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年齢変化薬

 現在、偽物騒動やら若返りやらで騒がしかったので、今日は談話室に設置した大型ソファーでゴロゴロ中。


 というか、恥ずかしいやら情けないやらで動けずにいた。


 ……明日から頑張ろう。


 でも、今日くらいはゆっくりしても良いよね?


 昨日まで謝罪行幸に勤しんでいたんだから。


 しかし、ゆっくりするのは良いのだが……。


「重い……」


 うつ伏せに寝ていた俺の背中には、子供たちが乗っている。


 ここの所、全く構ってやれなかったから寂しかったのだろう。特に、年長のユリウスやカグヤは何処に行くにもくっついて来る。


 流石に、トイレまでは止めような。風呂とかは良いけど。


 それにしても、うちの子たちは今日も可愛いな。親バカだと思いつつ、撫でる手にも力が入るってもんだ。


 だけど、今の状況は勘弁して欲しい。


 いつも通り、1人や2人なら乗られても平気で気にはならないのだが、今のこの人数はとてもキツい。


 一人当たりの体重が、大体10キロくらいとしよう。それが、12人。


 これは一種の拷問では?


 しかも、これで飛んだり跳ねたりする子もいる訳で………俺の腰は大丈夫かな? ただでさえ、毎日負荷を掛けているのに。


 まぁ、身体は生前より丈夫だし大丈夫か。最悪ポーションで治せば良いし。


『パ〜……』


 パパと呼ぼうとして、途中で力尽きる子供たち。


「もうちょっと頑張って!? まるで、俺がアホみたいに聞こえるよ!?」


「「パパ!」」


「そうだ! ユリウスとカグヤを見習ってね!!」


 そして、褒めながら偉い偉いと頭を撫でる。そんな感じで、子供たちとゴロゴロ過ごしていたら、イベントは発生した。


「あらあら、子供たちに懐かれているわね」


 褐色のロリエルフが現れた!


「え〜っと、誰君? 新しく来た娘たちに混じっていたっけ?」


 生憎、彼女の様な幼女は俺の記憶にはない。そもそも居たら絶対覚えていると思う。


 だって、この娘の容姿は、ストライクを通り越してキャッチャーミットを破壊するくらいの可愛さと可憐さが備わっている。


 しかし、それにしても本当に心当たりがない。


 最近、エルフの女性が大量に増えたからそれかと思ったが、その中にダーク種の娘がいたら絶対に印象に残ると思う。


 一応、今日の育児担当はそのエルフたちなので、後ろに控えている子たち見た。


 彼女たちも頭を傾げているから同郷の者ではないだろう。


「え〜っ、分からないの? あんなに愛し合った仲なのに?」


 愛し合った? 確かに、身内なら自重しているとはいえ襲いそうなものだが……。


「しかも、口ではいえない様な事もいっぱい私の身体にしたのにねぇ〜」


 幼女は、小悪魔っぽい表情を浮べながら、シャツの襟元を人差し指で引っ張り、誘惑してくる。


 俺は、それを聞いて記憶を総動員する事にした。


 エルフのダーク種なんてリリィ系列でしか…………うん?


「え〜〜っと……まさかな?」


「ヒント上げましょうか? 多分、これで気付くと思うけど」


「お願いします」


「貴方との間に息子がいるわ」


「リリィ……リリアーヌ!?」


「ピンポンピンポン!大正解〜!!」


 俺は直ぐ様、鑑定で彼女の姿を細かく確認した。


 名称:リリアーヌ


 どうやら、本当に褐色ロリエルフの正体は、リリィだった。


 身長:140

 体重:38

 3サイズ:B64-W48-H66


 姿に関しては、マリーと良い勝負が出来そうだ。


「って、どうやったの!? 確かに、色々ポーションは作ったけど年齢変化薬は作ってないよ!?」


 そもそも薬師のスキルを活かして最初の頃は作ろうとした。


 けれども現実問題として、種族にごとに見た目と年齢に差が有り過ぎる為、年齢変化による肉体の影響が乏しい事に気付き、作るのを中止した経緯がある。


 まぁ、人間や獣人の場合ならこの前の失敗MPポーションよろしく上手く行くんだけどね。それでも俺の場合、200年程生きたら変化はそんなに無いだろう。


「ふふっ、私が作ったのよ」


 リリィがその場で一周した後、無い胸を張ってドヤ顔をかました。


「いや、どうやって!? エルフくらいの年齢になると変化が出難いはずだろ!?」


「ユーリ君が失敗したポーションがあったでしょ? アレの解除薬を作ろうとして採取に行ったでしょ。その時に、ギンカちゃんが珍しい薬草を見つけたのよ」


「珍しい薬草?」


「エルダースプリットっていう薬草よ。スプリットフラワーの変異種ね。後で渡すから薬草畑で栽培をお願い。代金は、こ・れ・で」


 そう言って、幼い身体でセクシーポーズをとるリリィ。


「……美味しく頂きます」


 ヤバ過ぎる気がして、少し葛藤があったものの同意した。


 だって、栽培するのは確定のつもりだったし。身体で払うって言い出したのは、リリィですから。


「サンプルある?」


「はい、どうぞ」


 俺は、相変わらず寝そべったままで、彼女から渡された試験管を受け取った。


 名称:エルダースプリット

 レア度:S

 説明:スプリットフラワーの突然変異種。その為、スプリットフラワーとは違い、効果が分割しながら影響を及ぼす。


「ポーションの量に応じて、年齢と肉体の分割が続きこうなる訳と」


 俺は、改めてリリィの容姿を見た。


「そういう事よ」


「でも、精神の方は大丈夫なのか?」


 前回俺が若返った時は、精神年齢というか、記憶までもが若返っていた。


「そこは腕の見せ所ね。元々あった若返り薬にエルダースプリットを加えて調整したのよ。これでも何回か失敗して大変だったわ。主に、メーアちゃんが」


 聞けば、しっかりと解除ポーションを用意した上で、リリィが何度も服用したらしい。


「俺も呼べよ!心配するだろ!」


「てへっ、ごめんね。好奇心に勝てなかったのよ」


 心配になって少し声が大っきくなってしまった。子供たちもビクッてしてた。


 すまない。でも、泣かなかったのは偉いな。後で、甘やかそう。


「それで、メーアは何が大変だったんだ?」


「それはね……」


 どうやら、案の定リリィの記憶は飛んだらしい。


 そして、危険防止で付けられた拘束具を取り外そうと部屋中を暴れること暴れること。


 その度に、メーアが捕まえて解除ポーションを飲ませたんだとか。


「魔法を使えない様にしてたのに、メーアちゃんたらボロボロだったのよね。挙げ句の果てに、次からは自分が実験台になりますからって言われちゃった」


 普通、それは逆の人の言葉でないのか?


 どんだけ大変な思いをしたのだろう。


 後で、フォローを入れておくか。


「という訳で完成したのがこれよ。ユーリ君も飲んでみる? ちゃんと解除ポーションも用意してるわよ」


「………」


 俺は、リリィから受け取り飲むことにした。


 だって、好奇心には勝てなかったんだもん!


「うん、成功♪」


「おおっ……今度はちゃんと意識がある」


 記憶もちゃんと保持していた。アイリスたちの名前や出逢いもしっかりと覚えている。


 後ろに控えていた育児担当のエルフたちも目を見開いて驚いていた。


「ねぇ、皆に自慢しに行きましょう」


 そこから赤ちゃんたちを任せて、リリィと屋敷の探索に出掛けた。


 その結果、何人かに泣かれたので反省した。


 どうやら不謹慎だったらしい。それと本当に心配していた様だ。





 後日。


「それでも、普通に受け入れるのな」


「安全が確認出来てるからね。しかも、更に改良した時間制限付きだし」


 リリィが年齢変更ポーションを、更に改良し時間制限を付けて売り出したら、アイリスたちも受け入れた。


 そして、たまに俺はこのポーションを飲む事になるのだった。

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