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命を狙われた日

二重投稿になっていたみたいでお手数お掛けしました。

なので、消去した後明日投稿予定だった分を速めました。

 レギアスさんの依頼が終わり再び平穏な日々が戻ってきた今日この頃、俺は前々から練っていた計画を実行した。


「ご主人様と2人で行うデートは本当に久しぶりです」


 それはギンカとの2人っきりのデートだ。


「ギンカは妊娠中の外出を控えてくれたもんね。良く我慢してくれたよ。子供の面倒はフィーネたちが見てくれるから今日は遠慮なく羽目を外そうな」


 頑張った良い子には撫で撫でを。俺がギンカの頭を撫でると彼女は気持ち良さそうに目を細めていた。


「……羽目を外すですか? でしたら、こうしましょう」


 ギンカは撫でていた俺の手を取ると自分の胸元に持っていき挟み込んだ。彼女の柔らかいものが腕越しに伝わってくる。


「恋人以上の者はデートの際に腕を組むと聞きました。非効率だと基本は避けていましたが、今ではむしろやりたいと思います。ダメでしょうか?」


 ギンカは子供を産んでからというもの以前より甘える様になってきた。

 以前の彼女は何処か客観視してる様で我儘など言わなかっただけに甘やかしたくなる。


「良いんじゃないかな? 俺もギンカを近くに感じて最高だよ。今後も続けて欲しいな」


 正直かなり嬉しい。周囲の男性からは恨めしい視線が向けられて来るが全然負ける気がしない。


「なるほど。匂いも嬉しいと言ってますね。でしたら、今後も2人の時は続けます」


 どうやらギンカにも嘘は付けないようだ。というか嬉しいのだから隠す必要はないな。


「ありがとうございます。今後もしてな」


 今後もこの気持ち良さを堪能出来るのなら俺は幸せ者だな。これも今まで頑張ってきた物が返って来たのかもしれない。


「ん?」


「どうした、ギンカ?」


 腕を組んで歩き出したと思ったら数メートルも移動しない内に彼女の足が止まった。


「………」


「ギンカ?」


 彼女は何かを探すように周囲の匂いを嗅いでいた。


「……そこですか」


 何かを見つけたギンカは転移で姿を消した。

 そして、それと同時に聞こえてきたのは周囲の悲鳴だった。


「どっ、退いてくれ〜!馬が突然暴れだしたんだ!」


「暴れ馬だ!皆逃げろ!」


「馬車の前方から離れるんだ!死にたいのか!」


「えっ?」


 悲鳴のした方を見ると馬車が物凄いスピードで向かって来ていた。御者は振り落とされない様に必死で既に止めるのは不可能そうだった。

 しかも馬車と道幅の関係上前にしか進めない様で俺にぶつかるのは時間の問題だろう。


空間制御(エリアコントロール)


 向かってきた馬車を俺は空間魔法で包み込み数センチ浮かせた。馬の足が虚しく空を切っている。


「御者さん。今のうちに宥めて」


「すっ、すまない!助かった!」


 俺は馬が落ち着いたのを確認して地に降ろした。

 それから御者に何が原因かを尋ねた。何故なら馬車の馬は目を隠されており、暴れるなら御者の操作ミスにほかならないからだ。


「そっ、それが分からないんだよ。突然暴れだしたんだ」


「貴方の操作ミスでは?」


「それはない。ここは直線で平坦な道だ。特に操作はしてない。それにこの馬はここに来るまで一度も暴れた事がないほどに大人しいんだよ」


「となると外的要因かな? 何かがぶつかったり揺れたりした?」


「う〜ん、鳥がぶつかる事も大きな石を踏んだ衝撃も無かったからね……」


 御者が言うには本当に心当たりが無い様だ。


「病気の可能性も有るから今日は帰った方が良いかもしれないね」


「ああ、そうするよ。このままだと仕事にもならないしね。大人しく帰って獣医を呼ぶさ」


 そして、御者は馬を直接引きながら帰っていった。


「ご主人様」


「あっ、お帰りギンカ。何処に行ってたの?」


「少し野暮用で……それより何か有りましたか?」


「そうだ。聞いてよ、ギンカ。いきない馬車が突撃して来たんだよ。それで魔法が使えなかったら轢かれてる所だったんだ」


「……すみません。私が離れたばかりに」


 ギンカは離れている間に問題が起こってしまい落ち込んでいるようだ。俺は彼女を元気付ける為に笑いながら誘う。


「何気にすることはないさ。誰だって運が悪い時は有るからね。仕方ないよ。それよりデートを再開しよう」


「はい」


 再びギンカの感触を堪能しながらデートを再開した。


「次は確実に狩ってみせますから……」


 何やら物騒な言葉が彼女から聞こえて来たが、俺には意味が分からないので流す事にした。

 後々思えばこの時に聞いておけば周りに被害が出なかったのでは無いかと思う。


「今日は厄日か何かかな?」


「………(ギリッ)」


 馬車に轢かれそうになってからというもの色々な不幸が起こった。

 例えば頭上に植木鉢が落ちて来たり、武器屋の前で暴発した弓矢が飛んで来たり、果てはならず者の集団に絡まれた。

 そのせいもあってか、隣のギンカは歯ぎしりするくらいに機嫌が悪くなっていた。


「なぁ、ギンカ。今日は帰って違う日にするか?」


「…………………そうですね」


 ギンカは凄く悩みながらも次回楽しむ事にした様だ。


「ギンカの同意も得られたし今回は素直に帰って平穏なる小世界(イレーネコスモス)で過ごそうよ。美味しい物沢山作ってあげるね」


「楽しみにしてます」


 美味しい物と聞いて少しは機嫌が治った様だ。


「あっ、そうだ。……ご主人様。少しお願いが有ります。少々私の我儘に付き合ってくれませんか?」


「ん? 別に良いけど……?」


 どうやらギンカには帰る前にしたい事がある様だ。俺はそのお願いを快く引き受けるのだった。






 首都ペンドラゴンの商業区画には細い路地が数多くあり、さながら小さな迷路の様相を呈している。


「……なぁ、ギンカ。わざわざここで転移門を開く必要が有るのか?」


 ここは路地の裏の裏。人があまり来ず悪人の密談場所としては最適なのではと思う。そんな場所にギンカは転移門を作ることをお願いしてきた。


「理由は後で説明します。門を潜ったら引き続きお願い出来ますか?」


「良いけど……」


 ギンカのお願いには続きがあった。

 俺たちが転移門を潜った後、門の前に一見では分からない落とし穴を仕掛けて欲しいというものだった。

 俺は空間魔法を使い空間を入れ替える。その結果数メートルもの深さがある落とし穴が完成した。

 しかも空間を入れ替えただけなので見た目は普通の地面ときている。


「完成したよ」


「でしたらゆっくり離れましょう。結果は直ぐに出ますので」


「それは一体どういう……」


「きゃああーーっ!?」


「嘘ぉおおーーっ!?」


「落ちるぅううーーっ!?」


「えっ?」


 ギンカに腕を引かれて少し離れた瞬間、落とし穴が起動した。

 そして、聞こえてくるのは罠にかかった獲物の悲鳴。


「3人でしたか。道理で翻弄された訳です」


 穴を覗き込むとそこには小人族の少女たちの姿があった。

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