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Sランク緊急クエストとセレナの剣

「それでは、Sランククエストの説明をする」


 食後、場所を図書室に移した。


 図書室なら俺が買ってきた地図があるからだ。


「まず、クエスト開始場所は、竜王国の首都より北東に位置する港町ベレチアだ」


 港町ベレチアは、竜王国の海の玄関と言われる貿易拠点だ。


「ここからギルド用の船に乗り、沖合いへと向かう」


「対象の魔物は、水中ってことかい?」


「ああ、討伐対象の名称は、クラーケン」


 神話等に出てくる巨大なイカの化物だな。


「クラーケンって、あれよね。昔、カトレアが戦ったっていう、水中最強の魔物」


「ああ、昔、討伐に参加したがな。私たち冒険者は仕留められなかった」


「前回は、竜種により沖合いから引き上げて殺した。とは言っても、正しくは自重で死んだ」


「自重で死亡?」


 どういうこと?


「クラーケンが、あの巨体を維持していられるのは、浮力の影響化にあるからこそ可能なんだ。だから、浮力の無い陸にあげてしまうとその自重を支えるだけの力が出せずに衰弱死する」


「なるほど。なら、今回も竜種が手伝ってくれるの?」


「それが出来ない」


「「えっ!?」」


「何故?」


「他国との国境間近での戦闘の為、威圧行為と取られかねない」


「ああ、分かった。だから、ユーリなのかい?」


 意味が分からずカトレアの方を見た。


「ユーリの空間魔法さ」


 あっ、俺も理解した。


「ああ、だから単刀直入に聞く、クラーケンを転移させれるか?」


「無理。海に転移は出来るけど、あの質量は無理」


 前回、バルトたちで疲労した。


 クラーケンの質量は、アレの何百倍もある。


「転移門は?」


「それは、イケると思う。でも、大型になるから基点を置いて陣を構築する必要がある。それくらいなら普通に狩った方が良いよ」


「普通に狩れたらな」


「姿が見えてるならやれると思うけど、対遠距離戦闘武装造ったし」


「アレかい?」


「たぶん正解。それの超遠距離型。ガイアス爺さん専用に造ってた奴。あれならどう?」


「雷もイケるんだったか?」


「雷の竜撃弾(ドラグニルバレット)は造ってないけど大丈夫でしょ?風穴開けるだけなら他にもあるし」


「アレとはなんだ?」


「あれ、ガイアス爺さんから聞いてないの?」


「鍛冶の腕が一流だから、武器を頼んだとかなら」


「そう。その武器」


「……見せて貰って良いか?作戦に関わるし」


「良いよ」


 実は、既に出来てる。


 調子に乗って造ったらデカ過ぎて、渡すのを躊躇していた。


 庭に出てアイテムボックスを開く。


「対遠距離戦闘武装『アハトアハト』」


 88ミリ高射砲を魔法でカスタマイズした事で、ゲームに出て来る大砲みたいに腰で構えれる様になった。


 名前は、アハトアハトの発音が好きだったからそのまま採用。


 撃ち出す弾は、属性マガジンによる属性弾。


 もしくは、フラガラッハを弾に変え、荷電加速により撃ち出すレールガンに出来る。


「おいおい、国を潰す気かい!?」


 簡易版の威力を知ってるカトレアが動揺する。


「そんな積りは一切ないから大丈夫。威力は、見る?」


「頼む。あの山がクラーケンのサイズに近い」


 マジかよ。どんだけデカいんだ。


「分かった。あの山を狙うね」


 バチバチッ。


「フラガラッハ装填。たまや〜!」


 爆発音も反動もなく撃ち出されるフラガラッハ。


 それは、音速を越えて命中する。


「「なっ!?」」


 命中した山は、円状にくり抜かれ風穴が生まれた。


「どう?姿さえ見えれば陸から撃てるけど」


「ちょ、ちょっと待て!今考える!はっ、山以外の被害は?」


「出てないと思うよ。山に命中した時点で消したし」


「ほっ、良かった。あの山が、入山規制されていたが反対には街もあるからな」


「あっ、でも、山に風穴開けたから騒ぎになると思うけど」


「うわぁ……ちょっとギルドに帰って通達出す。作戦は練り直して夜に報告する」


 このあとの騒ぎを想像したのだろう。


 めっちゃゲンナリしていた。


 とりあえず、作戦会議はこれが原因で一時中断した。


「普通の見せた方が良かったかな?」


「それ、ちゃんと竜王にやるんだよ。そんな危険な物は竜種に管理させるべきさね」


「まぁ、一応そのつもり」


 ガイアス爺さんの依頼だし。




 ******************




 ギルさんが帰ったのでする事が無くなった。


 だから、鍛冶を始める。


 セレナの剣を強化する。


 とはいっても、強化すると重量が重くなるので剣と篭手の2つを造る事にした。


 剣の刀身を三分割。


 2つを黒星石を混ぜて溶かして篭手にする。


 これに時間がかかった。


 急ぎセレナの手のサイズを測りに行って、困惑していたけど測定出来た。


 強度のあるレッドボアの皮でサイズにあった革手袋を造り、金属を取り付けて完成。


 肝心の刀剣に移る。


 鉄1に黒星石2、聖属性の竜鱗粉末を加えて窯で溶かす。


 後は、ひたすら叩いて加熱叩いて加熱して鍛える。


 冷やして形が整ったら完成。


 前より少し長くなったがご愛嬌。


 ちゃんと合わせて鞘も造る。


 鑑定。


 名称:聖魔剣


 レア度:S


 問題なくいい出来だ。


「ケン」


 おっ、こっちなら等級が出るのか。


 等級:伝説級(レジェンド)


 幻想級(ファンタジア)には及ばなかったか。


 セレナに持って行く。


 談話室で、イナホたちにトランプでボロ負けにされていた。


「もう1回!もう1回、お願い!ね、お願い!」


「「「えぇ〜」」」


 これって勝つまで止めない流れだよな。


「セレナ。出来たぞ」


「えっ。はやくない?」


「むしろ、時間かかったよ。特に篭手に」


「篭手?さっき、指を測りに来たのはそういう事?」


「そうそう。これが新しい武器だ」


「すっ、凄いじゃない!この剣、魔力がよく通る!まだ、少し固いけど篭手もフィットして最高じゃない!」


「その剣、まだ、名前がないけどどうする?」


「ユーリが造ったのだから貴方が付けて」


「なら、決めていたのがある」


 黒星石を使ったから黒刀になるはずが、竜鱗加えたら白銀になった。


 黒星石は、加えたもので色が変わるらしい。


 竜撃弾(ドラグニルバレット)のマガジンが紅くなったのと同じだ。


 不思議なものだ。


「その剣は、聖魔剣シルフィード。レア度S、等級は伝説級だ」


「えぇーー!!」


「なんだ、要らないか?」


「いる!もう私のモノ!」


「なんだい、騒がしいねぇ。何かあったかい、セレナ」


「見て見て、カトレア!これが私の新しい剣なの!!」


「おお、いい剣じゃないか!他にも見せに行こうじゃないか!」


「うん!」


 あれ、篭手は?


 一応、それレア度A、等級は特質級(ユニーク)なんだが。


 篭手の存在忘れないでね。


 泣けてくるから。





 夜、ギルさんは帰って来て報告してくれた。


 被害はないが、街では大騒ぎ。


 ギルドからの通達で、鎮静化はしたらしい。


 クエストは、四チームによる合同作戦。


 参加は、俺とアイリスのチーム。


 カトレアたちのチーム。


 Sランク冒険者が2名。


 各自のチームが参加するそうだ。


 作戦は、討伐もしくは撃退でクリア。


 囮の船を出して、襲ってきた所を狙撃する流れで決まった。

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