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初クエスト

 冒険者ギルドの前に全員集合した。


 4人組チーム、ヤケッパチ。


 バルトをリーダーにして以下、レン、コムイ、トード。


「兄貴、お世話になりやす」


「おうよ。……兄貴?何で?」


「俺以上のランカーですし。兄貴の実力に惚れやした」


 野郎に惚れられてもな。


「実力って、一回殴っただけだろ?」


「いえ、あれが2度目でして……」


「えっ、待って、いつ?」


「自分、闘技場での予選出てましてね。そこで兄貴に気絶させられた組です」


 気絶した人たちに混じってたのね。


「そして、こいつらもです」


 他の面子は、コクコク頷いている。


「なるほどね。まぁ、いいや。好きに呼ぶといい」


「どうもです。で、どうやって移動します?馬なら知り合いに伝手がありますが」


「あぁ、大丈夫。全員、バルトにしっかり触れて?」


「「「?」」」


 疑問に思いながらもバルトに全員触れた。


「しっかり触れとけよ。空間転移(シフト)


 景色が切り替わる。


 冒険者ギルド前から草原に移った。


「「「「なあぁ!?」」」」


「移動完了。……ちょっと休憩するか」


 アイテムボックスからテーブルとイスを2つ出す。


 それから、ミズキに用意してもらった紅茶セット。


 ミズキは、紅茶を入れるのが1番上手いんだよね。


「アイリスもミズキのお茶いる?」


「貰う〜」


 紅茶を置くと席についた。


「悪い。他の人数分、イスを持ってなくてな。美味しいお茶ならあるぞ。いるか?」


「いっ、いえ、お気遣いなく」


「そうか?しかし、なんか精神的に疲れたんだよね?なんでだろう?」


転移門(ゲート)じゃなくて転移にしたからじゃない?魔力の使い過ぎ」


「それか」


 魔力を使うと精神的に疲れる。


 門なら1人分の魔力で済むが、転移なら人数分の魔力を消費する。


「次から門にしよう」


「あっ、あの〜、兄貴。今更なんですが、ここは何処なんです?」


 バルトが申し訳なさそうに聞いてきた。


「クエストの開始地点。イビルフロッグがいるとされた草原だな。運のいい事に近場に出れたぞ」


 視線を遠くに向ける。


「えっ?」


 周りをキョロキョロ見渡す。


「1km程先のあの塊」


 目的に向かって指を指す。


 俺の視力なら問題なく見えるが、魔力感知だとギリギリ確認出来る。


 数は、ちょうど37体。


 詳細を見るには魔力感知が最適だ。


「アイリスも見える?というか、何処まで見える?」


 魔力感知は、アイリスの十八番だ。


「う〜んと、カエルまでの距離の倍くらいまでなら?」


 マジかよ。俺の2倍くらいか。


「カエルの数、多くない?予定より17匹多く見えるんだけど?」


「全部で37匹だね」


「なんだと!?」


「まさか、繁殖期か?」


「あり得る。タマゴもあるかもしれん」


「この人数じゃ無理だ!応援を呼ぼう!!」


「アイリス。カエルの周囲に人を感じる?中とかも?」


 俺は、カエル以外の生体反応を感じない。


 数は多いが、一般人が居なければ大丈夫だろう。


「大丈夫。感じない」


「なら、後は普通に狩るだけか」


 問題なし。だって、森の魔物の方がヤバいもん。


 あれ、デカいカエルなだけだし。


「ええっ!?」


 応援を呼ぼうと提案した奴が驚いてる。


 鑑定。


 名称:イビルフロッグ


 危険度:B-


 危険度は、ロックバードと同じか。


 説明:森林や丘に生息。家畜や人を丸呑みにする。肉は、食用可能。皮膚は、毒があるため避けるべし。切断による攻撃だと肉に毒が混じる可能性があります。雷魔法による攻撃が有効です。


 オススメ:トリ肉の様にさっぱりしている。唐揚げがいいでしょう。


 唐揚げか。


 ロックバードとの食べ比べも悪くないな。


「雷魔法ね……」


 雷魔法と出て、アイリスを見た。


「アイリス。肉を確保する場合、雷魔法が有効らしいんだがどうだい?」


「雷魔法?轟雷ライトニング大竜巻(ストリーム)使ってみて良い?」


轟雷ライトニング大竜巻(ストリーム)?前にも言ってたな」


「うん。広範囲魔法だから相性が良いと思うの」


「確かに、良いよ。して欲しい事はあるか?」


「だったら、1箇所に集めて貰えるとやりやすいかな?」


 確かに、広範囲魔法とはいえ、バラバラなら外れる奴が出てくる。


「なら、俺が囮になって集めた後、火で囲もう」


 俺なら転移で逃げられるし。


「兄貴。それは俺らにやらせてくれませんか?」


「うん?良いのか?危ないぞ」


「危険は、承知の上です。集めさえすれば、兄貴たちが何とかしてくれるんですよね?」


「ああ、というか、アイリスがな。無理そうなら俺も剣で斬り捨てる」


「なら、大丈夫そうですね。おい、聞いたな?俺たちで囮をするぞ!」


「はいよ。問題ねぇな」


「カエル共の移動速度から考えると俺たちの方が速いしな」


「広範囲魔法による殲滅。囮になった後は、漏れたのを狩ればいいだけか」


 さすが、Bランク。理解が早いな。


「問題なさそうだし、この作戦でいこう」





 作戦開始。


「おい!カエル共、こっちに来い!」


 バルトたちが分散して囮になり、俺の方へ引きつける。


 各自、8〜10匹のカエルを連れてきた。


炎の絶壁(フレイムクリフ)!!」


 バルトたちが、俺を通り過ぎたのを確認して炎魔剣イフリートを地面に刺した。


 スキル、炎熱効果付与により20mの高さがある炎の壁を創り、円状に囲い込む。


「アイリス!任せた!」


「了解。いくよ!離れてて!轟雷(ライトニング)大竜巻(ストリーム)!!」


 途端に上空を雷雲が覆い尽くし周囲が暗くなる。


 閃光共に轟音が鳴り響いた。


 天と地を結ぶ、無数の雷撃。


 直撃したカエルが……消し飛んだ。


「んっ!!!?」


 更に、雷撃による高温で、大気は乱れ竜巻が巻き起こる。


 それに飲まれたカエルは、ミキサーにかけられたかの如く、無残な姿に変わり果てた。


 これにより、見える範囲にいた全てのカエルが死亡した。


「わっ、私のご飯がぁあーー!!」


「………」


「………」


 やり過ぎです、アイリスさん。


 ほら見ろ!バルトたちも、ドン引きしてるぞ!


 まぁ、許可出した俺も俺だけど。


 そして、今更ながらに気付く最適方法。


「アイリス。鋼鉄糸も出せるよね」


「うん?出せるけど」


 アイリスは、普通の糸だけでなく鋼鉄の糸も創れる。


「それで拘束した後、糸越しに電気流すだけで良かったのでは?」


「………」


「………」


「さぁ、報告用の素材回収しよう!バルトたちも呆けてないで早く!」


 ……流した。


「あっ、姐さん。分かりやした」


 俺が兄貴だから、アイリスは姐さんか。


「回収っても、消し炭くらいか?」


「ほとんど吹き飛びましたからね」


「ミンチの一部で良くねぇ?切り取りしなくて良さそうだし」


「卵も探さないといけないからついでに回収出来そうな個体探そうや」


 俺たちは、卵の捜索を始めた。

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