貴方の子供です
「それにしても、あのエンキが真面目になるとは思わなかったよ」
現在、アイリスに膝枕して貰いながらイチャイチャ中。
頭から伝わるアイリスの太ももの感触が、凄く幸せな気持ちにさせてくれて顔が蕩ける。
うちでは、俺がする事の方が多いのだが、たまには奥さんの太ももを堪能して良いよね?
そう思ったのでお願いしたら喜んで引き受けてくれた。
「ん……そうだな。この前の事で改心……んん……したんだろうね。でも、50回はやり過ぎ」
アイリスは、ついでに耳掃除までしてくれた。
膝枕に耳掃除。この組み合わせは、異世界でも安定だったよ。
「あはは、ごめん。私も色々思う所があったからね」
アイリスもマリーがワザと設定を弄った事に気付いていた。
それでも止めなかったのは、「カグヤを馬鹿にした」からなのだそうだ。
エンキが素直に謝った事で、既に許してはいる。
「あっ、こっちは終わったから反対ね」
「うん」
俺は、アイリスのお腹の方へと頭を向ける。
「(うわぁ〜……)」
流石に、こっち向きの場合は今だに照れる。
いい匂いがするし、動いた時にお腹が触れて、ドキドキが止まらない。
「ユーリ。照れる?」
「………黙秘します」
「あはっ、そう言っても耳は真っ赤だよ。ユーリって、可愛いね」
顔は見えないが,アイリスが笑っているのは理解できた。
ついでに頭を撫でるのは止めて欲しい。更に、恥ずかしい。
「そういえばユーリ、最近ダフネを見た?」
「うん? ダフネ?」
そういえば、最近見た記憶がないな。最後に見たのは、コーリス伯爵の領地の状態を聞いた時か。
「そういえば、ここ1ヶ月くらい見てなかった気がする」
「だよね。私もラズリに相談されて気付いたんだよ」
アイリスの話を詳しく聞くとラズリからダフネが食事に来ないと相談されたそうだ。
元々、彼女は精霊の為食事は基本必要ない。魔力が有れば十分なのだ。
しかし、ここに来てから食事。主に、料理を楽しむ様になっていた。
畑の管理も兼ねて農作物を食べていたから興味を持ったのだろう。
そんな訳で、気まぐれで料理を要求して来るので、ラズリたち料理担当組に任せていたのだ。決まった時間には来ないしね。
そんな訳で、ラズリから1ヶ月近くダフネが姿を見せていないと言われるまで俺たちは気付かなかったのだ。
「夜も最近参加して来ないからねぇ〜」
「確かにその記憶はないな。したら絶対記憶に残るもん」
ダフネと寝る時には注意がいる。
1つ、極力一対一でやること。
2つ、やる前に平穏なる小世界で休んで挑むこと。
3つ、精力剤を用意して置くこと。
これだけいえば、後は分かるよな? つまりそういう事なのだ。
「トレミーにでも聞いてみよう。そろそろ昼飯だし」
「うん。その方が良いかも?」
気まぐれに食べに来るダフネに対して、ドライアドの長女トレミーは決めた時間にやって来て朝昼晩しっかり食べて行く。
彼女も食事は、太陽と良質な土、水で賄えるのだが、うちの料理の方が良いらしい。
という訳で、昼飯を食いに来たトレミーに聞いてみた。
「うん? ダフネ様ですか?」
「ああ、最近見てないし心配なんだよ。他の皆も姿を見てないって言うしね」
「だから、種族の近いトレミーちゃんなら何か知ってるんじゃないかなと私たちは思ってね」
「あれ? もぐもぐ……知らないんですか? もぐもぐ……」
両手に掴んだ肉を食べながら話すトレミー。
森の美女と称される木の魔物が肉を貪り食うってどうなんだろ?
そう思わなくないが、話に集中しよう。
「それで、何か知ってるんだな?」
さっきの反応からトレミーは何かを知っているのは明白だった。
「それは自分の目で見た方が速いかもですね。食べ終わったら、顔を出す様に伝えておきますよ」
「何か言い回しが気になるんだけど………」
この娘、自分の目で見た方がって言った?
あははっ、まさか妊娠していたりしてな!
最後した時は、前半は拘束状態で襲われたから、全力で拘束をブチ破り反撃したしね。
ちなみに、初めてダフネに勝った日でもある。
これも経験を重ねて、スキルが成長したお陰だね。
そんな訳で妊娠していてもおかしくない訳で……。
「エリスに相談して来よう」
責任は取るつもりだけど、相手は精霊な訳で色々仕来りとか有りそうなので、同じ上位精霊のエリスに相談することにした。
「ーーという訳なんだよ」
俺は食後にカグヤと遊んでいるエリスの元へと行った。
「呆れた。貴方は、本当に性欲魔人なのね」
「いやいや、ヤバいのはダフネたちだからな」
俺は、スキルのお陰で相手を出来るがダフネたちにはアレがデフォなのだ。
「私から言わせると貴方も同じよ」
「ですよね〜」
確かに傍から見たら同じにしか見えないよね。
「あの娘は死ぬまで絞り尽くすって言われてるからヤバいと思うのは仕方ないかな?」
「よく生きてるな俺」
「でも、天にも登る快楽が得られるって話よ。実際は?」
「なるほど! 俺は何度か死にかけてますね!」
ダフネの前で浄化された気分になって意識を失った事が多々あるから多分それだろう。
「それで妊婦になってそうだって? それは、絶対に無いから安心すると良いわ」
エリスは、俺にはっきりと断言した。
「何で?」
「彼女が木の精霊だからよ。植物の実が枝や幹に成る様に、子供も外部に作るのよね。だから、そこは大丈夫よ」
「なるほど。理解したよ。ありがとう」
俺は、トレミーたちのいる畑に行くことにした。
「でも、子供は出来てるかもしれないわね。精霊の子は直ぐに成長するから……って、もういないじゃないの」
ユーリが去ったことで、エリスの呟きが虚しく流れた。
「これは、ひと悶着起こるかも……まぁ、本人たちの問題だし知らないわね。さぁ、カグヤ。エリスお姉ちゃんと呼んでみて?」
「エリエリ……」
「なかなか、エリスお姉ちゃんに移行出来ないわね。最初にエリエリと教えたのが不味かったかしら?」
エリスは、カグヤたちとの戯れ合いに混ざる事にした。
そして、俺とアイリスは畑で久しぶりにダフネと会う。
その横には、10代に見えるエルフ少女を連れていた。
「貴方の子供です」
「「………」」
俺とアイリスの意識が停止したのは言うまでもない。




