彫刻
新しい柵を造っている時に気付いた。
木を伐採した事で広くなったので新しく大量に用意した。
その為、大量に彫らないといけない。
正直面倒くさい。
その柵への魔法付与を彫らずに出来ないか?
考えたら該当する方法が頭に浮かぶ。
任意の魔法刻印を魔力で書いて、金槌で叩く。
そうするとその効果を付与された柵が出来た。
創る人の彫刻は、俺の知っている彫刻師とは別物だった。
刻印師。
魔法を刻印する職業スキルだった。
なら、何故タナトス様の像を創れたのかって?
そこが刻印師なのに彫刻師の理由だ。
この世界には、刻印師というものが存在しない。
彫刻を生業にしている者が刻印も兼任で行っている。
とはいえ、刻印を施せる者はごく僅からしい。
ここから刻印について調べた。
付与するならやっぱり攻撃魔法だろ。
属性剣を創ろう。
お店でレア度Cの剣を複数買って来て、火の刻印を入れる。
魔力を流すと火を纏った属性剣になった。
更に、同じ刻印を足す。
魔力を流すと火力が上昇した。
ビキッ。
……砕けた。
次に行こう。
魔法にもレベルがある。
下級、中級、上級、特級となっている。
先程は、下級を刻印したので中級に変えてみた。
2重に刻印した物に比べて弱いが安定している。
……2重にしたら?
ボン!
ですよね〜。爆散した。
上級を付与。
これも爆散した。
素材を変えてみる。
とりあえず、いつもの木材。
レア度が、剣より高いレア度Bだったのもある。
それに1番使うし。
火属性を付与。下級で燃えた。
水属性。下級、中級共に問題なし。上級も問題なかった。
雷属性。下級、中級共に問題なし。上級も問題なかった。
風属性。下級、問題なし。中級で割れた。
付与に差が出た。
上級まで付与出来たのもある。
2重刻印を試してみる。
2重刻印すると下級でも中級を上回っていた。
上級に耐えた属性の下級を2重刻印する。
結果は、問題なし。
中級を凌駕するが上級には及ばない。
上級に耐えるなら上級にした方が良さそうだ。
なら、中級と中級は?
やはり威力は、上級を上回っているが耐えきれなかった。
水だと砕け、雷は焦げた。
素材との相性か?それともレア度?
レア度Bの剣を急いで買ってきた。
結果、上級までならどの属性も問題なかった。
ただし、2重刻印は中級でもダメだった。
これらの事から、素材によって付与出来る属性が違うこと。
付与出来るレベルは、レア度の影響を受けること。
重複刻印すると上のレベルより威力が上がることが分かった。
これは、他にも色々組み合わせを見ていた。
他属性同士とか、3重刻印とか。
……本題を忘れていた。
柵の作成途中だった。
柵への付与は、警報は当然。
侵入対策も施したい。
空白領域だからと言って安全ではない。
魔物避けと属性を付与しよう。
板毎に分ければ問題ないだろうし。
強力な柵と言えば電気柵だな。
よし、上級の雷属性を付与しよう。
後は、忘れずに魔獣避けだな。
これらを刻印した結果、木製の電気柵が完成した。
実験。
ちょうど、薬草畑を荒らしに来たカラスを捕まえた。
柵に投げる。
バチッ。ドサッ。
丸焦げになって落下。
ざまあみろ。
無事、柵が完成した。
これで安全性は高まると思う。
各所に設置も完了。
設置途中で襲われたが無事だった。
実験ではなく、実際に機能する事の確認が出来て良かった。
付与実験の続きをしよう。
色々あそ……実験した結果、3重刻印は下級でもそうそう耐えられない。
属性の組み合わせは、どのパターンでも干渉して弱くなる事が分かった。
火と風なら火力が増すと思ったんだけど。
そうはいかないらしい。