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ダンジョンコア

 ダンジョンコアに触れて魔力を流す。


「むむむ〜〜」


 軽い反発を受けたものの問題なく魔力を流し込めた。スポンジが水を吸い込む様にどんどん魔力が吸われていく。


 大丈夫なのか、これ?


「流石のユーリ君でもキツい? もう辞めて、宝石として回収する?」


「たぶん……大丈夫。途中から吸い取られる量が増えてびっくりしたけど、消費としてはそんなにないよ。それに吸う量が減ってきたからもう少しで終わりそうな気がする」


 よし、吸わなくなった。コレで掌握完了だな。

 それしてもなかなかの大きさだ。この大きさなら皆に行き渡るように加工しても十分余りそうだしーーいっそ砕くか?

 コアを掴んだ手にも自然と力が入る。


 ピカピカピカッ!?


 まるでコアが嫌がる様に点滅を繰り返した。

 眩しいから止めろや。力を抜くと点滅も自然と治まった。


「なんか凄く点滅してたけど、何かしたの?」


「魔力が満ちたからなか? それとも砕いて宝飾品にするのも良いかなと少し力を込めてたからそれかも?」


「どうだろう? 私ですら掌握されたコアを見るのは初めてだから分からないわ。大抵は掌握出来ずに劣化した物か砕かれた物がギルドに持ち込まれるもの。むしろこれは快挙といっても良い成果よ。いっそ、コアに聞いたら?ダンジョンの秘密とかも答えてくれたりしてw」


 冗談ぽく提案するヴィヴィア。物は試しだやってみよう。コアとコミュニケーションを図ってみることにした。


「なぁ、コア。正しければ1回点滅。違う場合は2回点滅してくれないか? 分からない場合は光らなくて良いから。それじゃあ、質問。俺の言葉は理解できるか?」


 さてさて、どうなることやら?


「まぁ、こんなので分かったらダンジョンの研究者たちは困らなーー」


 ピカッ!


「「へっ?」」


 コアが質問に答えるように点滅した。

 おいおい、まさか意志があるのか?

 これはしっかりと確認する必要がある。正しければ1回、間違っていれば2回だったな。あえて逆を尋ねてみよう。


「俺の言葉がわかるなら続けるぞ? お前はコアでは無いただの宝石か?」


 ピカッピカッ!


 2回点滅は否定。自分はコアであると認識しているようだ。


「ヴィヴィア。続きの質問は頼む」

「分かったわ。コア、貴方には意識というものは有るの?」


 ピカッ!


「有るのね。それはコアとして生まれた時から?」


 ピカッ!ピカッ!


「違う……それはいつ生まれたの? 状況からしてユーリ君が魔力を注いだ時?」


 シーーン


「あら光らないわね。気付いたらあったという形かしら?」


 ピカッ!


「なら、これはどうだ? 俺たちが部屋に来る前か? それともお前に俺が触れられている時か。前者なら1回、後者なら2回光ってくれ」


 ピカッピカッ!


 ということは、魔力を注いでから意志が生まれた感じか?


「面白いわ。それじゃあ、ここで続けるもんなんだし。外に出ましょう。コア、貴方を台座から外して持ち帰っても大丈夫?」


 ピカッ…………ピカッ!


「うん? どっち?」

「たぶん外してもいいけど、何か問題が起こるって感じじゃないか?」


 ピカッ!


 どうやら正解らしい。


「ああ、なるほど。話に聞くダンジョンの崩壊が始まるって事かしら?」


 ピカッ!


「なら、問題無いから回収して帰りましょう。ダンジョンから出た瞬間に下層から始まるのよね?」


 ピカッ!


「それじゃあ、皆は何処で良いからユーリ君の身体に掴まってね。魔力は大丈夫?」


「転移アイテム使うから問題なし」


「……それギルドで販売しない?」


「販売するとしたら、たぶん奥さんの店なのでカリスと交渉してください」


 そんなたわいも無い会話をしながら転移で脱出。半日もしない内にダンジョン崩壊し跡形もなくなるだろう。

 後はそれを見届けてダンジョン探索は終わりーー


「はぁ? ダンジョンに人がいる?」


 ピカッ!


 筈だったのだが、イレギュラーが発生。ダンジョンの崩壊を見届けながらコアと対話していた俺たちにそう告げてきたのだ。


「えっ? えっ? ちゃんと周辺のギルドに立ち入り禁止を張り出したし、人里からそこそこ離れているのよ!?」


「いつ潜り込みやがった!? もう崩壊が始まってるんだぞ!!」

「わざわざ人里離れた洞窟にくる? 意識しないと無理だよね。相手は冒険者でしょうか?」

「事前に潜り込んいた……? いや、それは有り得ない。ユーリ殿だけでなく我々も独自で確認した」

「そうよね。物理と魔法の両面からしっかり確認したよ」


 隠密系の魔法でも長期間の運用は難しい。

 また、水による物理と魔力による感知で全階層をマッピングしたので漏れはなく、空き部屋に潜んでいた可能性は無いだろう。


「教えてコア! 入ったのはいつ? 今日なら1回、昨日なら2回!!」


 ピカッピカッ!


「「「「………」」」」


 昨日。俺たちの進行スピードが速かったから、全く気づいていなかった。


「ということは、中層くらい?」


 今日ならまだしも昨日ならその可能性が一番高い。それを救出するとなるとーー。


「広範囲の索敵ができて」

「移動手段が高速かつ最短で」

「場合によっては即時無力化できるだけの戦力持ち」

「救出後すぐに帰還できる人間」


 皆の視線が自分に注がれる。


 はい、わかってます。残業決定ですね。こんちくしょう!!


 俺は保険という保険をヴィヴィアに渡して、再びダンジョンへと飛び込んだ。

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