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色々気にしてみた

 ブラウニーの存在が公になってからよく見る光景がある。


「ねぇ、次はこれを着て!」


「いや、こっちでしょ?」


「こっちも良くない?」


「そんな!私みたいなのに新品の服は勿体無いです!」


 テーブルに並べられた色取り取りの衣装とそれを着せ替え人形の様に次々着せられるブラウニーの光景だ。


「いやいや、着せるならこれだろ?」


 白いレースのワンピースを用意した。ミズキに似合ったから彼女にもきっと良く似合うと思ったのだ。


「ご主人様もですか!?」


「おうよ。大事にしてな」


 彼女は俺の知るブラウニーと違い服をあげても居なくなったりはしないらしい。

 だから、彼女専用に刺繍を入れたりと時間を掛けて立派な物も作ってあげた。


「しかし、改めて見るとほんとミズキに良く似てるよな」


「あっ、それには理由が……」


 どうやら、ブラウニーにはミズキと似ているという理由に心当たりがある様だ。


「出来れば教えてくれないか?」


 そして、彼女から返ってきたのは意外な言葉だった。


「それは、私たちの血がミズキさんの家系に色濃く残っているからかと?」 


「ミズキの家に?」


 嫁兼メイドのイメージが強いがミズキは元々は亡国コーネリアの姫だった。

 だから、特別な血が混じっていてもおかしくないが……精霊の血だと?


「そういえば、ミズキの親族も同じ色だったのか?」


「親族ですか? はい、そうです。王族に近い者ほどこの髪の色が色濃く出ていました。それが理由でブラウンって姓になったくらいですからね」


「でも、精霊との子供は原則エルフじゃないのか?」


 水と風、それから木からはエルフ族が生まれるのは把握している。更に、火がサラマンダー族を生み出すのも知っている。


「そっ、それは……選べます」


『えっ?』


 種族って選べるの? そんな、ゲームとかじゃあるまいし……?


「魂をかけ合わせる時の分量次第で、小人族(ハーフリンク)かドワーフ族かを選択出来るんです」


「え〜っと、つまりは……」


 この世界では、小人族とドワーフ族って近種族なのか!?

 よくエルフとサキュバスが一緒みたいな都市伝説が有るがこちらは真実の様だ。

 確かに2つの種族には共通する点も少なくはない。低身長に手先の器用さ等がいい例だろう。


「しっ、知らなかった……」


 ちゃっかり聞いていたエリスがビックリしていた。


「てっきり、ドワーフだけなのかと思ってた。私以外の精霊でも種族の選択出来たのね」


「そっちの方も初耳なんですが!? ハイエルフじゃないの!?」


 俺の記憶が確かならエリスは自分が産んだハイエルフを捧げるとか言ってましたよね?


「それは、陸上で出産する時の話よ」


「陸上でって他で出産すること有るのか?」


「有るわよ。水中。私は、水の精霊だもん」


「そういえば、よく忘れるが出逢ったのは水中の家だったな」


 なので、水中で出産する場合の種族を聞いてみた。


「ちなみにその種族は?」


「マーフォーク」


「あっ、だからか! 彼らが肺呼吸なのは!!」


 俺はエリスの言葉を聞いて納得がいった。

 以前、和国に行った時にマーフォークの家を見せて貰った。物語みたいに水中だと思っていたら水辺の側に建てられた普通の家だったのだ。

 しかも、彼らにはエラなどは無く水中での活動に制限があった。まぁ、制限があるとはいえ水中で20分間泳ぎ続けれるのは凄いと思った。ちなみに潜水なら1時間も潜り続けれるとは驚愕でしかない。

 種族を生き物で例えるならクジラだね。おそらくアレが一番近い気がする。


「これは、他の精霊も同じなのか……?」


 今度聞いてみようと思う。とりあえず、今はブラウニーの着せ替えを楽しもう。

 一応否定するが堂々とブラウニーの着替えをみたいとかじゃないよ。マジでないよ。

 それから1時間程、ブラウニーで遊んで俺は満足した。恥ずかしがる女の子という可愛いものを見て目の保養にもなった。

 その後、妖精の箱庭(フェアリーガーデン)を見回る事にした。理由は、彼女の様に気付いていない事が他にもある気がしたのだ。


「とは言ってもなぁ〜……」


 改めて探すにしても目新しい物などない。

 とりあえず、いつもの石段に座り視界に入る悪魔族やエルフ族たちの家を見た。


「増えたな」


 2度の移住により住居の数もかなり増えた。

 昔は里の認識だったが今では村の認識で問題無いほど家の数。それに伴って敷地も随分と広くなったものだ。

 でも、これでまだ改装中だったりするのだ。

 例えば足下にある石畳だ。これは、移住してきたエルフたちが敷き始めたのだ。

 なんでも、農業以外でも役に立ちたいとの事だったので任せてみた。


「魔法で敷いても良いんだけど……」


 空間魔法を使えば一瞬で敷けなくないが、彼女たちの努力を無駄にしたくないので丸投げしよう。


「あっ、ユーリお兄ちゃんだ!」


「本当だ!」


 屋敷の扉が開くと悪魔族の子供たちが出て来た。おそらく、今日の授業が終わったのだろう。


「おう、授業終わりか?」


『うん!』


「お兄ちゃんは何してるの?」


「う〜ん、暇潰し?」


 変わった所を探すと言っても、実際は暇潰しなのと代わりがない。


「なら、遊ぼう!」


 エリーが丸い玉を抱えて来た。


「良いよ。そのボールで遊ぶのか? でも、羽根が散りそうだな」


 エリーの持つボールは、よく見ると表面を羽毛が覆っていた。


「ボール? これはボールじゃないよ」


「えっ、そうなのか?」


「ほら、よく見てよ」


「何それ!?」


 エリーがボールの向きを変えて見せてくれた。

 そして、そのボールの正体を知ることになった。


「何って、フェイ君だよ」


「俺の知るフェイ君、違う!?」


 エリーが言うフェイ君とは、彼女にプレゼントした雛型の魔物だ。

 胸ポケットに入るサイズの物をエンキ騒ぎの時に買った。

 しかし、目の前に居るのはバレーボールサイズにまで成長したフェイ君らしい。


「これは、マジで見回った方がいい気がする」


 俺の知らない間に一体何をしたらこんなになるのだろう?

 不思議に思いながらも遊ぶのを断って素直に見回りする事にした。

 その結果、果樹園で知らないドライアドが2人増えているくらいの変化しか無かったよ。


 ………………いつ増えたの?


 俺は、彼女たちを統括しているダフネに聞いた。

 住み着いたのは、先週の話なのだとか。


「次からはちゃんと言ってくれ」


 えっ、理由? それは……おおい!?

 夜伽の相手にとかじゃないからな。そこは勘違いしないように!


 俺は、ダフネに注意した後、直ぐにドライアドたちから避難した。

 その理由は、彼女たちの目的を聞いたからだ。

 それは、繁殖。同じタイプのドライアドの数が減ったから増やしたいらしい。

 だから、高魔力保持者の男性が必要らしい。

 植物系の魔物なのに普通に生殖行為が必要ってどうなのよ。

 そう思ったが、ツッコミを入れることすら放棄した。

 だって、ここで条件満たした男性って……俺だよ。

 おそらく、ダフネと同レベルのヤバさを発揮する気がしたので嫌いじゃないけど逃げたのだ。

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