海水浴に行く
今日の分が遅くなり、ごめんなさい。
そして、連絡です。明日の分は夕方くらいになると思います。
青い空、真っ白な砂浜、照り付ける夏の太陽。
「「う〜み〜だぁ〜〜!!」」
俺とアイリスは全力で砂浜を駆けて海にダイブした。盛大に巻き起こった水飛沫が俺たちの勢いを物語っている。
「ユーリさ〜ん、アイリス〜。2人とも気を付けて下さいねぇ〜」
「荷物は任せて下さい」
「しっかりと見ておきます」
「ユーリさん。私は砂で遊んでいますのでお気になさらずに……」
「イナホちゃん。大っきなお城作ろうね」
「道具は用意しておいたのです。作ったら写真に撮って貰うです!」
「「………」」
凄く虚しい。俺とアイリスの後には誰も続いてくれなかった。それどころか誰も海に入ろうとしない。なので、速攻陸に戻ってきた。
「エロースやギンカを連れて来れたら良かったんだが……」
ノリが良い彼女たちなら参加してくれたと思う。
「ギンカは妊婦だからダメだとして、エロースはどうしたの?」
「皆の水着姿を妄想した結果貧血で寝込んだ。現在、ベットで養生中」
「残念だったね。でも、来てても一緒か。倒れるだろうし」
「確かに」
目の前に広がるのは、この世の楽園。生足で魅惑な少女たちが彩りと水着に身を包み佇んでいる。
後で写真を撮って保存しておこう。エロースへのプレゼント兼俺の宝物として。
「お〜い、皆は入らないのか?」
俺は、素直に聞いてみることにした。
「海水でベタつくのでちょっと……」
「本気で嫌いかと言われればそうじゃないです。でも、大きな湖に行けるのにわざわざ海というのは……」
などなどと理由を付けてはいるが、要約すると嫌いではないがそこまで好き好んで入る気がしないという事らしい。
「アイリス……」
「分かってる」
流石は嫁の中の嫁。目を合わせただけで俺の気持ちが以心伝心したらしい。
俺らは邪悪な笑みを浮かべ皆の元へと駆け出した。
「えっ? アイリス!?」
「ゆっ、ユーリさん!?」
まずは最も近い人を捕まえた。アイリスはマリーを俺はリリスを捕まえる事になった。
「「せいっ!!」」
「「えっ………きゃあ!?」」
そして、彼女たちを海に投げるのだった。お姫様抱っこで投げたので投げ辛かったが結構飛ばせた。
彼女たちの悲鳴が俺たちの行動に拍車をかけた。
「さて、次は……」
「どの娘かな?」
俺とアイリスはユラユラと揺れながら皆を見詰めて………。
「「………」」
『………』
無言で走り出した。
『きたぁああーー!』
「ほれ、1人〜、2人〜……」
「3人〜、4人〜……」
次々に捕まえては海へ放り込む。一応、投げる時は人にぶつからない様に気を付けて投げることにした。
『怒りました!』
「「あはははっ♪」」
そして、俺たちは海辺を走って嫁たちから逃げる。それを少し怒っているが笑顔で追う嫁さんたち。まるで、青春の1ページの様な光景だった。
「いや、何を楽しんでるのよ!ここに来た目的を忘れたの!?」
そう言って追い駆けっこを楽しんでいた俺たちを呼び止めたのは白いワンピースを着た少女だった。
「「誰?」」
「素で返されたのだわ!? 貴方への依頼主よ!」
「あぁ、思い出した!人魚族アウト!」
「ダメ出し!? アウラよアウラ!!」
「そういえば、そんな名前だっけ?」
「私も思い出したよ! イドラで助けてから空気になってた娘でしょ」
「そうだけど言い方っ! というか、貴方たち私に冷た過ぎない!?」
「いやだって、俺に魅了の魔法を掛けようとした人だし……」
「信用してないもん」
「事実だけど……少しくらい信用してくれても良いじゃない」
アウラは、落ち込み地面にしゃがみ込むとのの字を描き始めた。少し弄り過ぎたかもしれない。
「冗談はこれくらいでクエストの事だろ?」
「そうよ!深き者はどうなったのよ!」
俺はアウラからディープワンの群れを狩るクエストを受けている。
このクエストは彼女が俺を魅了してまで受けさせたかったクエストだ。その理由と言うのも先のイドラ騒動で俺たちの力を目の当たりしたからだ。
「いや、そもそもの話だ。報酬に問題がある」
「何でよ!?」
「世界的に人身売買が禁止なのに報酬で自分を出すってどうなのよ?」
前にも似たことがあったが、本当に女を差し出せば願いを聞いてくれるとでも思われているのだろうか?
これは、本格的に調査しないとマズい気がする。
「何が不満なの!人魚よ人魚!それが手に入るのなら人生掛ける人も居るんだがらね!」
「まぁ、性格も弄り易いし容姿も悪くないが……」
アウラを他の嫁たちと見比べると特徴という特徴がなく、至って平凡な事が分かる。
せめて、水の抵抗を無くす為だから貧乳とか、多産らしいからその為の巨乳だとかみたいな特徴が欲しい所だ。
「なら、彼女から人魚の雫を貰えば良いんじゃないかしら?」
「……リリィ。いつ来たの?」
いつの間にか海に来てなかった筈のリリィがそこには居た。
「人魚族と知り合いになったって聞いたから直ぐに家へ帰ったの。そしたらここへ向かおうとするエロースちゃんに会って、ここまで運んで貰ったのよ」
「それで肝心のエロースは?」
リリィの側や周囲、遊んでる子達をぱっと見渡したがエロースの姿は見えない。
「よく見て。あそこよ」
リリィが指差す方を見ると案の定血溜まりを発見した。そこに沈むのは、翼を仕舞い際どい水着を身に着けたエロースだった。
というか、あの水着着てくれたんだな。これは俺が渡したものだな。
俺が欲望の限りを詰め込んで作った一品。色々な所に細工が有り、色々使える。色々ね……。
「それより人魚の雫? 初めて聞くんだけど?」
「治療用のポーション作成で材料に使われるのよ」
薬師の知識はタナトス様に貰ったから多いけどが初めて聞く話だった。
でも、日本では八百比丘尼の話があるから彼女たちの何かしらに回復効果があってもおかしくない。
「人魚の雫!?」
アウラは雫と聞いて顔を真っ赤にしている。どうやら恥ずかしい事らしい。
「雫か………」
アイリスの雫は他人に見せられないものだし、彼女もそうなのかもしれない。
「はい、コレがビンよ」
「ちょっ、リリィ!?」
まさか、リリィはここでやらせるつもりなのだろうか?
見たい反面、止めるべきかと悩んでしまう。いや、止めるべきだな。
「くっ……分かったわ!出せば良いのね!」
「良いの!?」
「その代わり、ちゃんとクエストは解決してよね!」
アウラはリリィからビンを受け取った。
「はわわわ……」
直ぐに手で自分の顔を隠すが見たい気持ちが勝り指を開いてしまった。俺の目には、つーーっと流れる透明な液体が映った。
「…………」
「…………」
それは、彼女の唾液だった。
エロいっちゃエロいけど、見たいのはそれではないよ!
俺は開き直ってガン見する事に決めた。その結果、ビンに溜め終わった彼女と気不味くなるのは当然の結末だろう。




