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六翼議会

「ふわぁ~っ♪本当にここはなんて素晴らしい所なの!」


 目の前に並べられたお菓子の山を前に感動しているヴィーちゃん。彼女は両手に別々のお菓子を持つとそれらを口一杯に頬張った。


「沢山取ったな。そんなに食べてたら飽きるぞ? いや、その前に肥るか?」


「大丈夫よ。これだけ美味しいんだから! それに妾……私はいくら食べても肥らない体質なのよ! だから、いつまでもこのプリティボディをユーリは楽しめるから安心してね」


『クッ! うっ、羨ましい!!』


 ヴィーちゃんに羨望の眼差しを向ける嫁さんたちだった。


「はぁ~……私もあんな風に沢山頬張りたいものです。私は肥りやすいみたいですから」


 そう言う割りにイナホはケーキを2個食べてますよね?

 言ってしまったら嫌われそうなので俺は黙って置くことにした。


「私もイナホちゃんと同じだよ~。体重増加はゆっくりと襲ってきて気付いた時には服もキツキツだもん」


「いや、フランは単純に胸に行ってるから良いでしょ? また、大きくなってない?」


「う~ん、そろそろDカップかな?」


 大きさが分かる様にフランがおっぱいを下から手で支えると服の上からも分かる程にしっかりとした大きさが確認出来た。


『なんですとっ!?』


 これにはヴィーちゃんも食べる手を止めて羨ましそうにフランの胸を見るのだった。


「まぁ、胸は遺伝や生活が関係するから仕方ないけどさ。お菓子なら皆も好きに食べれば良いじゃない?」


 そんな事を言うアイリスの前にヴィクトリアに負けず劣らずのお菓子の山が築かれていた。


「アイリスも肥らない派の人ですからねぇ……」


「いや、そもそも運動してカロリーを消費すれば良いんだよ。上下運動が一番効果的だってリリィさんが言ってたよ」


『上下運動……っ!!』


「んっ!?」


 皆は何かに気が付いたらしく俺の事を獲物を狩る獣の様な目で見詰めるのだった。

 おかしいな。何故か冷や汗が出てきたよ。


「そういえばさ。ヴィーちゃんは、本当に魔王止めて良かったの?」


「うん? なんでそう思うのアイリス……お姉様?」


『!?』


 ヴィーちゃんの"お姉様"発言に皆が驚いていた。

 何故彼女がアイリスのことをそう呼ぶかは…………調教の結果とだけ言っておこう。


「だって、魔王国で一番偉いから好き出来るでしょう? それにトップが空席なら国内が混乱するんじゃないの?」


「あっ、それは大丈夫。国の物事は魔王側に必ずしも絶対権限が有る訳じゃないのよね。大半が六翼議会で議決して決める事になってるのよ」


「ワンマン政治じゃないんだな。魔王だからそうだと思ってた」


「昔はねぇ~。今は役人やら貴族やらが以前よりも増えたせいで色々な絡みがあって面倒くさいの。だから、各グループの長役と相談して決めるのよ」


「なら、今はその六翼議会の人たちが魔王の代理人を務めてるの?」


「うんうん、違う。今はね……」


 イタズラが成功した子供のようにヴィーちゃんはニヤリと笑うのだった。




 **********



 どうしてこうなった?


「魔王ヴィネア様。ばんざーい!」


『……ばんざーい!』


 六翼王たちが私のことを新魔王と称えると魔王城の従業員たちも私を称えた。

 しかし、そんな彼らの目は哀れみであり、万歳は嫌々で有る事は目に見て分かった。


「ささっ、魔王様。こちらへどうぞ」


「あぁ……」


 六翼王たちに促され会議室へと移動した。


「それでは会議を始めよう。まずは改めて……ヴィクトリア様から魔王を仰せつかった元四天王のヴィネアだ。よろしく頼む」


『…………』


 六翼王たちの態度から本音では彼らも歓迎していない事が分かった。現に目の前にいる六翼王の中には裏で私やヴィクトリア様の暗殺を企てている者もいた。

 一体何処で間違えたのだろうか?


「……爺やよ。逃げた罰に魔王の重責背負ってみせよ」


 笑顔のまま怒るヴィクトリア様は私に魔王の座を押し付けた。

 それ程までに放置した事を怒っているらしい。私だって認識外からの強襲で重症を負ったのだが……。

 しかも私にだけポーションが配布されることはなかった。

 仕方なく自腹をきって治療した訳なのだが、先のレイド戦の影響で高位のポーションは未だに在庫切れ。おかげで内臓はまだ傷んでおり吐き気がする。


「……しかし、信じられませんな。魔王城が結界ごと破壊されたなど。何かしらの幻術では? 建物に戦闘の痕跡も有りませんし」


 会議の席でいの一番に発言したこの男こそ暗殺を企ている者だ。

 六翼王のコネを使い魔王城に多くの内偵を放っていた事も知っている。

 ゲスな奴だ。いっそこの場で全部暴露してやろうか?


「…………それだけにヤバい連中だったのだ。以後彼らへの干渉を禁ずるものとする」


「私は同意する。忘れたい過去だ」


「えぇ……私も同意するわ。思い出したくもない」


「正気なのかっ!? アゼル、フォルネ! 世間の良い笑い者でないか!!」


 戦う事すらなくやられた二人は恥ずかしさから同意するしか無いようだった。


「私たちもそれをお薦めするのですよ~」


「私たちも彼らとは戦いたくないのですよ~」


私の背後にいたモラルタとベガルタも同意した。

六翼王ではないが、彼女たちもこの会議の場では大きな発言力を有している。


「そっ、そんなっ!? 戦闘狂のモラルタ様とベガルタ様が戦闘を望まれないだとっ!?」


 モラルタとベガルタのヤバさは六翼王が一番理解している。中には畏敬の念を抱いている者もいた。そんな彼女たちが後押したのだからこの案件に反論していた者たちも同意した。

 というか、彼女たちを恐れるのならどちらかが魔王で良くない?


「魔王の座を……」


「ヴィネア様。お疲れの様ですね。肩をお揉みいたしましょう」


「おっと、虫が……首の前を失礼」


 立ち上がろうとしたらモラルタが肩に力を入れ椅子に着かせ、ベガルタが剣で動けば斬ると脅してきた。

 ダメだ。逃げられそうにない。


「…………狙わぬ事だ。どうなっても知らぬ」


 今の私みたいにお飾りにされた上でコキ使われるだろう。


「ーー以上で解散とする」


 とりあえず、六翼王たちから不可侵の同意が得られたので書面にしてヴィクトリア様に送るとしよう。



 **********



「執事の爺さんが魔王って大丈夫なのか?」


「大丈夫。大丈夫。恐らく近代の魔王の中でも一番えげつないと言われると思うの」


「なんで?」


「爺やね。自身の能力を使って他人の知られたくない情報を沢山持ってるの。それを使って一線引いた所から人を操るんだよ」


「汚い!さすが魔王汚い!!」


 ヴィーちゃんの話から爺やさんが魔王でも大丈夫かなと思えた。

体調も戻ったのでキリキリ書いていこうと思います。

早く次の三連休来ないかな……。

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