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抗えない魔力

 ユーリたちがクエストを決めて親睦会を始めた頃、ギンカたちは情報収集を行う為にメルトローナの商会ギルドを目指していた。


「どうして商会ギルドに来たのですか? 情報収集なら酒場では?」


 定番である酒場へと向かわない2人にギンカは首を傾げた。


「ああ、それは誘拐犯が使った手形が正式な物だったからだよ」


「はい? それはどういう事ですか?」


「実は正式な手順を踏んで出入りしてたみたいなんだよね。だから商会ギルドには手形発行の為に記載した営業所の場所や入国時の記録が残ってる筈なんだよね」


「そして、その手形なんだけど商会ギルドへの返納義務がついて来る物だったんだとさ。そんな訳で記録の確認。それが誤情報だとしても保管された手形に匂いは染み付いてるんじゃないかな?」


「なるほど。そういう理由があって、ご主人様は私を付けたんですね」


 ギンカはついて行けなかった事を残念に思っていたが、自分の役割を知り納得した。

 終わったら目一杯誉めて貰おうーーそう思いながらギンカは足を進めた。


「あっ、見えてきたよ」


 会話している内に時間は経ち、3人は商会ギルドへと辿り着いた。

 商会ギルドの周りには野菜を積んだ数多くの馬車が並び、当然ながら大勢の商人が出入りしていて賑わっていた。


「それじゃあ、行きーー」


「「その前に!!」」


 商会ギルドへ向かい突撃しようとするギンカをカルナとミキは引き止めて、近くにあった建物の裏へ連れ込んだ。


「んっ? 行かないんですか?」


「行くよ。行くけどその前にすることが有るの!」


「アタイたちからギンカさんにお願いがあるんだ!これをすれば囮としても確実に目立つと思うんだよね?」


「っ!? それは本当ですか!?」


 ユーリに誉めて貰いたいギンカとしてはミキの話は歓迎すべきものだった。


「ああ、本当だよ。でも、ギンカさんが嫌ならしなくても良い」


「うん。それにユーリさんなら止めるかもしれないしね」


「それは困ります。でも、……話してみて下さい」


 ギンカはミキの提案を聞いて考える事にした。





 それから数分後。


『………』


 商会ギルドへと足を踏み入れたギンカたち。彼女たちを目にした者たちは、その衝撃に驚き静まりかえった。

 しかし、ギンカたちが一度歩き出すと喧騒が再び戻ってくる。むしろ以前よりも騒がしいくらいであった。


「だっ、誰だアレは!? 何処の令嬢だっ!?」


「でっ、デカイっ!?」


「ああ……なんて塊だ!!」


「歩く度にぷるんって……俺は奇跡を目にしているのか?」


 全ての元凶はドレスに着替えたギンカであった。

 大きく胸の開いた白いドレスは、彼女の褐色の肌と相まって大きな胸がより一層強調されている。

 また、そのスカートはスリットにより足の可動域を上げるも見えそうで見えないギリギリを攻めていた。

 これらが合わさった結果、男たちの目を全てギンカが釘付けにしたのだった。


「きっ、綺麗……!なんて素敵な方なのかしら!!」


「まるで、ウェディングドレスみたい!!」


 しかも釘付けにするのは男性だけではない。

 ギンカの凜とした姿とその衣装に女性たちも目を奪われてしまったのだった。


「思った以上に凄い反応ね。驚きだわ!」


「それには私も驚いたよ。最初はボタンを一部外して胸を強調して欲しいってお願いしただけなのにな……」



 ********



 話は少し前のお願いまで遡る。


「……なるほど。胸を強調して周囲に存在をアピールして欲しいのですね」


「ああ、これはギンカさんにしか出来ないんだ」


「男はなんだかんだ言っておっぱいが好きだからね……」


「作戦の要である存在アピールの為にも、ユーリさんを虜にするその胸をいっちょ頼むよ。普段からギンカさんは着崩してるだろ? そのレベルで良いからさ」


「ふむ……あっ」


 ギンカは二人からの提案を聞いて考える中で、アイテムボックスに入れていた物を思い出した。


「それならもっと良い方法が有りますよ」


「もっと良い方法?」


「それって何ですか?」


「これを着る事です」


「「こっ、これは!?」」


「私の勝負服です。いつも持ち歩いてます」


 それはユーリとエロースが合作したドレスだった。

 2人の欲望が詰まった結果、普段でも夜でも着れる様にと色々な機能が備わった最高品質のドレスとなっている。


「ちなみに着るとこうなります」


 ギンカは魔法で勝負服に着替えると、2人の前で軽く回って貴族の令嬢の様な上品なお辞儀をしてみせた。


「ふぁ~っ、綺麗! これならナベリウスの偽名にも真実味が出るかも!!」


「良いなぁ……私、同じ奥さんだけど貰ってない……」


 ミキはギンカのドレスを羨ましそうに見詰めた。


「ミキの分は有りますよ。ナージャたちの分と一緒に渡すつもりでいるから渡してないだけで」


「えっ、それは本当なの!?」


「良かったね、ミキ。旦那さんに大事にされてるみたいで」


「よし、がぜんヤル気が出てきた。しっかり目的を完遂するぞ!」


 そして、ギンカを先頭にして二人は従者の様に商会ギルドへ向かうのだった。


「……でも、何で持ってるの?」


「外でするなら持ち歩くでしょ?」


「………。〜〜〜っ!?」


 カルナが少し考えるとギンカの言葉の意味を理解して顔を真っ赤に染めるのであった。




 ********




「まさか、ナベリウス家の方が突然来訪されるとは……」


 騒ぎを聞き付けてやって来た商会ギルドの会長は騒ぎの終息も兼ねて、ギンカたちは会長と共に別室へと通された。

 そこでカリスから預かった手紙を手渡すと会長は3人の話を聞いてくれる事となった。


「突然申し訳有りません。私たちはとある方たちの情報を追っていて」


 カルナが簡単に説明すると会長は思い当たる事でもあるのか、3人へ話を始めた。

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