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セレナの焦りと新たなるクエスト

 私は、今凄く焦っている。それというのも周りが次々に結婚して行った為だ。


 絶対に結婚出来なさそうなカトレア。


 彼女は、副ギルドマスターのビルさんというエリートをゲット。その後、妊娠までしている。


 そして、結婚どころか恋愛にすら興味の無かったシオン。


 前々から私たちが懇意にしているユーリ君の所に妹と一緒に嫁いでしまった。


 最初は、妹の代わりなのかと思ったけれど……。


「ユーリ。昨日、シシネと2人っきりで……したでしょ?」


「えっ? うっ、うん。シシネと買い物に行った帰りに流れで」


「双子だから色々伝わって来た。だから、責任取って」


「それって……」


「しっ、シシネにしたのと同じ事を私にもして!」


 顔を真っ赤にして恥ずかしそうに淡々と言うシオン。


 ベタ惚れやん! 一体、何があってそこまで行ったのよ!!


 そして、2人は去って行った。


 それから数時間。


 一向に帰って来ないシオンを心配して平穏なる小世界(イレーネコスモス)に向かった。


 ここは、ユーリ君が作ったマジックアイテムの中で、外の3分の1程の時間差がある。


 その為、シオンは中で1日くらい過ごした事になっているだろう。


「んっ…………」


 案の定、近くの建物に移動すると設置されたベットの上にシオンだけが裸で寝ていた。


 どうやら、ユーリ君とは入れ違いになったみたいだ。


「あん……そこは……意地悪」


 寝言に混じる喘ぎ声がエロさを醸し出す。


 私は、自分の知るシオンとのギャップに困惑するしかないのだった。


「ダメ……壊れちゃう……もうイキたくない」


「どっ、どんだけ激しいの……?」


 たまに、身体がビクビクと反応するシオン。どうやら、夢でも続きをしている様だった。


「………」


 これこそが、私がユーリ君を誘惑するのを躊躇する理由だ。


 お嫁さんの誰に聞いても、話をはぐらかされて教えてくれない。


 そして、悟った様な目をしている。


 しかも、内緒で行為後の部屋を覗いたが、あんな光景は異常だと思う程の物を見る事になった。


「はぁ……でも、はやく結婚したいのよね」


 年齢的には、凄く遅れているのを自覚している。だから、プロポーションにだけは気を使う様にしてきた。


 それもあってか、中々のスタイルを維持している自信がある。


 だが、それ目当てで寄ってくる男の質が悪いこと悪いこと。


 冒険者を止めて真剣に探せば見つから無くは無いだろうけど、冒険者を止めて主婦になる気は更々ない。


 それと言うのもこの磨いてきた剣技にある。


 私は、幼少から魔法を使うのがとても苦手だった。それというのも魔力を変換する感覚がよく分からないのだ。


 しかし、そんな私にも得意な事があった。それが武器の魔力補助だった。


 そんな訳で、ここからは語ると長くなるほどの事が色々有り、今の剣一筋となったのだ。


「そろそろ起こすか。ほら、シオン。起きて」


 私は、シオンを揺さぶり叩き起こす。


「うぅ………セレナ、おはよう」


「おはよう、シオン。随分お楽しみだったようね? 夢でまでするくらいだし」


「〜〜〜〜っ!?」


 シーツを手繰り寄せて、シオンは顔を隠した。


「私も有りのままを受け入れてくれる人に出会いたいものね。何処かにいないかしら?」


「ユーリ」


「でも、それは……」


「セレナが告白すれば大丈夫。むしろ皆に喜ばれる。最近、前にも増して………なんでもない」


「何か有るの!?」


「大丈夫。悪いことじゃない」


「悪く無くても気になるんだけど……」


 何が増しているのか次第で、私の出方が変わってくる。


「とりあえず、セレナのおっぱいで誘惑すればイチコロ」 


「本気の時に、おっぱいだけで誘惑するのはちょっとね」


「そのおっぱいは飾りか? ここで使わずいつ使う?」


「クエストの聞き込みとかで使ってるわよね? まぁ、私もユーリ君は嫌いじゃないし、最悪はお願いしようかな。それより服を着たら?」


「ベタベタするから温泉入ってからにする」


「なら、私は先に帰っておくわね」


 そう言って私はシオンを置いて外に向かった。


「そもそも、ユーリ君と寝るにはきっかけがねぇ……」


 出会った時から結構経っているので、今更アピールするのが恥ずかしい。


 だから、きっかけでも無ければ進む事は無いだろう。


「セレナか。丁度良い所に来た。君たちも参加してくれ」


「ギルさん!」


 外に出るとギルドマスターのギルフォードさんに出くわした。


「何か、緊急の用ですか?」


「緊急では無いが、あるダンジョンをユーリたちと攻略して欲しい」


「きっかけ、キター!!」


 何というタイミングだろう。これは、ユーリ君と親密になるチャンスでは無かろうか?


「ん? とりあえず、話すから君も来てくれ」


「了解です!」


 ユーリ君とのわくわく、ダンジョンのわくわく。


 2つのわくわくを抱えて、私はギルさんの後について行った。







「それでは、いつも通り説明させて貰う」


 恒例となったクエストの説明は、資料の多い図書館で行われる。


「まず、始めに皆へ質問がある。君たちは、大陸がいくつか知ってるか?」


『?』


「えっ、4つじゃないの?」 


 ギルド総会の時も四大陸の派閥に分かれていた。


「5つです。中央に1つ有ります」


『えっ!?』


 マリーの言葉に俺たちは耳を疑った。だって、中央の存在は初めて聞く事だったからだ。


「マリーの話が正解だ」 


「マジで? 初めて聞くんだけど」


 周囲を見渡すとマリー以外の皆が頷いていた。


「それは当然だ。王族ですら知らない者がいる程だ。それだけ秘匿された地域だと思ってくれ」


「つまり、それを言うって事は……?」


「あぁ、そこの調査をして欲しい。可能なら前回発見されたダンジョンも可能な限り探索して欲しい」


 ギルさんは、テーブルにそこで発見された魔物の資料を広げた。


「どれも、AからSの危険な物ばかりだ。十分に考慮し、メンバーを選出してくれ」


「分かりました。移動はどうします?」


「大型の船を複数用意した。距離があるから送って行きたいが、竜種は近寄る事が出来ない」


「それならマリーは……」


「行けませんね。話が出た時から覚悟してました」


「悪い。マリーには我慢して貰うしか無い」


 ギルさんがマリーに謝罪した。


「竜種が近寄れないって、どういう事ですか?」


「大戦の影響……かな? 詳しくはよく分かっていない。危険性が高い為、調査も上手く行って無いんだ」


 これは、メンバーを真剣に選んだ方が良さそうだ。


「不味いわね。うちはカトレアがいないわ」


「こっちはマリーとギンカが駄目だな」


 正直、火力と探知を失うのは痛手としか言えない。


「安心してくれ。その為に、君たちが懇意にしているSランクチームも同行する予定だ」


 少しでも戦力を増やそうというギルさんの配慮だろう。


「こっちのメンバーは、明日報告します」


「頼んだぞ。他のSランクチームが来たら出発だ。それまでは英気を養ってくれ」


 そう言うとギルさんは急いでギルドに帰って行った。


 なら、俺も行動しよう。まず、始めにする事は決まっている。


「マリー。今日の予定は?」


 一時会えない嫁たちとイチャイチャする事だ。


 ギルさんも英気をって言ったし、とりあえずしてからメンバーは考えよう。


「空いてますよ」


 さて、俺の本気を見せてやる! 全員、かかって来いやぁ!!


 その後、俺は力尽き、クエスト当日まで動けなくなるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] セレナの焦りと新たなるクエスト ↑ 回収イベント早ぇな!w 今度は忘れない内にとっとと回収しとこうって事なのかな? (・∀・)ニヤニヤ 提案だけど、この際だから登場人物一覧へ、妻子一覧を別…
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