嫁? 娘? どっち?
皆さん聞いて下さい。
久しぶりに会ったダフネから「貴方の子です」って、言われました。
さすがに色々覚悟していたけれど、いきなり子供を見せられるとは思わなかったよ。
「にっ、妊娠期間は?」
「有りましたよ。ここ1ヶ月です」
どうやらここ1ヶ月で妊娠から出産まで済ませたらしい。
隣に立つアイリスも俺と同じ気持ちなのだろう。あまりの内容に思考が停止して硬直してるよ。
「………って、んな訳あるか!? 1ヶ月そこらでそのサイズの子供が生まれるかい!!」
「生まれました」
淡々と告げるダフネ。
うん。とりあえず、彼女は本物の様だわ。
「流石は、異世界! 常識が違うな!」
「いやいや、ユーリ!そんな常識無いからね!」
「ですよね!!」
一瞬、異世界だから何でも有りだと受け入れそうになってしまったよ。
とりあえず、拡声の魔法を使って全体連絡。
「緊急家族会議〜! 至急集会所に集合〜!」
俺は、皆が集まる前に冷静さを取り戻す事にした。
「えっと〜……これは一体?」
マリーが皆の疑問を代弁してくれた。
「俺の子供だそうです……」
俺はダフネの後ろに隠れている女の子を皆に紹介した。
「それにしては、成長し過ぎでは?」
「うん。俺もそう思った。でも、異世界なら有りなのかなって……」
「いやいや、異世界でも起こらないと思いますよ」
「でも、鑑定だと俺の嫁兼娘って説明が出ているんだ……」
「………えっ?」
そう俺が悩む理由には、これが有るのだ。
名称:ダフネ
種族:ハイエルフ
説明:木の上位精霊ダフネの写し身。人としてのダフネ。ダフネが、ユーリの遺伝子に自分の精霊としての因子を合成して生み出した存在。故に、嫁にして娘でもある。
「遺伝子? 因子? 合成?」
竜眼で確認したマリーも混乱している様だ。
「ホムンクルスみたいなものかな?」
「確かに、合成って書いてあるね。実際の所、どうなの?」
こういう事は、同じ上位精霊に聞いてみよう。
「うん? 合成と言っても普通の亜人よ。尤も精霊に一番近い存在だけどね」
「成長が速いのは、精霊の因子があるから?」
「まぁ、そうね。でも、彼女は育成途中で目覚めさせたのね。本来ならリリスたちのサイズになって生まれるはずだもん」
どうやら、10代の見た目の理由は、成長途中で産んだかららしい。
「ユーリさんの好みのサイズまで成長したので連れて来ました」
あははっ、俺が原因だとよ。つまり、この娘のステータスがダフネの思う俺の好みと。
年齢:1ヶ月 (実年齢10歳に相当)
身長:136
体重:36
3サイズ:B64-W66-H67
うん。完全なロリコン認定です。
うわぁ……自他共に認められるとグサッと来るものが有るな。
クイクイ。
「うん?」
服を引っ張る感覚に下を向くと、いつもの間にか側に来ていたミニダフネがいた。
「どうしたの?」
「抱っこ」
しゃがんで聞いてみると可愛らしくお強請りされた。
「抱っこ? 良いよ。おいで」
彼女を抱きかかえて立ち上がった。
ダフネの写し身だからなのか、草木の優しい匂いがして落ち着く。
変態思考だけど、そのぷにぷにのお腹に顔を埋めたい。
「ありがとう。アナタ。チュッ」
「んっ!?」
『なっ!?』
お礼としてキスされたよ。ほっぺとかでなく、唇を奪われたよ。
「ほら、いい感じに成長しましたよ。この年齢なら育児の手もかかりませんし、夜の営みもイケますよ」
「いや、鑑定だと未成年なんてすけど……」
俺は、鑑定で知った事実をダフネに告げた。
「………えっ?」
ダフネが凄く驚いた表情をしている。彼女がこれほど驚いた表情を浮かべたのは初めてな気がする。
「……すみません。早すぎました。今更、彼女を戻せませんので諦めて下さい」
「分かった」
というか、娘に手を出す気はないですよ。
流石に、それをしてしまうと色々終わる気がするんだよね。
「なぁ、この娘の名前変えちゃダメ? 流石に被ると呼び辛いんだけど」
色々聞きたいことが有るが、とりあえず優先すべきは名前だと思う。2人が同名だと呼び分けの時に困る。
「名前はお任せします」
「了解。可愛いのを考えるよ」
さて、女の子の名前を考えるとしよう。
まず、ハイエルフだから名付けのルールを確認しよう。
「ハイエルフだから母親由来の文字が必要だよな。文字は、『ダ』? それとも『フ』と『ネ』のどっちでも良いの?」
一応、リリスたちに相談してみた。
「どうでしょう? 基本はそうですが、始祖の場合は始まりの文字以外も聞きますよ。父親譲りでも良いのでは?」
「そうなのか……」
つまり俺の名前から付けても良いという訳か。
「というか、シズで良くね? 俺の苗字なんて誰も言ってくれないし」
悲しいことに異世界に来てからというものシズと呼ばれた事が殆どない。皆、フレンドリー過ぎでは?
「シズ?」
「そうだよ。シズ。嫌かい?」
「それが良い」
「よし! 彼女の同意も得られたので、シズに決定!」
パチパチパチッと皆の拍手に祝福された。
可愛い名前を付けるつもりが、俺の苗字を与えるだけになってしまったよ。本人が気に入ってるし良いか。
何かあった時は、ダフネ・シズと名乗ってもらおう。
「それで写し身とは?」
人としてのダフネという記述が特に気になった。
「まんまですよ。受肉したことで、精霊の因子も卵子として再現されています。それには、受肉した時からの記憶も引き継がれます。だから、産まれたハイエルフはユーリ様と契約してからの私です」
「だから、嫁であって娘でもあると?」
「そういう事です。この時点からは、私とは別の存在と認識して貰っても構いません。尤も記憶は同じなので、嫁として振る舞うと思いますけど」
「私じゃダメ?」
「問題有りません!ようこそ、シズ!」
俺は、アッサリと受け入れる事にした。
うちのお嫁さんたちはどうなんだろうと思って見渡すとテーブルを持ってきてお茶してた。
どうやら気にしない事に決めたらしい。
そして、エロースが鼻血を出しながら、早速シズの採寸を取っていたよ。見ていたら手に紙を握らされた。
そこには、最新ゴスロリメイド服のデザインが書かれていた。
「………(グッ!)」
俺は、無言でエロースに親指を立ててゴーサインを出すのだった。
最近、夜までに書くのを忘れて寝そうになるのがヤバいです。
一応、気を付けるつもりですが、もし、昼間に上げたりしたら寝落ちしたと思って下さい。




