表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

460/484

競技

 初回の競技から色々あったが……無かった事にされた。

 その後、直ぐに他の競技へと移り祭典は続けられた。


「やっぱり……彼女たちも参加禁止にすべきだったな」


 競技結果に呆れたギルさんはそう呟いた。


「俺みたいに禁止にすればよかったのに?」


「一応職員たちに提案しただが、信じて貰えず却下されてな……」


「まぁ、仕方ないですよ。職員達もこうなるとは思わなかったでしょうからね……」


 クラウスの視線の先ではこれまでの結果と競技シーンがスクリーンに映し出されている。

 その結果はまぁなんというか、……酷いものだ。


『障害物競走』

 闘技場に面した大通りへ設置された各種障害物たち、それらを乗り越え闘技場のゴールを目指す。何処にでもある単純な障害物競技だ。


 1位 アイリス & ギンカ


 スクリーン上に映し出されたトップ選手の活躍シーン。

 ギンカに騎乗したアイリスが前面に障壁を展開。ギンカはそのまま障害物へと一直線に突っ込んだ!


 その結果、障害物は難なく破壊され、彼女達は最速でゴールした。

 障害物とは如何に? 普通は避けて進むものではないだろうか?


「ちょっ!? ギンカさんを使うのはズルいですよ!!」


「ふっふん♪ 私はギンカのサブテイマーとして登録されてるもんね! ズルくない、ズルくない!!」


 それでは、以下の順位5位までを語ろう。

 上位から順にエロース、如月、卯月、皐月となった。


 彼女たちはギンカの作った道に殺到した人々を優雅に飛び越えてそのままゴール!


 いや、それもズルくない?

 皆みたいに走ろうよ!もう障害物競技の体をなしてないけど!!


「「「高さ制限有るけど、飛行制限ないからセーフです!」」」


 だそうです。

 これには俺達も文句は言えない。

 なので、ギルさんは次回から"長時間飛行を禁止する"という一文をルールに加えるそうだ。


『ゴーレム的あて』

 高速で移動する飛行ゴーレム、彼らに持たせた的をどんな方法でもいいので破壊すれば良し!

 破壊されればその場に点数がランダムに表示され、その合計点を競う。

 そして、堂々の第1位は?


 1位 シオン


 流石は弓の名手。他者を寄せ付けず、圧倒的なまでに格の違いを見せ付けていた。

 ステージ上で矢を番えて射抜く様はさながら神楽の様で、観客たちもこれには見惚れて声を漏らしていた。


 それでは、他の順位を発表しよう。


 同着2位にリリス、リディア、リリア。

 まぁ、ここは予想通りといえば予想通りだった。


 5位にレンが滑り込んだ。

 これは運と言ってもいいだろう。なんせ6位には彼より的を破壊したイナホがいる。

 彼女は魔法銃の貫通弾で複数抜きをしたが運に恵まれず、低ポイントを重ねていった。数だけ見るなら、リリス達よりも上なのだ。

 その為か、イナホはとても悔しそうにしている。後でしっかりと慰めてあげよう。部屋の準備は万端だ!


「現実から目を背けるな。なんだ、あの結果は」


 現実逃避していたらギルさんに怒られた。


 んで、こっからが問題の順位。

 そもそも競技の順位は20位まで発表される訳なんだけど……。


「エルフばっかだね」


 しかも全員、うちで暮らしてるエルフ達だわ。


「エルフといえば弓だからね!当然の結果だよ!」


「エルフ=弓は迷信だ。それに全員がお前の所の奴だろ…? お揃いの武器を使っているしな」


「確かに皆さん、お揃いの武器使ってますね。遠目からしても等級が高いと分かるくらいの()()した弓」


「……ユーリ。ちょっと武器の事で聞きたいことがあるんだが?」


 笑顔のギルさんから正直に話せという無言の圧力を感じる。


「あの弓、普通じゃないな。絶対なんかしてるだろ?」


「えっと、その……雷刻印による矢速と貫通力を高めた()()()特殊級(ユニーク)です」


「「量産品っ!?」」


「あの性能でかっ!?」


 ギルさんは頭が痛くなったのか、手で押さえて苦い顔を浮かべていた。

 後日、量産禁止を言われたのは言うまでもない。



『冒険者クイズ』

 冒険者の知識を問う出題に対して『○と☓』で別れて人数を減らし、その後の早押しによる正解ポイントで順位を競う。


「出題。多妻で有名な冒険者ユリシーズ。彼の奥さんは戸籍上53人いる」


「ちょっ!?」


 誰だ! この低俗な質問考えた奴は!?

 こんな事するから俺の悪評が広がるだよ!!


「俺だが?」


「ギルさん!?」


 まさかのお義兄さんからの裏切りであった。


「でもさ、こんな問題無意味だよ!だって、うちの誰かについて行けば正解出来るんだからさ」


 うちの奥さんたちは当然知っている筈だ。

 だから、彼女たちに付いて行けば自ずと正解出来るというもの。


「ふふっ、よく見てろ。良い感じに分かれると思うから」


「いやいや、うちの奥さんたちですよ? 当然、答えーー」


「既にバラけてますが?」


「えっ?」


 確かによく見ると"○"と"☓"でうちの奥さんたちがバラけてしまっていた。


「嘘でしょっ!?」


 まさか、うちの嫁さんたちですら認識出来ていないとは……。


 これには冒険者たちも困惑し、どっちに行くべきか悩んでいた。

 しかし、制限時間が考える事を許さない。

 その結果、奥さんたちの人気投票なみたいな感じで、男性の4分3が"○"に流れた。


「やはり正妻(アイリス)と古参のエルフ組が居る方が強いな」


「ですが、"☓"と比べると別の見方ができますね」


 "○"をよく見るとギンカや如月など、なかなか大きく豊かな物をお持ちの大人の集まり。


 片や"☓"は、色々小さい。幼い子の集まりと言っても良いだろう。


 ……胸で選んだ訳じゃないよね?

 とりあえず、"☓"にいる野郎共は危険人物としてマークしておこう。


「私としてはもっと多いと思ってましたよ。エルフの娘達や噂になってる現地妻も入れると思いましたので……」


 エルフの娘達は優秀な子種が目当てだし、出来たら息子たちの家臣にすると息巻いている。

 なので、本人たちの希望も踏まえてカウントしてない。


 それより現地妻って、誰のことだろう?

 何人か心当たりがなくもないな。


「それで何か基準でもあるんですか?」


 基準か……。

 戸籍とも言えるけど、やっぱりアレでしょ。


「指輪。向こうだとプロポーズに指輪を贈る風習とかあるんだ。だから、手作りした指輪型のマジックアイテムを渡した子たちだね」


 彼女たちの多くはそれを大切にしてくれる余り、指に付けずに首から大事そうに下げている。

 俺としてはもう少し付ける機会を増やして欲しい所だ。

 でも、あまり言うと一部の根強いチョーカー欲しい派からそっちを強請られるので言い出せない。

 俺自身が数回やって色々拗らせそうになったので自重中。出来れば、この話題には触れたくない。


「それでは、ご本人さんに聞いてみましょうか、正解は?」


「まぁ、"☓"だね」


「「「嘘ぉおおーーっ!?」」」


 アイリスたちから驚きの声が上がっている。


 まぁ、間違いやすい子もいるから仕方ないか?


 例えば、メーアがいい例だ。

 彼女に指輪はまだ贈ってはいない。現在薬師として修行中な事やリリィの無茶に振り回されたりと色々忙しいからだ。

 尤も奥さんと言えるくらい色々したし、仲良くしてるからカウントしても仕方ないよね。


「それでは人数がごっそり減ったので、早押しクイズに移ります」


 その後、残ったうちの子達が善戦するも冒険者の専門知識が足りておらず、この競技では入賞することは出来ないのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ