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世間は、以外に狭かった

「クエスト内容は?」


「おいそれと喋る訳にはいかないね」


 確かにそうだが、影響を受ける可能性もあるし知るべきだろう。


「うちの秘密兵器見たのに?」


「それは、アンタが使ったからでーー「ゴールドアッポの入手」ーーちょっ、シオン!?」


 武器を理由に問い詰めようとしたら、シオンが暴露した。


「別に知られても問題無いと思いますよ」


 フォローするベル。


「いや、そんな希少な物があるって知ったらコイツがガメるだろ!1本しか無いと言われているのに!!」


「私が誘惑して手に入れた情報なのよ!?」


 ガメるって……ガメてるな。


 そして、セレナはお色気担当なのだろうか?


 誘惑して情報収集だし。


 カトレアたちを他所に話を続けよう。


「……シオンたち、果樹を見に行ったって言ったよな。そういう事?」


「うん」


「はい」


「おいおい、お前らだけで分かった様に進めるなよ!果樹がどうしかしたのかい?」


「庭に生えてた。それも四本」


「何がだい?」


「ゴールドアッポの木です」


「「はあぁ!?」」


 2人共、驚き過ぎだな。


 シオンとベルは、冷静だぞ。


「このエリアの四方に1本ずつ植えられていました」


「で、何個欲しいの?」


「最低1個。可能なら3個」


「良いよ。適当に採って行くといい」


「ありがとう」


「おいおい、マジかい。なら、後は報告だけだな」


「あの〜、竜王様。不躾ながら、可能なら竜王国まで連れて行って頂けませんか?」


 セレナが、ガイアス爺さんにおねだりを始めた。


「報告は、竜王国なのか?」


「薬屋テリーゼに運ぶことになってる」


「テリーゼって事は、依頼主はリリアーヌさんだな」


「正解」


「「「リリアーヌ?」」」


 ハイエルフ組が反応した。


 そういえば、彼女もハイエルフだったな。


「ハイエルフダーク種の女性だよ。『リ』から始まるから『リ家』だな。知り合いか?」


「知り合いというか、何というか」


「名前を聞いた瞬間、嘘であって欲しいと思いました」


「こんなに近くにいたなんて……」


 何、その反応。


 なんとも言えない様な苦笑いを浮かべて。


「彼女と繋がりがあるのか?どんな関係だ?」


 姉妹は、お互い見て決心したように言った。


「「「母です」」」


「……うん?誰だって?」


「母です。私たちの」


「えっ、でも、彼女ダーク種だよね?」


「ダーク種の子供がダーク種とは限りませんよ」


「ホーリー種の方が遺伝的に強いですし」


「その代わりに、魔力量が増える傾向にあります」


「知らなかった」


 3人の魔力が多いのは、リリアーヌさんの影響なのね。


「気付いてなかったのか?うちの薬は、全部彼女の所に卸しているんだぞ」


「竜王国の薬屋としか……」


「知っていたら、既に行ってますよ」


「私たち、母を探してましたし」


「探してた?」


「母は、放浪癖があるので」


「軽く何十年も帰らずに私たちが探すのが流れですね」


「ただ、今回は道中を襲われて奴隷にされたので、探す余裕が無かったですから」


「……大変だったんたな」


「まぁ、生きていて良かったです」


「母は、強いので生きてるとは思ってました」


「惚れっぽいので、誰かと寄り添ってたりとかも思っていましたよ」


「そういや何度か誘惑されたな」


「「「!!?」」」


 契約書の時もそうだし。


 竜王祭以降は、行く度にアピールされる。


「母と知り合い……」


「まさか、既に母と……」


「……私たちに手を出して下さらないのは……」


「これは確認が………逃が………」


「……締め上げ……こちょぐり………」


「それより、許可……乱入……監禁……」


「誘惑……拘束………」


「……順で…………」


 俺の発言が原因か、3人揃って内緒話を始めた。


「………」


 会話の節々に物騒な事が聞こえるけど気のせいだろ。


「3人共、会いに行くか?俺も薬を卸したいし」


「「「行きます!」」」


 3人共、良い笑顔で応えた。


「ガイアス爺さん。アレの許可出すよ。それとも背中に乗せて行く?」


 今だに、おねだり攻撃されてたので助けを出す。


「良いのか?」


「今回だけなら良いよ。リリスたちを連れて行くし」


「良かったのう、お主たち。ユーリが竜王国までの最短ルートを用意してくれたぞ」


「「「「?」」」」


「しかし、彼女たちを王宮に入れて大丈夫なの?俺は、毎回マリーに同行して貰ってるから良いと思うけど」


「構わん。竜は、そこら辺寛容じゃ。それに今回は特別なのであろう?」


「うん。そのつもり」


「話が分からんのだが、どういう事だい?」


「俺の作品を公開してあげるって話だよ」


 アレは、俺の傑作だしな。


「よく分からん」


「まぁ、明日になれば分かるさ。今日帰っても宿探し大変そうだしな。で、話は変わるが爺さん。来たという事は、例の物も?」


 カトレアたちの事はどうでもいい。


 むしろこっちが本命。


「当然じゃよ、ほれ。午後の予定もキャンセルじゃ。心置きなくやれるわい」


 アイテムボックスから目の前に出されたのは、ビール樽。


 上面発酵(エール)で造られたビールだ。


 自分は、ビールがあまり好きではなかったが、こっちはイケた。


 よく考えると日本のビールの殆どが下面発酵(ラガー)で造られたビールだった。


 海外のは好きだから、異世界のはどうだろうと思ったら正解だった。


「よし!晩飯は、揚げ物だ!宴にするぞ!揚げ物の希望はあるか?」


「儂は、串カツで頼む」


「合うよな。ソースもあるからたっぷり漬けよう」


 まぁ、正しくは串カツの様な物だが気にしない。


「はいはい、白身魚!タルタル乗せ!」


「今、川魚切れてるんだが」


「私も欲しいので2人で取ってきます」


「じゃあ、アイリスとマリーに任せた」


「ユーリ様。以前して頂いた三角のアレを食べたいです」


「揚げピザか?よし、作ろう」


 珍しくフィーネが率先して要望を言ってきた。


 その為、他の面子も言いやすくなった。


「ご主人!林檎の奴下さい!」


「わっ、私も!」


「フランとユキは、林檎か!良いぞ。カトレアたちもいるみたいだし、後で採って来てくれ」


「ユーリ様。唐揚げをお願いします」


「あっ、なら、ポテトも」


「アメリカンドッグとか言うのは、出来ますか?」


「どれもよし。材料はある。ミズキとイナホは何か無いのか?」


「では、サツマイモの輪切りで」


「主様。私は、カボチャをお願いします」


「了解した。切るのは手伝ってくれよ。揚げるのはするから」


 揚げるのは、怖いので皆避けるんだよな。


 でも、料理人スキルをおおいに活用出来る。


 最適な衣から最適な温度、最適な揚げ時間。


 作った揚げ物は、最高だった。


 今日は、人数も多いし、楽しい宴になりそうだ。

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