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ラインヴィス孤児院

 ユーリを追って辿り着いたのは、白亜の建物が建ち並ぶ街の外だった。


 魔物被害が少ないのか?


 塀の高さは、今まで行った街の中で最も低かった。


「ここは……」


 街を見るなりマリーは考え出した。


「マリー、この街は綺麗だね。初めて来たけど、どんな街なの?」


 この街の通行ゲートの所で、竜王国の国旗がたなびいている。


 ここが竜王国ならマリーが詳しいと思い聞いてみた。


「ここは、アークフォートと呼ばれる街です。我が国一の宗教都市ですね。登録されている宗教だけでも20近く有ります」


「20も有るの!?」


 基本、1つの街に2〜3有れば良いかなという状況だ。


 元々、宗教を信仰する人が少ないのだから仕方ない。


 だから、こんなに数が有ると驚くのは当然でしょ?


「ええ、その点は大陸一とも言えます。それから、この街は魔物の出現率が少ない事で有名ですね。深い森が無い事や四方に有る街が壁の役割を果たしているからだそうです」


「なるほどねぇ〜。なら、ユーリは何かの信者にでもなったのか……」


 もしくは、シスター服目当てだったりして。


 この前、ユーリが自作したシスター服を着たら凄く興奮されたのを覚えている。


 わざわざ黒いランジェリーとガーターベルト。黒のストッキングまで用意する所からも本気度が伺えた。


「シスター服……売ってないかな?」


 私は、自前が有るけど他の娘の分も入手すべきではないか?


「アイリス?」


「ねぇ、マリー。シスター服は何着有れば良いかな?」


 皆の体型は、結構バラ付きが有るからなぁ……。


「はい? なんで、シスター服?」


「ユーリが好きな服の1つだから」


「ちょっと、詳しく聞きましょう」


 マリーに相談したらめっちゃ食い付いた。


 数十分後、私たちはやっと正気に戻った。


「すみません。熱中し過ぎましたね」


「こっちこそ、ごめん。変な話を振って。でも、知らない話を聞けて良かったよ」


 例えば、マリーにランドセルなる物を背負わせた状態でやる話とか。


 あからさまに不便そうだけど何が目的なんだろう?


 後で本人から聞くのが楽しみだ。


「マリー、急ごう!ユーリの情報が無くなるかもよ?」


 ユーリが、情報は生き物だと言っていた。


 常に変化と移動を繰り返す存在だからと。


 この街は人の出入りが激しい。


 だから、既に忘れられているかもしれない。


「ええ、忘れられる前に聞き出しましょう」


 まず始めに門を護る守衛から話を聞く事にした。


「ユーリさんに用かい? 彼なら今日もいつもの所にいるよ」


 ……話を聞こうとしたら向こうから答えてくれたよ。


 どうやら居場所も知っているらしい。


「……どうして、そう思うの?」


「いや、だってさ。通常の冒険者も少ないのに、Sランクの冒険者が1日の内に何人も訪れたら目立つものさ」


「なるほどね」


「しかも、彼はここの所ずっと来ているから嫌でも覚えるよ」


「でしたら、居場所を教えてくれませんか?」


 マリーの問に関して、守衛はあっさり答えた。


「彼ならラインヴィス孤児院に居るんじゃないかな? あそこで良く見かけるし」


「「孤児院?」」


 私とマリーは、顔を見合わせた。


「ねぇ、マリー。私、ユーリの目的が分かった気がする」


「奇遇ですね。私もそんな気がしますよ」


 私たちは、教えて貰った孤児院へと向かった。






 孤児院についてからは、物陰から様子を伺った。


「ユーリお兄ちゃん、待ってー!」


「お兄ちゃん、これしようこれ!」


「ねぇねぇ、冒険のお話して!」


 そこには、子供に囲まれるユーリの姿があった。


 他に大人は見当たらず、ユーリが一人で面倒を見ていた。


「あっ、なるほどね。通りで変な所に匂いが付いた訳か」


 それを見ていたら匂いの原因が分かった。


 それは、かくれんぼをしている子供たちにある。


 隠れ場所を探している女の子たちが、ユーリの服に隠れていたのだ。


 ユーリ自身がお腹の中に隠す場合もあった。


 元々、隠れ場所が少ないので、ユーリ自身が隠れ場所になって上げてるのだろう。


「これで浮気の疑惑は晴れたね」


「でも、何でユーリさんは子供たちの世話をしてるのでしょうか?」


 さすがに、その理由までは分からない。


 とりあえず、私たちは引き続きユーリを観察する事にした。


「あの〜っ、ユーリさんの知り合いですか?」


「はい?」


 当然背後から声がしたので振り返るとシスター服に身を包んだ優しそうな少女がいた。


「貴方は?」


「あっ、私はナージャと言います。あなた方は……?」


「私は、アイリス。ユーリの妻だよ」


「私は、マリアナ・ヴァーミリオンです。私もユーリさんの妻です」


「えっ、2人共ですか? 確かに法律上、多妻も可能なのは知ってましたが初めて会いましたよ」


 私達が妻と言うと凄く驚かれた。


 私達にとっては当たり前なので忘れていたが、他の人にとっては珍しい事なのだ。


「しかし、既婚者だったんですね。しかも、2人も……」


 何故か、ナージャが落ち込み始めた。


「何、ユーリの事が好きだった?」


「いっ、いえ、そんな事は!?」


 顔を真っ赤にして否定し始めた。


 見ていて凄く可愛いのでからかいたくなる。


「でも、嫌いじゃないよね? ユーリって、優しいしさ」


「そうですね。病気で倒れたマザーの代わりが来るまで孤児院のサポートを手伝ってくれてますし」


 それが理由でユーリはここに来ていた訳か。


「料理とかもしてくれるのかな?」


「はい。毎回来る時、食材を持参して作ってくれるんですよ。だから、私や子供たちは大好きなんです。あっ、その人としての大好きとかじゃなくてですね!? そのっ、あのっ……」


「奥さんだからって気を使わなくて大丈夫ですよ」


「はうっ! すっ、すみません……」


 マリーが諭すと落ち着きを取り戻した。


「建物が妙に綺麗ですね。アレもユーリさんですか?」


「そっ、そうなんです! わざわざ魔法を使って建ててくれたんです! 元々は、凄くボロボロで隙間風も酷かったのに、一瞬であの立派な建物に生まれ変わったんですよ! しかも、身長を記入していた柱もちゃんと残してくれたんですよ!」


 熱弁から分かる通り、凄く嬉しかった様だ。


「それで、好きになっちゃたんだね」


「だから、違いますって! 安心して下さい! 手を出したりしませんよ!」


「そうか……ナージャみたいな娘なら歓迎なのに」


「えっ? えっ?」


 私的には、有りかなと思う。


 イブちゃんたちの影響で純情系の良さを知ったからね。


 あの、初心な感じがなんとも……じゅるり。


 今日は、お願いして参加して貰おうかな?


「ナージャ。そんな物陰で誰と話してるんだ?」


「あっ、ユーリさん」


 ナージャが気になったのか、ユーリが近付いてきた。


「やっほ〜、ユーリ♪」


「どうもです。ユーリさん」


 誤魔化す気はないので、堂々と挨拶した。


「あっ、察し」


 ユーリも私たちを見て状況を悟った様だ。


 それでは、詳しく聞くとしよう。

最近、またペースが落ちてる……orz

読み直しをしてないので、誤字も多いですね。お手数をお掛けします。


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