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竜王祭の真実

 なかなか口を割らない2人に対して俺は行動に出た。


 ミルクと卵が手に入ったから作ったおやつ。


 プリン。


 まだ、ニワトリは卵を産んでいないが、買い出しで偶然入手出来たので作って置いた。


 魔法で氷を創り、中を削った後、それで冷やした。


「アイリスたちは、抜きにして皆で食べよう」


 2人の前で食べ始める。


 アイリスなら直ぐに食いつくだろう。


『甘い〜〜!!』


 皆の反応は、上々だ。


「竜王祭が原因です!」


 ほら、食いついた。


「アイリス……」


「いずれバレる事だったし。ユーリの料理に勝てないの!」


 アイリスにプリンを差し出す。


「ぷるんとして、ふわっとして、あまいぃ〜〜!」


 ここまでの反応を見せられたら観念するだろう。


「さぁ、マリー。食べたければ正直に話すんだ」


「うう〜、分かりました」


 マリーもプリンを受け取った。


「実は、ーー」


 竜王祭の目的は、婿探しだった。


 最強決定戦なんて考え方は、後から付いてきたのだそうだ。


 そもそも竜種が婿を探す理由は、男性率が低いのが問題だった。


 竜種が10人集まれば、7人が女性なのだと。


 そういえば、マリーも姉が多かったな。


 そして、婿にはある条件が求められる。


 まず、魔力の器。


 竜種が子供を作るとき、お互いの魔力を交換する必要が出てくる。


 相手の器が大きくないと溢れてしまう。


 溢れるとどうなるか?


 暴走した魔力により相手は死ぬ。


 そうならない為にも器が大きい者に限定される。


 次に実力。


 竜は、力の象徴とされている。


 男性の竜なら誰を選んでも構わないが、女性だと問題になる。


 竜を嫁に出す程だからと色々勘違いされるそうだ。


 だから、誰もが認める実力が必要になる。


「理由は、分かった。あれか?俺が優勝したからか?」


「いえ、それ以前にお父様はユーリさんに決めたようです。だから、プライベートルームの鍵を渡したのだと」


「何故に?」


「私との相性が原因ではないでしょうか?雌の竜が、異性を乗せていたからです。後で知ったのですが、普通は無意識下で拒否するらしいです」


「えっと、多少なりと好意が無いと乗せられないと?」


「みたいです」


 それが攻撃してきた、ホントの理由か!


「で、いつこうしようと考えたんだ?」


「家出してきた時のことを覚えていますか?」


「覚えてるよ。結婚相手を断れないとか言ってただろ?」


「私が成人したので、結婚相手を探し始めたそうです。そしたら占いで、今回の竜王祭に出る相手の中にいると出てたらしいです」


「占いって……」


「高魔力保持者の占いは、当たりやすいですし。両親二人共、同じ結果だったそうです」


「だから、優勝者と強制的に結婚」


「みたいです。通常なら断れるのですが、許さない素振りだったので逃げて来ました。そのときにアイリスから提案が……」


 内緒話してたな。


「アイリス。簡単に説明して」


「え〜っと、マリーの結婚を防ぐ為には相手がいる。マリーならユーリの公式の妻でも良いかなと。なんなら、表面上だけ夫婦になって相手を別に探せばいい。そうすれば、マリーは結婚を押し付けられる事は無くなるし。ユーリも困らないと思って」


 よくある偽装結婚の形って訳か。


「俺が何に困るんだ?」


「魔物を妻にしてること」


「はい?」


「ユーリって、半神だけど元は人間でしょ?」


「うん、先月くらいまで人間だったな」


「亜人ならまだ良い。魔物を妻とか言うと迷惑がかかると思って。人間は特にそういうことを気にするから」


 人間って、ちょっとした差を許さないからな。


 貧しいってだけでイジメて来た奴らいたし。


「言いたい奴には、言わせとけばいい。俺は、気にしないさ」


「私が、気にするの!嫁だって言われて嬉しいよ。でも、それでユーリが馬鹿にされたくないの!」


 アイリスは、表ではいつも通りだが、裏では悩んでいたようだ。


「だから、仮とはいえ公式の妻がいればそっちと勘違いすると?」


「うん……」


 まったく。心配し過ぎたよ。


「安心しろ。アイリスの人型は、普通の奴には見分けがつかない。高位の鑑定能力でもないとな。昔、ケディ達に絡まれたろ?だから、妻と言っても種族までは聞かれないよ。だから、今まで通りに『俺の嫁だ』って宣言してやる。だから、気にするのを止めろ」


「……分かった」


「マリーは、どうする?俺が、旦那でいいのか?」


「良いですよ。身体も完全に受け入れちゃったみたいですし」


「はぁ?」


 生憎、マリーには手を出していないが?


「これを貰って下さい」


 紅い鱗?


 マリーから5cm程の紅い鱗を手渡された。


「それは、私の鱗で竜心の欠片(ハートフラグメント)と言います。惚れた相手と触れ合うと鱗の色が変わるんです。竜が自分の心に気付くためのものですね」


『!?』


 イナホを含んだ年少組以外が皆驚いた。


「どうした?」


「竜種がそれを与えるのは、婚姻の印ですので……」


 リリスの説明からして結婚指輪のような物か。


 そういえば、アイリスにやってないな。


 今度、買って来よう。


「いつ気付いたんだ?」


 触れた記憶はかなりあるが何時だろう?


「頭を撫でられたときです」


 アイリスのお披露目会したときか。


「受け取って貰えますか?」


「俺は、マリーが思ってる程の人間じゃないかも知れないぞ」


「大丈夫です。それは、アイリスを見てれば分かりますよ」


「それにアレだ。夜のアレもするんだぞ?」


 奥さんにするならちゃんと言わないといけないと思った。


 見た目の問題もあるし。


「成人しているので大丈夫ですよ」


「分かった。宜しく頼む」


 俺としては、納得しているなら断る理由はない。


 こうして、奥さんが2人になった。


 もっとも、実際は3人みたいなものだがな。

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