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ディープワン

「はい、これで良いでしょ!」


「うん。ありがとう♪」


 リリィはニコニコしながら瓶を受け取り大事そうに抱き締めた。


「それじゃあ、真面目に受けてくれるのよね?」


「大丈夫よ。私はしないけど、ユーリ君が頑張ってくれるわ」


「まぁ、元々受ける気だったけどリリィは手伝わないのな」


「その代わり、しっかりと満足するまでご奉仕するから許してね♪」


 そう言って、すり寄って来ては腕を胸に挟むリリィ。


「くっ、誤魔化されない……っ!」


 いつもこんな感じで彼女は仕事を投げてくるが、今日こそ一緒にクエストを受けて貰う!

 一応、ちゃんと埋め合わせはして貰っている。

 しかし、このままではご奉仕さえすれば何でも話を聞いてくれる旦那だと思われかねない。

 でも、男を手玉に取る事に関してはリリィが一枚上手だ。彼女は俺の耳元で囁いた。


「お外プレイ……岩場……競泳水着……ロリスク水になってあげるのも有りよ」


「やるしかないな!」


 男ですから誘惑に弱いです。

 しかも、言ったことを実践してくれるから正直になるです。


「……何を言ったの貴方?凄いヤル気を出してるだけど」


 アウラは俺たちのやり取りが気になった様だ。

 まぁ、ヤル気の無かった奴が突然ヤル気を出したら気になるのは当然だよな。


「うん? ああ、自分の旦那に幼くなってプレイしようって言っただけよ」


「ぶっ!?」


 リリィに暴露されて吹いてしまった。

 不味い!急いでフォローしないと!世間はロリコンに冷たいんだ!


「……幼い?はっ、そういえば嫁と紹介された子達も幼い子が多いわ!まさか、ロリコンなの!?」


「違う!いや、違わないけど違う!」


 確かにマリーやミズキとすると背徳感がヤバくて病みつきになってしまうのは仕方ない。

 でも、俺はおっぱいも大好きだ。あの包まれる感覚が最高なのだ。


「だから、私を報酬にしても嫌がったのね……」


 アウラは自分の身体を抱きしめながらケダモノを見るような目で見てくる。


「ユーリ君はロリコンじゃ無いわよ。だって、おっぱいも大好きだもの。フィーネちゃんのミルクも毎日飲んでるものね」


「言い方っ!」


 毎朝飲んでるから事実だけど、今言わなくても良いんじゃないかな!?


「それにしても懐かしいわね。昔、私もそんな事言ったわね。一回拒否られたけど」


「えっ、そうなの?」


「そうよ。ユーリ君って、女性には優しいけどそういう所はちゃんとしてるから拒否するのよね」


「少しは良心が残ってるようね……」


「良心は元から残ってるよ」


「良心が有るなら嫁は1人だけだと思います」


「ぐふっ!?」


 全く言い返せる気がしない。

 この子、弄られキャラだと思ったが毒舌キャラなのだろうか?


「それで本題のクエストだけど……」


「分かってるよ。深きもの(ディープワン)の群れを狩るんだろ?」


 アウラが依頼した内容は、増えたディープワンの討伐。

 ディープワンは、魔魚として生まれ成長するに従ってオタマジャクシに手足が生える様な感じでディープワンへと進化するのだそうだ。だから、分類としては亜人ではなく魔物になる。

 さらに、生まれが魔魚なだけあって多数産まれるのだ。一匹が10体くらい産むのがザラだそうだ。


「本来なら定期的に見回って直ぐに狩るのだけど……」


 魔魚の卵は直ぐに孵化する。だから、ディープワンを見付け次第狩るのだそうだ。

 しかし、アウラが行方不明になった事で見回りよりも捜索を優先した。

 その結果、ディープワンの産卵を許し大量の魔魚が孵化した。直ぐに魔魚を狩ったが多過ぎて狩りきれずディープワンが増える事になった。

 実家に帰れてそれを知ったアウラは罪悪感から自分で何とかする事を決めた。

 そこで考えた結果、自分を救った者たちのリーダーを人魚の秘術である魅了を使って操り戦わせるつもりだったのだ。


「起こったことは仕方ないさ。大事なのはその後の対処だよ」


「それで今はどうなってるの?」


 リリィの質問を受けて先程から静かになっているアイリスに問いかけた。


「アイリス。群れを見付けた?」


「………うん。やっと捕獲した」


「えっ?」


 アウラは意味が分からないって顔をしている。


「実はアイリスの眷属を使って罠を張ってたのさ。海だと戦い辛いから陸に上げるためのね」


 何を隠そうちゃんと遊びながら働いていたのだ。むしろ俺たちはエサだとも言える。

 この浜辺はディープワンのせいで水泳禁止になっている。水辺で騒ぐと魔魚やディープワンに気付かれてピラニアの様に来るそうだ。水飛沫が上がる程のダイブなら尚更反応するよな。

 重要なのでしっかりと言うが、嫁が危険に晒されないようにちゃんと処置したからな。放り込む前と後には感知、海水にいる間は障壁を纏わせた。

 だから、海水に放り込んだ子達もあまり怒らなかったのだ。本気で怒ったら魔法が飛んで来るからなマジで。


「ユーリ。何時でもイケるよ」


「皆〜、凍結弾を準備して〜!」


『は〜い!』


 遊んでいた手を止めて、皆が魔法銃を構えた。それを見てアイリスがディープワンたちを引き上げる。


「それじゃあ、陸に上げるね!」


 そう言うと海面が盛り上がり、煮凝りの様なキューブが浮き上がった。

 中にはディープワンや魔魚たちが詰め込まれており、壁を叩いたり噛みついたりして外へ出ようと試みていた。結局、陸に運ばれるまで破れることは無かった。


「私のスライムで作った粘液結界。水中よりも動き辛いと思うよ」


「それじゃ、殺るか。撃て〜〜」


 皆が放つ凍結弾を受けてキューブは真っ白に凍結した。キューブの内部で動く者はいない。


「はい。終了。心配なら跡形も無く消すけどどうする?」


「えっ?え〜っと、お願いします」


「ほいよ。轟雷閃(トールハンマー)!」


 マリーが昔使った技だ。雷の円柱が上空から降り注ぎキューブを飲み込む。

 彼女程の威力は出ないが……というか出さないが、消し炭にするには十分だったらしくディープワンたちは跡形も無くなった。


「はい。これで一通り終了。今のでかなり仕留めたけどもっと減らしたいなら人魚族たちで誘導してくれないかな?」


「……ちょっと聞いてみる」


 アウラはフラフラしながら去って行き、数分後には多くの人魚族を連れてきた。

 そして、先程と同じアイリスのトラップへ誘導して狩りを行った。


「以上かな?」


「……うん。ありがとう」


 依頼人の許可も降りて無事にクエストをやり遂げたのだった。

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