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カトレアとの再会

「なんだい。お前さんもクエストかい?」


「いや、散歩気分の狩り」


「はぁ?」


「ここに住んでんだよ。ちょっと造った武器のテストも兼ねて狩りしてたのさ」


「おいおい、嘘も休み休みいいな。ここは、カリーナの森だよ。こんな所で暮らすなんて正気じゃないさね」


「あははは」


 正気じゃないとさ。


「うん。普通はそうですよね」


「今思うと慣れって怖いですね」


「敷地外は危険ですもんね」


 という感じに感傷に浸るリリスたちだった。


「話は、本当だよ。じゃなきゃ、こんな軽装で来るわけ無いでしょう?」


「確かに、そうだが……」


「家を見れば理解するさ。招待してあげる。それと後ろのが例の仲間?」


 カトレアの後ろに剣士、弓兵、魔術師の女性がいた。


 カトレアのチーム、ローゼンセフィアの面子だろう。


「ああ、そうだよ。剣士がセレナ、弓兵がシオン、魔術師がベルさ」


「セレナよ。カトレアを倒したんだって?凄いじゃない」


「いや、運が良かっただけですよ」


「そう?なら、そういう事にしておくわね」


「……シオン。よろしく」


「こちらこそよろしく」


 雑だけど嫌われてはいないようだ。


「私は、ベルです!古代呪文師(エンシェントスペラー)にお会い出来て光栄です!もし良かったら古代文字(ルーン)を教えて頂いても?」


「どっ、どうも」


 手を握られてめっちゃ振り回された。


 前も宮廷魔術師が驚いてたし、凄いことなのかな?


「ねぇ、ユーリ」


 服をクイッと引っ張られた。


「あっ、ごめん。紹介しなきゃ」


「その前に獲物近付いてきてるよ」


「えっ」


 魔力感知。


「……マジだな」


 この感じは、グランドベアか?


 巨体な熊だ。


「アイリス。火のマガジン試してみて。リリスたちは、念の為、竜撃弾(ドラグニルバレット)装填」


 アイリスので無理そうならリリスたちので仕留めよう。


 竜撃弾なら一撃だろう。


 ただ、筋肉隆々なだけだし。


「了解♪」


「「「了解しました!」」」


「おいおい、何か起こるのかい?」


 武器に手をかけ、警戒するカトレア。


「獲物が近付いて来てるんだよ。新しい武器の試験するから後ろに下がってて。被弾したらマズいし」


「なら、下がるがヤバくなったら言えよ」


「そうだね。なったら言うよ」


 そうは、ならなそうだけど。


「来た!」


 アイリスの宣言通り、茂みから黒い巨体が姿を現す。


「「「「グランドベア!」」」」


 名称:グランドベア


 危険度:S


 説明:クマ科魔物の上位種。全長10mに及ぶ者もいる。肉質が厚くダメージが通りにくい。


「おい!コイツは、悠長にしてる場合じゃねぇぞ!全員でたいーー」


 カトレアの動揺を他所にいつもの通りな俺ら。


「アイリス。どうぞ」


「うん♪」


 バンバン!


 2丁の射撃音が鳴り響いた。


 アイリスの放った攻撃は、グランドベアに命中し、胸から上が消し飛んだ。


「「「「なっ!?」」」」


「アイリスに渡した火の弾2つだとこの威力か。竜撃弾より威力は落ちるけど魔力消費は少ないし良いな」


 アイテムボックスに入れながら傷口を確認する。


 竜撃弾は、特級位の威力。


 それに比べて、中級2つなら上級以上特級以下だな。


「スッキリした!」


「あっ、竜撃弾は、解除しておいてね。危ないから」


「「「はい……」」」


 また、しょんぼりしながらマガジンを切り替える。


 それ、そんなに気にいったのね。


 また、狩りに連れて行って撃たせるかな?


「なっ、なんだい!?今のは!?」


 アイリスに詰め寄るカトレア。


「凄いでしょ。ユーリの造った武器」


 あっ、アホ。


 カトレアの向きが俺に変わり肩に手を置かれた。


「どういう事か説明してくれないかい?なぁ!」


 痛たたたっ。


 めっちゃ力入ってるんだが!?


「とっ、とりあえず。家で話そう。ここ危ないし」


 一旦、逃げよう。


「そういえば、言っていたね」


「ついて来て」


 カトレアたちを連れ立って拠点に戻った。






「なんじゃこりゃ!?」


「うそ、森の中に屋敷や畑が……」


「水路も……」


「えっ、ここ。カリーナの森ですよね?郊外の森とかじゃなくて?」


 4人共、かなり驚いているな。


「では、改めて。ようこそ我が家へ。招待するよ」


 堪能するが良い。自慢の我が家を。


『いらっしゃいませ!』


 何処で練習したのか?


 皆揃って歓迎の言葉を口にした。


「屋敷とは別だが、来客用の家に案内するよ」


 ってか、そろそろ昼時だな。


「イナホ、フラン、ユキ」


「「「はい」」」


「3人は、彼女たちを来客用の家に連れて行き、荷物を下ろしたら、屋敷の一階を案内してやってくれ。リリスたち姉妹は、椅子の追加を食堂に頼む」


「「「了解しました」」」


「アイリスとフィーネ、ミズキは、料理を手伝ってくれ」


「いいよ」


「「はい、お任せを」」


「マリーには、爺さんへの説明を頼む。昨日と一昨日来てないから今日は来そうだし」


 今日で3日目。


 来るなら今日だろう。


「来ない様にすれば良いんですね」


「呼んでいい。むしろ呼んで。男率低過ぎだから。ただ、人が多いから説明してやってくれ」


 女の娘ばかりだとーー女に見えない奴がいるがーー肩身が狭い。


「分かりました」


「では、行動開始。頼んだぞ」


 皆、バラバラになって動き始めた。


「昼飯何にしようか?人数多いし」


「さっきのグランドベアは?」


「それも良いな。味噌も自慢出来るし」


 新鮮な肉だし。


「でしたら、以前したクマ鍋なんてどうですか?あれなら、人数多くても問題ありませんし」


「デザートは、どうしましょう?」


「ゆで卵!」


「ストックは……まだ、十分あるな。それでいこう。アイリス、解体を手伝ってくれ。2人は、野菜を任せた」


 庭に出て解体を始める。


 アイリスに血抜きをしてもらい、素早く解体。


 内臓は、土に埋めて肥料へ。


 鑑定したが、食えたものではなかった。


 肉は、必要な分だけ切り取って、残りをアイテムボックスへ戻す。


「さて、戻る……うん?」


 シオンとベルが見ていた。


 カトレアたちがいないな。イナホたちも。


「カトレアたちとイナホたちはどうした?」


「えっと、それは……」


「私たちは、自由行動。他は、温泉に行った。マズかった?」


 オロオロするベルに代わり、シオンが話してくれた。


「別にいいけど、タオルはあるがカトレアサイズの服とか家にないぞ」


「それは、予備がある」


「なら、いいや。で、2人は何してたんだ?」


「あの木を見たくなった」


 視線の先にあるのは、一本桜。


「良いだろ。自慢なんだ。下の社にタナトス様祀ってるから行ってみるといい」


「うん」


「だいたいの時間聞いたなら分かると思うけどちゃんと帰って来いよ」


「わかった」


「はいです」


 俺たちは、2人を見送り、調理場へ戻った。

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