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嵐の前兆

 ミズキとの結婚式をした翌日は昼間になって目を覚ました。

 隣にはいつもなら先に起きてるミズキがまだ寝ていた。昨日ハッスルし過ぎたせいかもしれない。


「……まさか、こうなるとは思わなかったわ」


 俺は周囲を見渡してそう思った。

 ベッドにはミズキだけでなく、ウェディングドレスを来て寝ているアイリスたちの姿もあるからだ。それというのも……。


「3回戦からは私達もだよ!」


「「えっ?」」


 ミズキと2回戦を終えたタイミングでウェディングドレスを身に着けたアイリスたちが乱入してきた。わざわざ2回戦が終わるまで待ったらしい。

 というか、3回戦以上が前提っておかしくないか?

 そんな疑問をアイリスたちに捨て置かれ結局いつも通りの夜になったのだった。

 そもそも受け入れる俺もどうかしている気がしなくもない。ちょっと自制する為にも修行の旅にでも出るべきではなかろうかと真剣に悩むのだった。


「とりあえず、着替えよう……」


 俺は身支度を整えて部屋を抜け出すとロギアに出会った。


「おっ、ロギア。おはようさん」


「……おはようございます」


 何やらロギアの元気がない。まるで、疲労が抜け切れて無い様だ。


「どうした? 元気がないぞ?」


「そうですか?……いや、そうですね。なんか身体が怠いです。今日の仕事休んでも?」


「別に良いけど」


「ありがとうございます。それでは帰って……植物園で寝ることにします」


 ロギアはフラフラして家に帰れば良いのに植物園へと向かって行った。

 心配した俺が少し経ってから見に行くとロギアは木陰で気持ち良さそうに寝ていた。どうやら元気がないのは寝不足の様だ。


「寝るなら家で寝れば良いのに……」


 そう思いつつも木陰での昼寝の気持ち良さを知っているので寝かせて置くことにした。


「今度はロメオもか……」


「あっ、ユーリ様お疲れ様っス。ふぁ〜っ……」


 いつも通りノリが軽く元気が取り柄のロメオも眠そうにしていた。


「揃いも揃ってなんでそんなに眠そうなんだ? 夜更かしし過ぎだろ?」


「あ〜っ、確かに眠いっすね。でも、夜はちゃんと寝てるつもりっスよ?」


「そうなのか?」


「ええ、大体9時くらいには布団に入ってますから」


「子供かよ」


 いや、子供よりも早いな。よく10時に寝なさいと言うし。


「まぁ、それなら別の要因かもな? キツそうならリリィに相談するんだぞ」


「そうですね。数日経っても変わらなければそうしますよ」


 その後、結局2人の体調が戻る事はなかった。

 俺の鑑定では2人の症状は睡眠不足と疲労によるものだとしか分からない。だから、改善の為にリリィへ任せる事にした。


「あら? あらあら大変ね。専用のポーションを用意するから待っていてね。後、ユーリ君。ロギアたちの奥さんを呼んでおいてくれないかしら?」


「はい?」


 リリィには全て分かっているらしく専用ポーションの作成準備を始めた。

 そして、治療の報告なのかロギアたちの奥さんを呼ぶ様に言われた。俺は彼女たちを呼ぶ為に部屋を出る。


「そういえば、最近2人を見てないな」


 2人の奥さんであるスージーとローラ。仕事としては育児や家事などをして貰っているので屋敷で見る筈なのだがここの所見た記憶が全くなかった。


「彼女たちも体調不良かな?」


 とりあえず、近い所からという事でロギアの家に来た。


「留守?」


 家の鐘を鳴らすも家屋からは物音1つしてくる事は無かった。

 俺は病気で倒れているのかもと思い魔力感知すると本当にいない事が分かった。仕方なくロメオの家へと向かう事にした。

 しかし、彼の家にも奥さんは居なかったのだ。


「ユーリさん。ロメオの家の前で立ち止まってどうかしましたか?」


「あっ、ラズリ」


 何処にいるのかと悩んでいたらラズリがやって来た。その手にはデザートで使うのか果物の入った籠を下げていた。


「ちょっとスージーとローラを探しているのだけど知らない?」


「あ〜〜っ……彼女たちなら屋敷の温泉に入ってます」


「えっ?なんで?」


 あまりにも予想外な場所を告げられてびっくりした。

 屋敷の温泉は自由に使って良い様に開放してはいるが、各自の家に風呂を付けている事もあって住人が使う事はあまり無いのだ。


「その……2人からする匂いがちょっと……。今から風呂を沸かすのは大変だと私が薦めたんです」


「匂いって……? 何か液体でも被ったりしたのか?」


「そうですね。液体です。それを頭から被ったみたいです」


「うわぁ……それは災難だな」


 家事の手伝いでバケツを被った子とかいたからそういう所だろう。なんとも運が悪い事だ。


「しかし、困ったな。それなら出て来るのを待つしかないぞ」


「何かあったんですか?」


「実は……」


 俺はラズリにロギアたちの状況を伝える事にした。すると彼女も何かを察した様だ。


「分かりました。私が呼んできます。ユーリさんは先に戻っておいて下さい」


「良いのか?」


「ええ、お任せを」


 それから数分後、本当にスージーとローラはやって来た。風呂上がり故か妙に熱っぽく火照っていた。


「それじゃあ、秘密の話をするから少し席を外してね」


「えっ? 何故?」


 彼女たちを部屋に案内するとリリィに追い出されてしまった。

 俺はする事も無いので厨房へと行く事にした。


「ラズリ。さっきはサンキューな」


「あっ、ユーリさん」


 厨房に行くとラズリだけがいてシロップ付けの桃を移している所だった。籠の桃を新しく漬ける為だろう。


「後はリリィがなんとかするらしくてね。追い出されたよ。……その桃美味しそうだな」


 シロップでコーティングされた桃は光沢を持っていて美味しそうだった。


「まぁ、仕方ないでしょうね。桃のシロップ漬け、お一つ如何ですか? はい、あ〜ん」


 ラズリはわざわざフォークに刺して差出してくれた。


「マジでありがとう。あ〜ん……パクッ」


「あっ」


 俺の食べ方が悪かったのか、桃の一部がラズリの谷間に落ちる事になった。


「悪ぃ……」


 俺は申し訳無さそうに謝ると彼女は何を思ったのか妙な事を言い出した。


「……………食べて下さい」


「えっ?」


「このまま口で食べて下さい」


「はいぃぃ!?」


 もしそれをしようものなら谷間に顔を埋める必要がある。


「ほら、はやく食べて下さい」


「ちょっ!?」


 結局彼女の手に引かれて顔を埋める事になった。抵抗しようにも離してくれないのでこのまま食べるしかない様だ。


「んんっ……」


 しかし、目が見えないので顔をさらに埋めたり、舌を伸ばしたりする必要がある。


「(あった……もぐもぐ)」


「食べ終わりましたね」


 食べ終わったらラズリは開放してくれた。


「でも、まだ食べ足りませんよね?」


 シロップを指で掬い胸に塗った後舌で舐めるラズリ。その様子はとてもエロく魅惑的だった。


「食べます」


 その後、色々するのは当然の流れだったのだろう。

 しかし、俺はこの時気付くべきだった。エルフの発情期は始まりかけていた事を……。

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