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シキナの救出と対面

 ミコトの感知を信じて、ドン引きしつつも後を追うこと約10分。


「マジだった……」


 郊外にある屋敷へと辿り着いた。


 そこは、元貴族の屋敷だったのか、外見はボロボロながらもしっかりとした大きさがあった。


「ビンゴ! 強力な人避けの魔法で守られてる!」


 アイリスが、屋敷に張られている結界について教えてくれた。


 どうやら、侵入した場合の警報機能も加えられているらしい。


「どうします? このまま入ると直ぐバレますよ?」


 ミコトも場数を踏んでいるのか、シキナを救出する為に冷静さを保っていた。


「ここは一旦、魔導師の力を借りて術式の解析にーー」


「たたっ斬る」


「えっ?」


「だから、結界ごと術式を叩き斬る」


「いや、ちょっと待って下さい! 結界ですよ! 魔法を斬るってことですよ!」


 冷静だったミコトが慌てだした。


 何か、今の流れに問題があったか?


 俺は、少し思い返すも変な事を言った記憶が無いので、直ぐに行動を始めた。


 フラガラッハを取り出してからの。


「せい!」


 軽い一閃で、即終了。


 屋敷に張られていた結界が霧散した。


「さて、後は正確な居場所だな」


「定番といえば定番の地下にいるみたい。入り口は1つかな?」


 結界が消えた事で、アイリスの感知が本領を発揮する。


「なら、上は邪魔ですね。取り除いても?」


「………GO!」


 少し悩んだが、ここまでしてやられたので、マリーにゴーサインを出す事にした。


大竜巻(グランドハリケーン)!」


 マリーの起こした竜巻が屋敷を飲み込み、どんどん瓦解させる。


 そして、瓦礫は空へと舞い上がり。


「おら〜い、おら〜い!特大版重力球(グラビティコア)!」


 竜巻の頂点へと移動させた人工ブラックホールに飲み込まれて跡形も無く消え去った。


 この間、およそ3分。


 作業中、頭の中では某BGMが流れていたよ。


 まぁ、クッキングならぬデストロイだったけど。


「………………ハッ!?」


 ミコトは、その光景を呆然と眺めていた。どうやら、やっと正気に戻った様だ。


「は〜い、移動しながら改良したインカです。耳栓機能を加えたから今度は耐えれる筈だよ」


 移動中、コツコツと皆のインカを改良したよ。これで、耳栓しながら会話が出来る筈だ。


 もう奴らに遅れを取ることはないだろう。絶叫以外では、負ける気がしないからな。


「ほい、ミコトの分」


「あっ、はい。これは……」


「これな。俺の手作りマジックアイテム。使い方は……」


 ミコトに説明して、俺たちの準備は終了した。


 突入班は、俺とアイリス、リリスたち三姉妹。それからミコト。


 他には、外での待機をお願いした。


 また逃げられそうなら封鎖を行える様に、エルフたちによる結界と拘束の術式を準備して貰ったよ。


 ついでに、エロースにお願いした上空待機。


 これで完全に対策完了。


 さぁ、俺たちを舐めた落し前を付けて貰おうか!





 *******************




 シキナは、屋敷の地下室で目を覚ました。


「んっ………えっ? ここは何処!? ってか、なんで私拘束されてるのよ!?」


 シキナが動く度に、天から吊るされている鎖がジャラッと音を立てていた。


「目覚めかい?」


「ヒサメさん!?」


 シキナが横へと目を向けると自分と同じ様に拘束されたヒサメの姿があった。


「これは一体!?」


「ケリュオンの隠れ家にある実験室だよ」


「っ!?」


 ヒサメの視線は、部屋の中央に置かれたベットへと向けられていた。


 どうやら、私たちは絶体絶命のピンチらしい。


「ごめんね。私たちが原因みたいで……」


「原因?」


「ユリシーズさんに尋ねられたでしょ? 行方不明の冒険者について。どうやら、アレは私たちが無意識に行っていたみたいなの。いや、無意識は少し違うわね。操られていたが正しいわ」


「操る? 一体誰が?」


「ケリュオンよ、ケリュオン。どうやら、私たちをこんなにした時、特定のワードに反応する様に仕組んでいたみたいなのよ。さっき本人から聞いたわ」


「本人が近くにいるんですか!?」


「ああ、居るとも」


 シキナは、急いで声のした方を振り向いた。


「ケリュオン!」


 そこに居たのは、ユリシーズさんに見せて貰った写真で確認した男だ。


「一体、何のつもりで私を誘拐したのよ! 人外との融合でしょ! こっちは、既に人外寄りなんですけど!」


 人に手を加えた結果がヒサメさんなら、私には意味が無い筈だ。


「目的は、何よ!?」


「クックック。目的か……」


 悪人らしい笑みを浮かべながら嬲る様に見詰めてくる。


 シキナは、ゾクッとした悪寒と共に気持ち悪いと思った。


「もう気付いているのだろう? 人への人外要素の融合。人外の容姿と力を持たせる為さ。もっとも人外というよりは魔獣の融合と言うべきかな? 主に、奴らを混ぜる事を前提としていた。入手もし易いからな」


「それと私はどう関係有るのよ?」


 とりあえず、話を少しでも長引かせる努力をしよう。


 うちの変態彼氏。ミコトなら私の居場所が直ぐに分かる筈だ。


 最近では、その精度も日に日に増している。


 しかも、ユリシーズさんもいるから長引けば長引く程に助かる可能性は高い。


「まだ、分からないのか? 実験には、対照実験と言ってあらゆるパターンを試す必要がある。例えば、……獣血の濃い少女とかね?」


「くっ、この外道!」


 予想はしていたが、ケリュオンは本気の様だ。


「ねぇ、ナラクは何処?」


「えっ?」


 そういえば、目覚めてからナラクさんを見掛けていない。


 彼女が居るのならナラクが居てもおかしくない筈だ。


「彼なら既に終わったよ。男性の被験体は少ないからね。いい結果が得られたよ」


「「なっ!?」」


 終わったというからには、死んでしまったのだろう。


「そっ、そんな………」


 隣のヒサメさんが嗚咽を漏らしながら泣き出した。


「後は、君たちだけだ。既に処置は済んでいる。術式が起動すれば直ぐに変化が現れるだろう」


「処置!? 私も操るつもり!?」


「聞いたのかい? なら、話が速い。私の本当の最終目標は、獣を宿した者たちと楽園を作る事だからね。その為に必要な処置でもあるのさ」


 マズい!マズい!マズい!


 ケリュオンの一手で私たちの全てが終わる!


「安心しなさい。痛みは無いからね。では、一緒に新しい世界を開こうーー」


 そう言って、ケリュオンが近付いて来た瞬間。


 ゴォオオオオーー!!


 という騒音と共に物が崩れる音が聞こえてきた。


「何が起こった!? お前が何かしたのか!?」


 ケリュオンが異変に動揺し始めた。


「こっちが知りたいわよ!」


 私にも状況が分からない。


「なら、さっきの音は……」


 ドン!ドン!ドンッ!


「「「えっ?」」」


 今度は、建物が揺れる程の衝撃が連続で来た。


 そして、天井の一部にバキバキッとヒビが走っていき滑落した。


「到着!」


「すみません。まさか、入り口が分らなくなるなんて」


「俺が許可した訳だし、おあいこで」


 なんと、天井の穴からユリシーズさんたちが降りてきた。


 そこには、巾着を握り締めたミコトの姿もあった。


「さぁ、追い詰めたよ。ケリュオン。覚悟は良いかな?」


 不敵な笑みを浮かべたユリシーズさんに続き、皆が武器を構える。


 私は、危機一髪で助かった様だった。


「皆さん! ありがとうーー」


術式起動(ブートスクエア)!」


「「はい?」」


 ケリュオンの宣言と共に、私とヒサメさんは全身に衝撃を受けて煙に包まれた。

なかなか、予定通りに投稿できませんね。

一応、書けているので大丈夫だと思いますが、もっと余裕を持ちたい今日この頃です。

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