弟子が出来た日
転移門を通って竜王国へ来た。
驚かれたものの、すんなり受け入れられた。
魔法銃とか、色々見たからかもしれない。
「すまない。世話になったな」
「楽しかったわ〜。ポーションありがとね」
「美味しかった」
「でも、最後に感想を全部持っていかれましたけどね」
「鑑定魔法のことか?便利だから良いだろ?」
「便利過ぎるのが問題なんです!」
ベルに鑑定のルーンを教えたのだ。
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宴会をした次の日の朝食。
「頭が痛い……そして、味噌汁が身体に染みる」
昨日、飲み過ぎた。
後で、ポーション作ろう。
「ひ弱だな!あっ、フィーネ。このスープお替り頼めないかい?」
「はーい、只今お持ちしますね」
カトレアは、味噌汁のお替りを近場にいたフィーネに頼んだ。
「そもそも、アンタがおかしいだけだろ?」
一人でビール樽を1つ開けると担いで飲んでいた。
それを見たガイアス爺さんも真似をしだした。
それを見ていた俺らも爆笑しながら飲酒が加速した。
「ほら、見ろ。セレナたちもダメージ残ってるぞ」
セレナなんかは、今にも机に潰れそうだ。
ベルは、俺と同じくらいかな?
シオンは、ケロっとしてやがる。
「皆、飲み過ぎ。制限すべき」
「うう〜っ、美味しいのが悪いのよ」
「確かに美味しかったですね。それと魚なんて初めて食べましたよ」
「そういや、海沿いの町でもないと出回らないんだっけ? うちは、鑑定が使えるから川魚も食えるけど」
川魚は、寄生虫がいる可能性がある。
異世界の寄生虫なだけあって、食うと死ぬから避けるそうだ。
そうそういないが避けるのが正解だろう。
鑑定魔法を使える者が少ない訳だし。
うちは、俺、アイリス、マリーが使える。
「そうですよ。羨ましい限りです。私も使えないので」
「ベル。教えてやるよ。今から教える文字を魔力で書いてみて」
ルーンにも鑑定はあるが、使っていない。鑑定眼あるし。
ベルの側に移動して、前にある味噌汁……でいいか、に向かって文字を書く。
「鑑定」
いつもの見ている透過したパネルが出る。
名称:普通の味噌汁
説明:サツマイモとネーギ、味噌が含まれている。
ネーギは、ネギだな。こっちの名称表記か。
そして、内容は鑑定眼と比べて簡易なものだ。
「えっ。今のルーンですか!私の手を動かしてやってくれませんか?」
速かったから解りづらかったか?
ベルの手の上に、俺の手を重ねて動かす。
「はわわ……」
「こうな。理解出来た?」
「かっ、書いてみるので間違ったら矯正して下さい!」
「はいよ」
「えっと、アスク!」
問題なく文字を辿れていた。
「でっ、出来ました!出来ましたよ!」
大喜びするベル。
「おっ、一発で出来たのか?」
パネルは、本人にしか見えないから判断出来ない。
アイテムボックスとかなら見せたいと思えば見せれるが、鑑定は別なんだよな。
「はい!パネルは、どう消せば?」
「手で払えば消えるよ」
「あっ、本当だ」
ベルが手を払う動作をしたから消えたようだ。
「ユーリさんに使って見ても良いですか?」
「うん?いいぞ」
「アスク!……これは!?」
アレ?かなり驚いてる。簡易版の筈だろ?
自分にかけてみた。
名称:ユーリ・シズ
種族:半神
状態:二日酔い軽微
身長:174
体重:61
耐性:全て
魔力量:6,038,700,000
おっ、魔力量が数値化して見れる。
変動するらしいけど基準が見れるのはいいな。
これはこれで便利だ。
代わりにスキルは見れないようだが。
これは、銃の消費魔力を正確に見れるじゃないか。
「へぇ〜、人だと魔力量までみれるのか。知らなかった。鑑定眼頼りだったしな」
「どんな魔力量してるんですか!?話に聞く、竜種と同等の魔力量ですよ!」
マジで?
「マリー。ちょっと鑑定で見ていい?」
「良いですよ」
「アスク」
名称:マリアナ・ヴァーミリオン
種族:竜種
状態:健康
身長:137
体重:38
3サイズ:B72-W50-H71
耐性:土と闇以外全て
魔力量:6,546,120,000
「ぶっ!?」
女の子が見られたくない奴を見てしまった。
「?ユーリさん、どうしました?」
マリーが心配そうに見てくる。
「いっ、いや、何でもない。べっ、ベル、ちょっと」
「はい?」
ベルに内緒話をする。
「これ、女性に使うの極力禁止な!」
「何故です?」
「……セレナに使ってみれば分かる。酒の影響もあるし、俺との比較が出来ると思う」
よし、道連れにしよう。
「はい?えっと、セレナ見ていい?」
「うう〜ん、鑑定の練習?良いわよ。仲間が優秀になる事は私たちにも影響するからね」
「じゃあ、使うね。アスク……なぁあ!?」
これで仲間だな!……俺も見てみよう。
バレない様に、アスク。
名称:セレナ
種族:人類
状態:二日酔い重度
身長:166
体重:56
3サイズ:B91-W61-H85
耐性:火、水、風、聖
魔力量:720,000
わ〜お、なかなか。
普通の人の魔力量は、こんなもんか。
「あははは、見てしまったな!ベル!」
「こんなのユーリさんには出なかったですよ!出たのは、……のサイズだったし」
顔を赤らめながら、視線を俺のナニに向けている。
「おい!ちょっと待て!お前は何を見た!」
これ、人によって結果が変わるのか?
「なっ、何も……」
「そうか。言わないのなら。アスク」
ベルに鑑定魔法をかける。
「なぁ!?」
名称:ベル
種族:人類
状態:二日酔い軽微
身長:157
体重:53
3サイズ:B75-W54-H83
耐性:火、風、雷、聖、闇
魔力量:5,120,000
さすが、魔導師。魔力多いな。
「安産型か?ってか、身長の割に……」
「嫌ぁああーー!!」
「で、言う気になったか?」
「ゆっ、ユーリさんの息子のサイズです!」
「やっぱり、やっぱりなのか!」
「えっ、見えなかったんですか?自分にかけたのに?」
「見えてねぇよ!今日、知ったわ!!身長体重しかねぇよ」
「3サイズがでるのは、女性だけでしょうか?」
この魔法は、やる者によって差が出る様だ。
それとも無意識にカットしてるのか?
数試さないと分からないな。
ベルに使わせてみれば分かるか。
「3サイズ?」
「体重?」
「「あっ!?」」
俺たちの背後にマリーとセレナが来ていた。
途中から内緒話によるものでなく、普通の言い合いになっていたようだ。
「ユーリさん。ちょっとお話しましょうか?」
「ベル。私、貴方の見たモノについて詳しく聞かせてくれないかしら?」
「「あははっ……」」
背中を冷や汗が流れる。
2人の背後に般若が見えるよ。
俺たちは、各自で連行されてお話をすることになった。
余談だが、意識する事で3サイズと体重は消せる事が分かった。
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「意識すれば見えないから大丈夫だって」
「そうですね。使って慣れるとします」
「私も後で習う予定」
「シオンもか?」
「覚えて損はない」
「良いですか?」
「ベルの好きにして良いよ」
「ありがとうございます。師匠」
今回の一件で師匠呼びになった。
というか、師弟でもないのに魔法を教える事はないそうだ。
だから、俺が師匠で、ベルが弟子。
「さて、テリーゼに行くか」
ポーションとかを売りに行くので、そこまで同行する事になった。
一応、リリスたちが先に行っているから、俺は行かなくてもいいんだが心配だしな。
俺たちは、お喋りを続けながら歩き出した。