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手掛かりを求めて

難しく書き過ぎで、途中何度も書き直したら遅くなりました。ごめんなさい。

 カルナから旦那のエドワードが誘拐されたと聞かされた。


「エドワードから事前に商談の後に会食もすると聞かされていたので、私たちは遅くなると思い宿屋で先に寝る事にしました。

すると夜中に部屋をノックする音で目を覚ましたんです。開けてみるとそこには見慣れぬ女性が佇んでいました」


 その女性はエドワードの部下と名乗り、カルナにある事を告げたのだそうだ。


「夜分に申し訳有りません。エドワード様の事でカルナ様に至急のご連絡がございます。心して聞いて下さい。エドワード様が何者かに誘拐されました」


 それを聞いたカルナは動揺したが、直ぐにエドワードとの約束を思い出した。


「まるで彼はこうなる事を予見していたかの様に、自身にもしもの事が有ればラインヴィス孤児院に逃げ込みなさいと言って地図の書かれた紙を渡してくれたんです」


 その後、女性はカルナたちを避難させる為に来たと言い、他にも待機していた部下たちの元へ案内したそうだ。

 そして、避難をしている途中に謎の集団から襲われて混戦している内に逃げ出したそうだ。


「部下を名乗る人たちを信用出来なかったです。孤児院からも遠ざかっていたみたいですしね。だけど人数が多いから途中まで従う振りをして、逃げる隙を窺っていたんです」


「なるほどな。その紙は、今持ってる?」


「これになります」


 カルナから2つに折られたメモ紙を受け取り広げて見ると、それは手書きで簡易的な地図が描かれていた。


「ん? クンクン……この匂いは……」


 紙を広げると側で聞いていたギンカが真っ先に反応した。


「ギンカ。気になる匂いでもしたか?」


「はい。ご主人様も良く知った匂いです。最近嗅いだばかりなので、直ぐに分かるのでは?」


「俺がか? ギンカや獣人みたいに敏感じゃないんだけど……」


 とりあえず俺はカルナに断りを入れ、試しに紙を鼻に近付けて匂いを嗅いでみた。


「クン……あっ、なんか甘い……?」


 ほんのり甘く蠱惑的で……なんかムラムラしてきた。


「女性……カリスか?」


「はい、カリスです」


 性欲に従い、最近寝た嫁さんたちの中から消去法で選んでみたら正解した。


「彼女が常に懐へ入れている物だから匂いが染み付いたのでしょ?」


「あっ、専用の枠模様も入っていた」


 カリスくらいになるとメモ紙を偽造される事もあるらしく、彼女は特殊な枠模様の入った物を使用している。

 紙の端を意識して触ってみると確かな手触りを感じた。


「……という事は、この地図もカリスが書いたのかな?」


 彼女に聞けば何か分かるかもしれないと思い、俺たちは商会ギルドへ行くことにした。






「あら、ユーリさんとアイリスさん。いらっしゃい」


 俺たちが商会ギルドを訪ねるとカリスに出迎えられた。

 彼女の周囲には衛兵や野次馬などで人だかりが出来ており、内部はいつもに増して混雑していた。


「カリスさん、何か有ったの?」


「必要ならいつでも動けるよ?」


「ありがとうございます。でも、心配には及びません。盗人が資料室に忍び込んで直ぐに警備の魔法が作動したので、何も盗られていません」


「という事は、未然に防げたんだね? 良かった……」


「いえ、残念ながら盗まれてないだけで情報が漏洩しました。どうやら盗人の目的は、とある商会の資料だったみたいなんです」


「何処の商会?」


「ダッフルベルという小国の商会で……」


「あっ、それうちの商会です!」


「……こちらの方は?」


「ちょうど、その事でカリスに話が有ったんだよ」


「……分かりました。何やら事情が有りそうですね。あとの事はロゼットに任せるとしましょう」


 副会長のトリーアスさんを呼んで事件の対応をお願いした。

 それからカリスと共に会長室へと移動して、これまでの経緯を彼女に話す事にした。


「そうですか。エドワードさんが……」


「カリスには何か心当たりない?」


「いえ、特には……地図をお渡したのは慈善活動の一環で孤児院に寄付を行いたいとの申し出が有ったのでお渡ししただけですから……」


 どうやら地図の件はカリスへ助けを求めた結果ではないらしい。

 それとも寄付というのが場所を知る為のフェイクなのだろうか?


「手がかりはなしか……」


「そういえば、カリスさん。泥棒は商会の何を知りたかったの? 資料が漁られたんだよね?」


「ごめんなさい。そこは分かってないの。逃げる際に資料室が荒らされてしまって肝心な所までは分からないの……」


「そっか……それは残念。仕方ないね」


「本当にごめんね。あっ、でも、ギンカちゃんなら分かるんじゃない? 彼女の鼻はとても優秀でしょ?」


「そうだな……」


 ギンカなら確かに出来なくもない。あとで頼むとしよう。そうすれば何かの手がかりが得られる筈だ。


「しかし、俺たちはギンカに頼り過ぎだな」


「仕方ないよ。私たちって荒事専門だから」


「でも、男として嫁に頼り過ぎってのも……」


 これは以前から考えていた秘策を実行すべきかもしれないと思った。


「お二人って、こんなに優しいのに荒事専門なのですか?」


「カルナさんは他国にお住みなのであまり知らないと思いますが結構有名ですよ。無茶苦茶するって♪」


「「凄い言われよう……」」


 ここはカリスにしっかり抗議せねぱ!


「こちとらそんなに暴れて無い気がするんだけど?」


「そうだ!そうだ!」


「魔王国の城が吹き飛んだのは?」


「わっ、私たちがやりました……」


「俺は拘束されてたから関係ない!」


妖精の箱庭(フェアリーガーデン)から見える山を吹き飛ばしたのは?」


「はい、私です! すみません!!」


 ヤバい。高度な話術を持ったカリスには口喧嘩で勝てそうにない!

 そもそもそれ以外にも色々やらかしてるので反論出来ないでござる。


「でもね!ギンカやマリーに比べたらマシだよ!」


「まぁ……そうですね……ギンカちゃんは……特に……」


 ギンカは護衛中に何かしでかしたのだろうか?

 カリスはとても遠い目をしていた。


「そういえば、今日はついて来て無いんですね。今、ギンカちゃんはーー」


「ユーリさん!!」


 突然、部屋に転がる様にトリーアスさんが入ってきて名指しされた。


「商会の前に居座ったギンカさんとあの()()の山をどうにかして下さい!!」


「「「お茶が美味い……」」」


「現実逃避しないで下さい!?」


 それを聞いた瞬間、厄介事の匂いがして俺たちは現実逃避をするのだった。

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