お疲れ様会
アンナの事で色々やっていた内に祭りの方は終わりを迎え、妖精の箱庭でお疲れ様会という名のどんちゃん騒ぎが行われる事になった。
「色々あって、今日からアンナも嫁に加わります」
「どうぞ、よろしくお願いします」
「「「「おおぉぉーーっ!!」」」」
皆にアンナのことを紹介すると歓声の後、
「あのアンナ嬢までがユーリ様の嫁に……っ!」
「くっ、羨ましいぜぇ!!」
「後で、好きなだけ愛でて良いんだよね!? 私たちと同じお嫁さんだし!!」
「どんな服を着せます? ガーリー系、モード系? とりあえず、ある服全部いってみましょう!!」
裏の顔をまだ知らない皆は、アイドルの登場の様に浮かれ、彼女をあっさりと受け入れられた。
「おうおう、また、増えたのかい? アンタも良くやるねぇ〜。夜道で刺されないように気をつけなよ」
「おっ、カトレアも参加するのか?」
「あぁ、試合中にアイリスから誘われてな」
「なるほ……えっ、参加してたの?」
カトレア程の知名度と実力ならスクリーンに映し出されてもおかしくない筈だが?
「試合を箱庭でするって聞いてね。飛び入り参加したのさ。というか、アレだけの事をした訳だし、流石に映し出されてたと思うんだけど……」
「悪い。そん時は色々立て込んでて、見てないわ」
医務室で暴走アンナとの熱い戦いを繰り広げていた。
「あっ、カトレア! 見付けましたよ。あの時はよくもやってくれましたね!!」
「私もまだ許さない。アレは卑怯」
そこへ、怒りを顕にしたベルとシオンがやって来て、彼女へと詰め寄った。
「普通、共闘するなら私たちでしょ!? なんで、アイリスさんと組んでるんですか!?」
「羽交い締めからの自爆だなんて避けられない」
羽交い締めからの自爆。凄く物騒な事が聞こえてきた。見ていなかった事が悔やまれる。
後で、アイテムの記録から見れないかな?
とりあえず、割って入って奥さんたちを落ち着かせる事にした。
「2人共、落ち着いてくれ」
「そうだよ。あの事は本当に悪かったって! 共闘したのは、最初に会ったのがアイリスなだけさ。それに卑怯なのはアイリスの方だろ? こっちは一方的にフルボッコにされて、久しぶりに気絶したんだよ」
「カトレアが気絶!? マジで何があったのさ!?」
カトレアが気絶した事に驚きを隠せない。
俺でも苦戦を強いられた上に、窒息させる事で勝てたんだが!?
「ユーリは見てないの?」
「あぁ、試合中は闘技場の医務室に居たからな」
「じゃあ、私が教えてあげますよ。2人がどんな事をしたのかをじっくりと……ね?」
◆◇◆◇◆◇◆
ヘルプストの試合。
仲間にも内緒で飛び入り参加したカトレアは、フィールドに入って早々、アイリスに遭遇した。
「あっ、カトレア! 参加してたの? ビックリしたよ。でも、手加減しないからね?」
まさか、初回からアイリスとはツイてないね。激戦は必至じゃないか。
「それじゃあ、いく「ストップ!」」
直ぐに戦闘態勢をとるアイリスへ"待った"を掛けた。
「どうしたの?」
「アイリス。アタイと共闘しないかい?」
「共闘?」
「そうさ。飛び入り参加したからには、良い記録を残したい。でも、今から2人で戦うとなると、他を相手にする余裕は当然無くなるよね?」
「確かに、ベルやシオンは特に要注意だよね」
「そこで提案さ。2人で勝ち抜き、最後に一騎討ちするのはどうだい?」
「……うん、わかった。その提案に乗るよ」
少し考えた後、アイリスは頷き、共闘する運びとなった。
「でも、信用する代わりにベルたちから行くからね」
「まぁ、当然だろうね」
そして、2人で話し合い戦い方を決めた。
その戦い方というのが。
「かっ、カトレア!?」
「悪い、ベル。ちょっと我慢してくれ」
「サンダーストリーム!!」
「きゃあぁぁ!?」
魔法耐性のあるカトレアが相手を羽交い締めにし、アイリスが彼女ごと魔法攻撃するという戦法だ。
当然、多少なりともダメージを受けるが、アイリスは回復魔法も使えるので問題なし。
逆にアイリスが相手を捕まえた時は、カトレアのタックルや殴打で沈めていく。
「これでラスト!」
「ぐへっ!?」
渾身のタックルを受け、白目を剥いた冒険者が光となって消えていった。
「いやぁ〜、アイリスの身体は便利だね。硬くなったり、柔くなったり」
「カトレアの魔法耐性だって、化け物でしょ? 上級でも擦り傷レベルって……」
「そうかい? 魔物の耐性に比べると屁でもないよ。それより、衝撃や斬撃を無効化出来る方が凄いさね」
Sランク級の魔物には、特級すらも耐えうる存在がしているのだ。そこまで自慢する事でもない。
「それじゃあ、そろそろ……」
「あぁ、やり合うとしよう」
お互いに向き合い、本日最後の戦いが始まった。
数分後。
「「………」」
戦いは直ぐに膠着を見せた。カトレアは拙い魔法で攻撃し、アイリスは体力お化けに物理で戦うしかない。
「う〜ん、決着つかないね」
「もう少し魔法を勉強しておくんだったよ」
「仕方ない。これはとっておきを使うしかないのね!」
「……指輪?」
首輪から下げていた指輪を外し、アイリスは自身の左薬指へと通す。
「ふっふっふ、見て驚け! ユーリの愛が詰まったとっておきの秘密兵器ーー解放!」
「はぁ?」
あまりの光景に間抜けな声が出た。
アイリスが指輪の光に包まれたかと思うと、この場には相応しくない花嫁衣装へと姿を変えたのだ。
「ブライドモード。特別にユーリがどれだけ私たちを愛しているか、教えてあげるね♪」




