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宝探し

 エドワードが居ないのならカルナを置いておく理由は無い。彼女のデコイを作るとギンカに頼んで屋敷へと連れ帰って貰った。


 そして、残った俺たちはというと。


「ふっふふ〜ん♪ トンズラこく前に宝探しするか!」


「何処が宝なのか分からないけどね♪」


 家探しをする事にした。

 だって、自分から色々犯罪に手を染めてると暴露した訳だし。当然、それらの証拠を探すでしょ!


 一応、上級貴族なだけあって色々な所に対魔法処理が施されている様だ。

 しかし、チート級にズルい精霊魔法にはその効果を示さなかった。

 おかげで俺たちは誰にもバレずに屋敷の中を堂々と闊歩中なのだ!


「あのさ。2人が強いのは知ってるよ? その上で規格外だと聞かされてたけど実際に目にするまで理解出来なかったんだ。

 そして、理解してからは驚きを通り越して呆れるくらいなんだけど……今回のは何したのさ? この状況、どう見ても魔法だよね? 対魔法処理されてて本来使えない筈だよね?」


「それは上位精霊の魔法によるものだよ」


「精霊魔法……?」


「不思議な話だよね? 何故か精霊魔法だと同じ魔力を使ってる筈なのに感知が出来ないんだよね?」


「えぇっ!? 知らなかった……。でも、良いの? 奥さんの1人とはいえ私に話しちゃって……」


「別に困らないよ」


「だって、妖精の箱庭(フェアリーガーデン)の殆どの人が知ってる事だもんね」


「そっ、そうなんだ……」


 ミキはこの事実を知らなかったらしくショックを受けた様だ。


 そもそも皆が知っているのは、リリンのイタズラが原因だろう。

 彼女がイタズラの時に魔法で姿を隠して行うのは有名だ。その為、警戒するのだが、その上でヤラれてしまうので皆も気付いた様だ。

 そういえば、ミキたちは基本街で過ごす時間の方が長いからまだ被害にあっていないので気付いてなかったのか。


「その内、リリンが教えてくれる筈だったんだよ」


 学習という名のイタズラでね。


「そうなんだ。それは悪い事をしたかな」


「大丈夫だよ。知ってれば防げるし」


「リリンは1回くらい反撃されてみるのも良いんじゃないかな?」


「はい?」


 分かっていないミキを他所に俺たちは書斎の机を物色した。


「あっ、手紙出てきた」


「どれどれ……」


 アイリスが見付けた手紙を広げて見ると、そこには人質に取られ脅されている人の切実な叫びが書かれていた。


「そういえば、カルナが居た様な部屋があと4つあった?」


「あ〜っ、うんうん。有ってるよ。見辛いけど中に人もいるみたいだね」


「大変じゃないか!助けようよ、ユーリさん、アイリスさん!!ここは家主の書斎だから探せば鍵がきっと有るよ!!」


 そう言って次々に引き出しを漁って行くミキだった。

 しかし、一通り探しても鍵が見付からず彼女は落胆してしまった。


「そういう重要な物は肌身離さず持つ物だから本人が持ってるかもね?」


「そんな……」


「でも、鍵が無くても開けられるから大丈夫でしょ?」


「えっ?」


 意味が分からないミキを連れて、監禁された人たちがいる部屋の前に移動。


「フラガラッハ」


 いつも通り白銀の剣を出して扉へ向かい数回振るった。


 ピシッピシッ。ガラガラガラッ!!


「えっ? えぇぇーーっ!?」


 細かく刻まれた厳重な扉はその重さから大きな音を立てた。しかも見ていたミキも驚きの余り大きな声を上げてしまった。


「何の音だ!?」


 その為、当然音を聞き付けて多くの人たちが集まって来ていた。

 俺は来られる前に急いで全ての部屋の扉を破壊した。


「「「「………」」」」


 中には人質にされた人や傷だらけの人たちが居た。彼らは何か起こったのか分からず、ポカンとしている。


「助けにきました。さぁ、行きますよ」


 アイリスと手分けして、動けずにいる人たちをカリスの別荘へと転移させていった。


「2人は先に戻ってて」


「ユーリ、何かするの?」


「もう一層の事、机ごと貰っておこうかと?」


 引出しの中に浅い所もあったので気になっていたのだ。


「なるほどね。気を付けて」


 俺はアイリスたちが転移したのを確認して書斎に戻るととある引き出しを開けた。

 それは先程の開けた時に違和感があった場所だった。中にはどうでも良い書類が数枚。手で中を触ってみるが他に何もない。

 でも、横を見て気付いた。妙に底の厚さがあったのだ。

 俺はその引き出しを抜いて、一気にひっくり返してみた。


「中には手紙がたんまりでした……」


 軽く読んでみただけでこれが何か直ぐに分かった。家主が出さなかったラブレターなのだ。

 しかも恥ずかしいポエム付きのものだった。隠したのは恥ずかしさのあまり世間に出せなかったのだろう。


「このポエム何処かで……あっ、アレか!!」


 俺はアイテムボックスを漁ると目的の手紙が入っていた。以前、アディさんに贈られてきたラブレターの山から貰った物だ。

 その宛名を見るとメギストスと書かれていたので恐らく本人だろう。


「相変わらず、アディさんのハニートラップはヤバいんだな……」


 手紙の中には1枚の写真も同封されていた。

 そこにはメギストスという名のM男が映っていた。一緒に映るアディさんはムチを持っているのでそういう仲だったのだろう。

 俺は偶然から彼が最も知られたくないだろう秘密を知ってしまった。コレは有用に使わせて貰おう。

 そして、俺は当然の様に机を持ち去るのであった。



 屋敷に戻ると何やら慌ただしかった。救出した人たちが原因という感じでもない。


「ユーリ!」


 俺の転移に気付いたアイリスが真っ先に駆けてきた。


「リリスたちが冒険者ギルドに招集されたの!!」


 アイリスの説明によると俺たちが別邸にいない間に魔物騒動が起きたらしく、この街の冒険者たちが緊急招集されたとの事だった。

 ミキたちは既にそれを聞いて参加に向かったらしい。


「俺たちも行こう。リリスたちもそうだが、カルナが心配だ」


「うん。他の組織からも狙われてるもんね」


「ああ、気を引き締めて行こう!」


 アイリスと手を繋いで冒険者ギルドへと転移した。どうやら今日も長い1日になりそうだ。

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[一言] 面白かったのでこれからも更新をよろしくお願い致します。
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