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レギアスの頼み

ユーリが裏で何をやっていたかの回を2回に分けて行います。


 エルフの発情期の対策をしつつ、出産間近のガーネットたちとイチャイチャする日々。そんな中レギアスさんから手紙が送られて来た。

 手紙の内容は個人的に依頼を受けて欲しいというもの。

 俺はレギアスさんの事を気に入ってるし、力に成りたいと思ったので宰相室を訪れる事にした。

 いつも通りノックして入るとあちらこちらの机に書類の山が相変わらず出来ていた。その量はギルさんや睦月さんの所よりも多く、カリスさんの所ですら及ばない。それだけに国の運営というのは大変なのだろう。


 ガイアスの爺さんが逃げたくなるのも分かるな。


「すまない、ユーリ君。呼び出してしまって」


 書類の山から声がした。部屋にいる秘書官たちに目を向けると頷いた。どうやらレギアスさんはこの山の向こう側にいるらしい。


「相変わらずの仕事量ですね、レギアスさん」


「見た目程じゃないよ。殆どが事後報告だから目を通して承認のサインを入れるだけさ」


「一応聞きますけどこの量は何日分で?」


「今日中に仕上げないといけない分だよ」


 正気を疑うレベルの仕事量だわ。


「なぁ〜に、君が作ってくれたマジックアイテムに後で籠もる予定だから大丈夫さ」


「愛用して貰えてる様で嬉しいです」


「それにここの半分はあの馬鹿の仕事だからね」


 顔が見えないが、青筋浮かべてキレてる気がする。

 というか、ガイアス爺さんはまた逃げたのか?


「依頼ってガイアス爺さんを捕まえる事ですか?」


 手紙には依頼の内容自体は書かれていなかった。

 しかし、個人的というからにはそういう案件の気がする。


「それは大丈夫。アイツの仕事が回ってきてるのは竜王の仕事で留守にしてるからだ。とある小国同士の停戦交渉に第三国として呼ばれていてね。協定に合意させるまで帰って来れないんだよ」


 停戦交渉からという事は相当長引くな。

 ……でも、おかしくない? ガイアス爺さんは昨日お昼ご飯食べにうちへ来てたけど?

 一応竜体で来てたから仕事はしてるみたいだが……?

 レギアスさんの精神衛生上の為にも伝えるのは止めておこう。


「レギアスさん。手伝えることがあったら言って下さい。極力引き受けますから」


「すまない。助かるよ。それで依頼なんだが……」


 レギアスさんの依頼は、ドラグナード学院への潜入調査らしい。

 なんでも卒業生からの内部告発で判明した国営機関へのコネ入社。これに絡む賄賂や売春といった悪事が判明しているので対象者を調べて粛清して欲しいとのこと。


「ドラグナード学院っていうと竜王国随一の学校じゃないですか!」


 以前イナホたちの学校選びでパンフレットを貰った事が有りそこそこ学院の事は知っている。

 授業は魔法寄りという事はなく幅広い分野を取り扱っていた。特に商業関連には力を入れていた節がある。

 そして、規則などから竜種が人として暮らす為の経験を積む場所といった印象を受けた。その為魔法を要所に仕掛けられているのも知っている。


「この調査だと生徒の場合動き辛いですね……」


 時期の関係もあって転校生だと目立つだろう。

 しかも、生徒で入った場合は授業で拘束されるので、その間に行われようものなら手の出しようが無い。


「そこは大丈夫。学院は国の運営機関の1つでね。採用もこちらで多少融通を効かせる事が出来るんだよ。

 今回はその権限を利用して臨時の用務員として赴いてもらう。元々用務員を増やしてくれとの嘆願が来ていたから怪しまれる事も無いだろう」


「なるほど。それなら構内を自由に動き回っても清掃と言い訳が出来そうですね。それじゃあ、後はメンバーの選定だ」


 俺はなんだかんだで顔バレしているので遠慮した方が良さそうだ。

 行かせるなら目立たない子が良いよな?

 その上実力もあってセクハラもされない人。男性だな。


「うちの男性陣たちに話を聞いてリストアップさせるので後程お持ちしますね」


「いや、それなんだが……ユーリ君。君に行って欲しい」


「えっ? 俺は顔バレする可能性が高いですよ?」


「分かってる。だが、対象者たちの一部は貴族出の者が入っているだろう。そんな者たちが罰とはいえ下の者にやられると後々騒ぎに成りかねん。全く困ったものだ」


「ああ、なるほど。俺なら身分的には問題ない訳ですね。もし騒げば更に叩く要因にも出来るし」


「そういう事だ。何とかならないかい?」


「まぁ、手立ては無くはないです」


 精霊魔法を使った誤認識なら感知し辛いしバレ難いだろう。

 また、顔バレしてはいるけれど服装の方が目立ってるから何とかなるかもしれない。


「それじゃあ、日程が決まったら教えて下さい。それまでに準備しておきます」


「ああ、頼みます」


 そういう訳でレギアスさんの依頼を受けた俺は早速家に帰り準備を行った。

 まずは、コートを脱いで髪型を変えて……女性陣にメイクをして貰った。


「お嬢さんたちや。誰がユウ子ちゃんモードにしてって言ったかな?」


 説明しよう!

 ユウ子ちゃんとは、俺の女装した時の状態である。


「えっ、違うのっ!?」


「違うよ!?」


「えっ、でも学校に侵入するから変装しないとバレるって言いましたよね? だからてっきり女装して侵入するのかと……」


「男として侵入するの! 説明を思い出して!?」


「用務員として入り込んで調査。……女性の方が聞き出し易いよ?」


「女装してハニートラップをやりたくないよ!!」


 誰が好き好んで野郎なんぞを誘惑せねばならん。


「でも、ユーリの女装ならねぇ……?」


「上手く行くと思うのですが……?」


「私も保障するよ! ユウ子ちゃんは美少女だよ! 一度で二度美味しいしユウ子ちゃん最高!!」


 エロースから美少女認定貰ったよ……。

 そして、彼女の後ろで洋服を用意してる子達は何かな?

 俺に後で着ろって言いそうな気がする。


「それじゃあ、目を少しツリ目っぽく見せて、ホクロも位置を変更して……」


「ついでに眼鏡も掛けようよ。それだけで印象が変わるしさ」


 数分後、俺に似てるようで似てない人物が完成した。

 実験として敷地内の悪魔族やエルフ族とあって来たが直ぐには分からなかったので外でも大丈夫だろう。

 ただ、何故か子供たちには速攻バレた。理由を聞いてみると。


「お兄ちゃんの雰囲気!」


 俺には良く分からなかった。

 しかし、それを聞いた嫁たちは納得しているようだった。


「子供はそういうのに敏感だからね。直ぐに分かるんだよ」


「それにそこは隠しようが有りませんからね」


「触れ合う相手は子供なんだが……」


 調査対象者は教職員だが、身近に居るのは生徒たちの方が断然多くなる。


「まぁ、うちの子たちみたいに親身な子でないと分からないので大丈夫ですよ」


「マズそうなら私が体型変えて行くから大丈夫だって!」


「そうだな。バレそうになったら頼むよ」


 こうして俺はドラグナード学院へ侵入する準備が整った。

国営機関という事も有り、身内の恥の為正式な依頼として発行出来ないので個人的に依頼した形になってます。

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