現状確認と転移門
マリーが妻になって1ヶ月が過ぎた。
俺って、節操なさ過ぎでは?
朝、ベッドでそう思う。
右には、アイリスが寝ている。
これは、いい。
左を見るとマリーが寝ている。
二人目の妻だから問題ないが、見た目がなぁ。
見た目は、幼いが成人だ。
人間でいう300歳。竜種換算だと30年で1歳なのだと昨日知った。
だから、現在10歳。
この世界の成人は14歳だが、竜種は10歳で成人したと認められるらしい。まぁ、300年も生きれば十分成人だよな。
そんな訳もあって現在の見た目は、10歳のそれだ。嫌いではないが、背徳感がヤバい。
この上、フィーネにまで手を出している。
他の娘には、手を出さない様にしよう。
と思ったが、2人からむしろ出せと言われた。
おかしくない?
普通、女性の方が嫌がるのに。
ただし、条件が付いていた。
アイリスか、マリーのどちらかが一緒で有ること。
または、2人から許可を貰ったときだそうだ。
その内、イナホとかハイエルフとかに手を出しそうだった。
だから、良かったのかも知れない。
好みのタイプは?
と聞かれたので、素直に話してしまった。
そこから皆のアプローチが激しくなった。
その中でもイナホが1番ヤバい。
主様と熱っぽく言いながら、よく触れてくる。
俺も尻尾触りたいしな。
でも、程々にしようと思う。
1ヶ月もすれば各自の仕事が自然と定着した。
まず、ハイエルフ組。
畑の世話と果樹の管理を行って貰っている。
ただし、採取の時は全員で協力だ。
ハイエルフって器用だと思ったら不器用だった。
器用なのは、戦闘のみ。
色々やらせたがこれが1番安定していた。
次に、獣人組とミズキ。
屋敷の清掃が主になった。
遊撃として、あちらこちらのサポートをしている。
そのついでに掃除って感じかな?
フィーネは、養鶏と俺のメイド。
養鶏は、経験者なだけ有り、手慣れたものだ。
そして、メイドとして皆の飯作りを手伝ったり、給仕をして貰っている。
俺とアイリスとマリー。
薬草畑の管理。農業実験場でのテストを行っている。
しかし、2人は別の仕事も持っている。
アイリスは、知っての通り眷属使っての水質管理。
マリーには、転移門の管理を兼任して貰っている。
ことある毎に転移で竜王国へ行くので、一思いに創った。
入口は、屋敷の地下。
倉庫の隣の部屋。
行き先は、竜王国のお城の一室。
専用の鍵で扉を開けると繋がる。
創る人の建築、彫刻、鍛冶の力を総動員した。
専用の扉を2つ、建築で作成。
彫刻により、扉に空間接続を刻印。
専用の鍵を挿す行為により魔法が発動する様にした。
鍵を使わず入れば、どちらもただの空き部屋。
鍵は、工房を借りて鍛冶により作成。
鋳造で鍵先を特殊な形にした。
この世界では、鋳造の技術が無かった。
未だに金槌で叩いて創っているみたいだ。
なのに出来るのは、純粋に昔学んだ技術だからだ。
鋳造に溶接。
職業訓練学校で学んで来た技術。
それを知ってか知らずか職業スキルに組み込んでくれたらしい。
昔より簡単に出来るようになった。
その鍵を、マリーが預かっている。
型が有れば造れるので、型を創るオリジナルは俺持ち。
アイテムボックスに仕舞っている。
合鍵は、全部で3本。
残りの内、1本は俺が所持。
もう1本は、ガイアス爺さんに渡した。
「息災のようじゃな。遊びに来たぞい」
だから、昼時を狙って最低2日おきにやって来る。
「来過ぎじゃねぇ?」
「そう言うでない。ちゃんと土産もある」
毎度、何かしらの食材を土産として持って来てくれる。
暗に、俺に料理しろと言ってる気がする。
だから、貰ったらその日の内に料理するようになった。
「やはり、ニンニク醤油は美味いのう。マヨネーズも良いが」
その為、ニンニクが結構多かったりする。
ニンニク醤油で味をしめたようだ。
「ちゃんと魔法で匂い消しとけよ。気になる奴は気になるから」
「分かっとるって」
そう言って、牛肉の高級ステーキを口に運ぶ。
牛肉となら相性が良いと言ったら人数分持ってきた。
「しかし、ここまで来ると米が食いたくなるな」
調べて分かった事だが、スキルで創造した種は、通常の4倍程成長速度が早かった。
米は、栽培を始めたばかりなので、2ヶ月ほどかかりそうだ。
それに比べて野菜の早いこと早いこと。
一週間もかからず食える物が取れる。
「米か。うちの港街でもなかなか手に入らぬな。和国に行けば確実じゃが」
「和国?」
「なんじゃ、お主。和国出身じゃなかったのか?」
「違う。俺は、ちょっと特殊なのよ。それより和国ってどんな国?」
話を聞いた結果、文化的には明治くらいの日本か?
江戸かと思ったが、魔法のおかげで発展してるそうだ。
「完全に島国じゃからな。海戦が得意とあって何処も手を出さん」
この世界、空は、竜の専売特許だから必然的に陸と海になる。
そして、海から攻められる国が少ないから水軍を置かない。
そんな事もあり、攻める相手も攻められる相手もいないので、平和なのだという。
「今度行ってみよう」
「ちょうどええ。特使を送るから道中護衛してくれ。うちもしっかりとした交易が欲しくてのう」
「あいよ」
近い内に和国へ行くことになりそうだ。
という感じに和気あいあいと昼飯を食ったら帰る。
「そうそう、ギルの奴が冒険者ギルドに顔を出してくれと言うとったぞ。何でも頼みたいクエストがあるとか」
「分かった。後で行くよ」
そういえば、まだ、クエストを一度も受けていなかった。
Aランクとはいえこれは不味い。
まぁ、素材をかなり売ってるからそんなに文句は言われないだろうけど。
だって、この前、経理担当のユクリータさんがスキップしてた。
大量に持ち込むから経理の人が、直接払ってくれるようになり知り合った。
カリーナの森の魔物は、高品質で高く売れるらしい。
俺も儲かるが、それを卸すギルドは、もっと儲かる。
「アイリス。初クエストみたいだから行くよ。従魔として来て」
「了解。頑張るぞ!オォー!」
「マリー。留守を頼む」
マリーがいれば、皆も安全だからね。
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
マリーもだいぶ砕けてきたようだ。
アイリスを連れて地下へ行き、鍵を挿す。
「じゃあ、行くとしよう」
「うん♪帰ったらお祝いしよ!初クエストクリアって!」
「良いねぇ。なら、本気でやらないとな」
楽しみだ。俺も頑張ろう。
2人で扉をくぐり抜けた。