぇか?久しぶりだな」


 奥の人からカトレアに声がかかった。


「マッドじゃないか!生きてたのかい!」


「生きてるよ!!」


 どうやら親しい間柄の様だ。


「カトレアの知り合い?」


「紹介するよ。アイツは、マッドってんだ。同じSランクさ。マッド。コイツが私をブチのめした男、ユーリだよ」


「ユリシーズ・ヴァーミリオンです。よろしく」


「!?」


 あれ、登録されている名前で名乗ったはずだが?


「一応言っておくが、コイツは竜種ではないよ。妻の一人が竜種なのさ」


 カトレアがフォローしてくれた。


「そうなのか?よろしく頼むぞ、ユーリ」


「はい、頑張ります」


「で、こっちにいるユーリに向けて殺気だだ漏れの奴は誰だい?」


 あっ、やっぱり。


 なんか、チクチクした空気を向けられるなと思ってた。


「ガロアですよ。巨姫カトレア。何ね、Sランクによる会議と聞いたのにAランクが来たので威圧しただけですよ。なんせ、そこの男から余りにも魔力が漏れていないものでね。竜種に見初められて浮かれているのかと」


「それは問題ないよ。この子たちは、これが終わったらSランクの予定さ。それよりアンタ、見る目がないね。気付いてないのかい?」


『………』


 マッドを含め、皆の目が可愛そうな奴を見る目になってる。


 魔力が殆ど漏れないのは、無意識とはいえ完璧にコントロール出来てる証拠。


「よく分かりませんが、弱い奴と共闘するのはねぇ……」


 なんだろう。コイツの下に見る態度イラつく。


「師匠の魔力が殆ど漏れないってことはーーんぐっ!?」


「ベル。ストップ」


 俺を馬鹿にされて、文句を言おうとしたベルをシオンが止めた。


「だったら、決闘してみれば良いんじゃないかな?そんなに自分の弱さが知りたいなら」


「なんだと小娘」


「小娘じゃないし。魔人だし。そんな事も分からないの?」


 それ、挑発だろ。


 アイリス、めっちゃキレてるみたいだ。


「良いねぇ。格を分からせる為にも、私は賛成だよ。マッドはどうだい?」


「……そうだな。そんなしょうもない事で共闘が乱れるなら決着付けた方が良さそうだな」


 意外にもカトレアとマッドが賛成した。


「審判は、どうします?貴方たちなら不正されそうで嫌なんですけど」


「ここのギルドマスターがやればいい。それなら公平だろ」


「ルールもシンプルにしよう。なんでも有りで降参したほうが負けにすればいい」


「良いでしょう。ケガは、自己責任で構いませんね」


「いいよ」


「ユーリが負ける訳ないし」


「一応、上級ポーションを持ってる。これなら直ぐに回復出来るだろう」


 あれ?俺の意思は?


「なんだ、このギスギスした空気は?またお前か、ガロア」


 扉から白髪をオールバックにしたイケ爺さんが現れた。


「なぁに、格の違いを教えてるだけですよ。マスター」


「マスター?」


「おお、お主たちがユリシーズとアイリスか。初めてじゃな。ここのギルドマスター、トカレフだ。期待しておるよ」


「どうもです」


「よろしく」


 握手を求められたので握り返した。


「マスターも来たから部屋を移るよ。ここじゃ、狭いからね」


「何を始める気だ?」


「マスター。ユリシーズとガロアの決闘を行います。審判をお願いします」


「またか。ふむ。宣伝してギルド前でいいか?」


「俺は、良いですよ」


 場所なんてあまり関係ないし。


「私も同じく」


「なら、外で待っておれ」


 全員でギルド前に出た。


『今からギルド前にて決闘が行われる。証人として、多くの者の参加を求める』


 冒険者ギルドの拡声器により、住民への周知がされた。


 人がこぞって集まってきた。


 俺とガロアが前に出て、マスターの登場を待つ。


「ハンデは、何処まで欲しい?」


 Sランクだけど大会の本戦出場者の誰より弱そうに見える。


「Aランク風情が。むしろそれはこっちのセリフだ!」


「ユーリ。アンタ、銃は無しだよ。分かってるね」


「あと、ルーンも無しで大丈夫では?」


「じゃあ、それもなしな」


 なんか、勝手にハンデ付けられてるんだけど。


「フラガラッハも無しでいこうよ。実力を分からせる為に」


「アイリス!?そしたら武器全部使えないんだけど!」


「あるじゃん、もう一本」


「もう一本って……あったわ。じゃね、そうする。3つハンデな。頑張れよ」


「………」


 ガロアは、青筋を浮かべて睨んでいた。

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